FEATURE-INTERVIEW

METAFIVE

interview by 小野田雄
photo by 雨宮透貴

新しさや古さを超えたエレクトリックなポップ・クリエーション

 高橋幸宏以下、TOWA TEI、小山田圭吾、砂原良徳、権藤知彦、LEO今井という6人の音楽家が集結した新バンド、METAFIVE。世代を超え、継承されるYMOの遺伝子とポップミュージックのモダニズム、その最新のアウトプットであるファーストアルバム『META』がここに完成した。
 変身、変態を意味する”Metamorphose”と結びついた『META』は、古さや新しさという発想を飛び越える6人の創造力が生楽器を交えたエレクトロニック・ミュージックに結実。新しくも懐かしい、懐かしくも新しい音の佇まいに聴き手の感覚も変化が誘発される、そんな作品になっている。
 2016年1月14日にLIQUIDROOMでは、METAFIVEのアルバムリリースパーティ「pre-METAFIVE」が行われるが、五木田智央のアートワークが象徴するかのような、METAFIVEの謎めいた実体に迫るべく、高橋幸宏、小山田圭吾、LEO今井の3人に話をうかがいました。

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── メンバーは6人そのままに、高橋幸宏&METAFIVEからMETAFIVEに改名して、よりトリッキーな佇まいのグループになりましたね。

高橋2014年1月に、昔のYMOの曲をYMO通りにコピーしてやろう、みたいな、パロディに近いライヴをテクノ・リサイタルと題してやるとところから始まったプロジェクトなので、当初はTEIくんからの遊び心のある提案で、COOL FIVEにしようという話もあったくらい(笑)。そして、そのリサイタルの好評を受けて、フェスに呼ばれるようになり、その後、小山田くんからの提案で、高橋幸宏&METAFIVEとして1曲作ったんです(映画『攻殻機動隊 ARISE boarder:4 Ghost Sands Alone』のエンディング曲「Split Spirit」)。そこからどういう経緯でアルバムを作ることになったのかは誰も思い出せないんですけど(笑)、ただ、バンドの名前を変えようという話になったことは覚えてます。METAやMETASIX、高橋幸宏&METAFIVEそのままにするとか、色んなアイデアが出たんですけど、TEIくんが「ちょっと定着した感もあるので、METAFIVEでいいでしょ」って。BEN FOLDS FIVEだって、FIVEといいつつ、メンバーは3人しかいないし、人数が何人いようと、あんまり関係ないよねっていうことになったんです

── METAFIVEは、YMOがテクノポップと呼ばれる以前、細野さんが提唱していたメタポップに由来するそうですが、メタポップという言葉からどんな印象を受けますか?

小山田メタポップっていう言葉はいま初めて聞いた(笑)

高橋まぁ、小山田くんは(YMOカルトキング)まりんほどYMOのことは知らないからね

小山田それはYMOがテクノポップと言われる前の名称ですか?

高橋そう。昔、細野さんが(YMOのコンセプト)「下半身モヤモヤ、みぞおちワクワク、頭クラクラ」と言い出したタイミングで、メタポップという言葉がいいなって

小山田メタポップの方がテクノポップより格好いい感じがするけどね

── METAFIVEが最初に行ったライヴは、1981年にYMOが『BGM』と『テクノデリック』をリリースした後に行った『ウィンターライブ』(シンセを多用した国内ツアー)が念頭にあったそうですが、LEOさんが生まれたのは、まさにその1981年なんですよね?

高橋そうか。じゃあ、YMOが新宿コマ劇場に出てた頃に生まれたんだ

LEOそうらしいです。YMOは、その後、後追いで聴くことになるんですけど、小学6年生の時に親の知り合いからもらったカセットが、記憶が定かではないんですけど、たぶん、『パブリック・プレッシャー/公的抑圧』だったんですよ。ただ、それはダビングされたカセットだったので、YMOの背景は全く知らないまま、よく聴いていたんです

高橋クイーンの『Greatest Hits Ⅱ』と一緒に聴いていたんでしょ?

LEOそう、もらったのが、その2本だったので(笑)。ロック、ポップス……ジャンルは色々ありますけど、YMOはクイーンやビートルズと一緒で、クラシックという認識でしたね

小山田でも、LEOくんの世代だと、小6でYMO聴いていたのは耳が早いよね。というか、僕も小6の頃YMOとクイーンを一緒に聴いていたから、同じ感じだね笑

高橋LEOくんが、YMOはクラシックだと言うけど、活動していた当時、YMOは、当然、クラシックじゃなく、現在進行形のグループでしたし、しかも、クイーンと同時に聴いていて、違和感を感じなかったというのは、僕にとって不思議な感覚ですよね。LEOくんの音楽を初めて聴いた時、(トーキング・ヘッズの)デヴィッド・バーンから絶対影響を受けているだろうなと思ったんだけど、まさか、(クイーンの)フレディ・マーキュリーとはね

LEOデヴィッド・バーンは、誰かに似ていると言われて、20歳すぎて初めて聴いて、確かに何かが似てると思いました。それ以来、『Remain In Light』を皮切りに、今も好きで聴いていますけどね

── クイーンとYMOが並列になっていたり、新旧の音楽がフラットになっている世代のLEOさんと一緒に音を出してみて、幸宏さん、小山田さんはいかがでしたか?

高橋僕たちにとって、LEOくんは年齢的にやりやすかったですね。例えば、20代前半で、僕が聴いてもいいなと思うポストロックをやってる子たちととでも一緒にやってたら、あまりに感覚がかけ離れすぎて、すぐにはハマらないと思うんですよね

小山田LEOくんも34歳だからね(笑)。それ相応のキャリアがあるし、経験も積んできているし

高橋とはいえ、それなりに若く、体力も残ってますから、前面に押し出して、前に突っ込ませるっていうね(笑)

LEOそう、暴走族でいうところの鉄砲玉ですよね(笑)

── そんな最年少のLEOくんを交えつつ、METAFIVEはそれぞれにキャリアがあり、曲作りを行う6人の音楽家が集った特殊な場だと思いますが、今回のアルバムはどのようにレコーディングを進めたんでしょうか?

小山田今回、最後に歌入れで集まったりはしましたけど、「Split Spirit」の時のように、顔を合わせず、メンバー間で曲のデータを行き来させて、そこにそれぞれが音を足していくという作り方ですね

高橋もちろん、ドラムはちゃんとスタジオで録音して、そのついでに他のダビングをやったりしましたけどね。そういう時、TEIくんは来ない時もあったかな

小山田TEIさんはミックスには来なかったですよね

高橋普段は自分でばりばりやるタイプなんだろうけど、今回は久しぶりのバンドということで、敢えて距離を置いて俯瞰で捉えたかったようです。「Split Spirit」の時は曲の母体を小山田くんが作ったんですけど、あの曲は映画のエンディング曲だったこともあって、テーマを話し合ったり、食事に行ったり、コミュニケーションを取りながら進めていったんですけど、今回はそういうことも一切なく、曲を投げて、作業を進めていきましたね

小山田なんとなく、1人2曲くらいずつ担当して、その人が完成まで責任を持つという了解事項があって。あとはみんなに曲を投げて、その間の変化を楽しむという

LEO自分としては、曲の素材を他のメンバーに投げたら、どういう風に変化していくのかということもそうですし、みんなが出す新しい曲のネタを最初に聴けることもそうですし、全てが楽しかったですね。もちろん、自分が出した音がショボかったら、そう言われるでしょうし、まぁ、幸いにして、そういうことはなかったです

── 形態的にはバンドのようでもあり、作り方はバンドらしくない、マージナルなところがMETAFIVEらしいですよね。

高橋スタジオに集まって作りなさいと言われれば、出来ますけど、みんな、そうやってゆっくり曲を作れるほど、時間に余裕はないですし、METAFIVEは今のところ、スタジオでの一発録りだったり、そうやって作る音楽ではないですからね

小山田生楽器主体のバンドではなく、生楽器も使いつつ、プログラミングの人もいるし、みんな忙しかったりもするから、現代的なやり方で成り立っているバンドですよ

高橋そうやって作りながら、暗黙の了解として、生楽器で差し替える部分も設けておいたんですよね。だから、今回の制作ではほとんど無駄がありませんでしたし、ライヴでは一転して、生の比重が高いんですよ

小山田ライヴでは、砂原くんがベースのパートを全部手弾きでやっていて、実質的に彼がベースプレイヤーなんですけどね(笑)

── 幸宏さんがドラムを叩く箇所はどうやって決まっていったんですか?

小山田例えば、「Don’t Move」って曲では、幸宏さんのドラムソロを入れたいというアイデアがあったので、クリックに合わせて、幸宏さんに叩いてもらった素材をエディットして、ドラムソロのセクションを作ったし、曲を作る最初の段階からイメージしていることが多かったと思いますね

高橋ライヴはライヴという考え方のバンドなので、生ドラムの比率は恐らく高くなると思いますね。ちなみに、小山田くんから一発でやろうというアイデアが出て、映像が先行公開された「Don’t Move」はスタジオライヴになっているんですけど、みんな、それぞれに美学があって、TEIくんはマネキンを置いて、画面の外で演奏しているという

── ヴォーカリストは幸宏さんとLEOさんですが、メロディ・メイクはその2人に負うところが大きいんでしょうか?

LEO例えば、「Luv U Tokio」は砂原さんとTEIさんが2人で作ったメロディですし、曲によりますね

高橋僕の曲は自分で歌うことを想定してメロディを作っちゃったんで、METAFIVEの発展性や可能性を考えると、その点は反省材料なんですけど、まぁ、それは次にやればいいやと思いつつ、LEOくんは「ここは幸宏さんが歌ってください」って、ちゃんと指示してくれて、自分とは違ったアプローチの歌入れが楽しかったですね

── 6人が集まることで生まれる化学変化とそれぞれの個性が発揮される余地を残すこと。そのさじ加減が絶妙ですよね。

小山田「Don’t Move」は僕がもとになる土台を作ったんですけど、もとのトラックには自分で作ったメロディを入れたんですね。でも、それを敢えて外して、LEOくんやTEIさんにラインを考えてもらったら、自分が考えていたものとは全然違う曲になったし、6人いたら作り方も違えば、それぞれの成分が色濃く反映されたり、その組み合わせを変えてみたりすることで、色んなタイプの曲が出来たんじゃないかと思います

LEO6人の成分が上手く混ざっているので、クレジットを見ずに、その曲の作者を当てようとしたら、なかなか難しいんじゃないかと思いますね

高橋みんな、音を詰め込みすぎず、引くのがすごい上手かったですよね。僕の場合、音を詰め込んでしまう傾向にあるんですけど、自分で整理すると、自分のソロになってしまうので、そこはみんなに任せたんですけど、その整理を主に担当してくれたのはまりんかな。そのさじ加減が上手くいかない場合も多々あると思うんですけど、今回は上手くいったんだと思いますね

── また、METAFIVEは、まりんさんをはじめ、機材オタクの集いでもあるかと思うんですが、使用機材に関しては、どういうルールで臨まれたんですか?

小山田作業自体はみんなバラバラにやってるし、使う機材もバラバラで、それぞれがこだわりをもってやっているんですけど、いわゆるYMOオタクが同じ機材を使った同じ音を出して喜ぶっていう感じじゃなく、現代的な機材を使っても、そういうことが出来るというトライアルですよね

高橋当時のYMOの音は、まりんが一番詳しくて、使ってた機材も全部把握しているんですけど、それを全部用意したら、ものすごいお金がかかるし、松武(秀樹)さんが当時使ってた巨大なタンス(MOOG-ⅢC)を2台持ってくるのは本当に大変ですから。でも、今はそんなこと必要ないし、使わなかったら、フェイクになるかというと、そういうわけでもない。それにそもそも、今回はYMOみたいな音を出したくて、やっているわけでもないですから

小山田そう、もっと合理的で現代的なんですよね

── 例えば、「Don’t Move」で使っているオーケストラルヒットも、もともと、フェアライトCMIのサウンドだったりしますけど、当時の機材で鳴らした音ではない、と?

小山田そう、あれは多分サンプルを使っているんじゃないかな

高橋いまどき、オーケストラルヒットを使うのかと思ったけど、今聴いてみると、新鮮だよね

小山田うん、格好いい

高橋そういう意味で、METAFIVEは新しいとか古いとか、そういう次元で音楽を作ってるわけじゃないんだよね。エレクトロニックミュージックは機材だったり、表現のアプローチを更新していくところに面白さがあったりしますけど、その新しさの定義が難しくて、「新しいといえば新しいけど、別に新しくもないでしょ」ってことが少なからずあったりしますからね

── 小山田さんはその点いかがですか?

小山田うーん、僕は何も考えないですね(笑)。6人がそれぞれの感じでやれば、独特なものになるんじゃないかなって。

LEO僕も基本的にはノープランでしたね。元のアイデアを大切にしつつ、それがこの6人のなかでどう発展していくか、完成形のイメージも全く持っていませんでした

高橋みんなそうだと思うけど、僕は昔から着地点が見える音楽はやったことがないですからね。作品が出来上がって、コンセプトを問われたら、後からでっち上げますよ(笑)

小山田最初にある設計図通りに作っても、完成したら、「できた!」ってことで終わっちゃうじゃないですか。そういうことじゃなく、作ってる時は無意識なんですよね。その無意識の集合体を作り終わった後から眺めてみると、そこに共通性だったり、共通の意識が見えてくる。それがコンセプトといえば、コンセプトっていう

高橋いい作品が出来たなって思う時は毎回そんな感じなんですよね。後から眺めてみると、そこには必ず何かがあるし、色んなものとつながっていくんですよ

── つながっていくといえば、今回のアルバムはアートワークを五木田智央さんが手掛けていますが、METAFIVEがライヴを行うLIQUIDROOMのロゴは五木田さん作だったりするところも面白いリンクですよね。

高橋今回のアートワークに関して、五木田さんのイメージは、ロキシーミュージックなんですって。僕とLEOくんの声からブライアン・フェリーを感じたらしい

小山田でも、言われてみると、すごいロキシーに見えてくるよね。描かれているのは、女の人だし、文字の入り方とか、確かにね

── 1月21日に六本木EXシアターで行われるワンマンライブに先駆けて、1月14日にLIQUIDROOMで行われるリリースパーティは「pre-METAFIVE」と銘打たれていますが、どんなライヴになりそうですか?

高橋六本木EXシアターは完成形のライヴ、LIQUIDROOMはオープニングアクトでYoung Juvenile Youthも出るし、パーティと名乗ってるからには楽しくやりたいんですよ。ステージのサイズからして、VJから何からがちっと固めてやることは出来ないので、ライヴ感満載で、カジュアルにやりたいと思っていますね

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METAFIVEのリキッド公演詳細はコチラ!!

METAFIVE “pre-METALIVE 2016 ~「META」 RELEASE party”
2016年1月14日(木) 19:00 OPEN / 20:00 START
LINE UP
METAFIVE(高橋幸宏 × 小山田圭吾 × 砂原良徳 × TOWA TEI × ゴンドウトモヒコ × LEO今井)
オープニングアクト:Young Juvenile Youth

TICKET 絶賛発売中!
チケットぴあ [283-119] ローソンチケット [79597] e+
http://www.liquidroom.net/schedule/20160114/27532