FEATURE-INTERVIEW

カフカ

LOOK FORWARD

インタヴュー:渡邉祐子

不条理な感情のむこうへーーギター・ロックの新星

 LIQUIDROOMが注目するフレッシュな才能を紹介するコーナー“LOOK FOWARD”、第1回目はカフカの登場! メンバーはカネココウタ(Vo&G)、ヨシミナオヤ(Ba&Cho)、フジイダイシ(Dr&Cho)によるスリーピース・バンド。これまで、最新作でもあるアルバム『cinema』を含めて2枚のアルバムをリリース。その美しいメロディと内省的でエモーショナルなリリックが特徴的だ。じわりじわりとインディー・ロック・ファンの注目を集め、つい先頃全国ツアーも成功させたばかりだ。まさにこれから注目すべし! というタイミングに来ている。秋には待望のワンマンが決定している。
 全国ツアーを終えてのインタヴューと、ツアー・ラストのライヴ・レポートをお届けします。







── 今回は新人紹介記事ということで、まずはバンド結成の経緯からお願いします。

カネコもともとカフカの前に“LOWNAME”というバンドを4人でやってたんですよ。そのバンドのギターだった人と僕とフジイが、地元が一緒で。大学は別々なんですけど、そのギターと同じ大学にいたのが、ヨシミです。で、4人でやってたんですが、結局はギターが抜けてこの3人になりました。





── 結成自体は、何年ぐらいのこと?

フジイ2006年です。





── “カフカ”って、多分、あの作家のことだと思うんですが、名前はどうやって決まったんですか?

ヨシミバンド名を決める会議があって。改名したいって言い出したのはこの人(カネコ)で。
カネコギターが抜けて3人になって、そのまましばらくはレコーディングとか活動をしていたんですけど。3人でやっていくにあたってどうしようか、と考えたときに「やっぱりバンド名を変えたい」と。3人で名前の候補を出し合って。そのときたまたま(フランツ)カフカの本……『審判』を読んでいたというのもありつつ。カフカの描く不条理な、本人にすら理解できない理不尽な気持ち、理解し得ないものを書いているっていう世界観に共鳴したっていうのがでかいですね。





── 影響を受けた音楽、まぁ、とにかくそれぞれ一番好きなものは?

フジイニルヴァーナですかね。





── ニルヴァーナのどういうところがそこまで衝撃的だった?

フジイまずは映像を見たんです。ライヴ映像を。それを見て純粋に格好いいって思って憧れて。そんなに音楽聴いていなかったけど、それを見てからこんなに格好いい人たちがいるんだって。それまでは普通にJ-POPとかを聴いていて。





── それはバンドをやりはじめるきっかけになったぐらい?

フジイそうですね。
ヨシミ僕は高校の頃はMr.Childrenとか、歌ものがわりと好きで。大学に入るぐらいから段々ロックに憧れて。thee michelle gun elephantとか、悪そうな音楽が。かっけぇーな〜と思いはじめて、それから邦楽のほうに。NUMBER GIRLとか色々聴いたけど、でもやっぱり一番格好いいのは“ロッケンロール”だと思ってて。かっこつけた感じが好きですね。男気や、斜に構えた感じとか。CDを買い集めはじめたっていうのはミッシェルからです。
カネコ:僕はもともとBLANKEY JET CITYを聴いて、音楽はいいなって思ったけど、高校に入って周りに聴いている人がいなくて。当時流行っていたのはやっぱりニルヴァーナ、オルタナ、グランジが盛んで。俺はSmashing PumpkinsとかNew Orderとかへ流れて、その後にBloodthirsty ButchersとかNUMBERGIRLとかを。でもバンドをやりはじめたきっかけはまた違うんですけど。





── きっかけは?

ヨシミバンドを実際にやるっていうのブランキーとかロックンロールというよりは……まぁ、まぁ……そう、そういう感じです(笑)。





── いや、文章にならないですよ(笑)。それ。そこをもうちょっと!

カネコまぁ「スタジオに入って“smells like teenspirit”をね、やりたいな」というのもあるし、エフェクターを買ってやってみたら「この音だ!」とか……そういうところからですね。





── ギターはもともと弾いてたんですか?

カネコ最初は弾き語りをやっていて。ブランキーの“弾き語り全曲集”っていうスコアを買って、それでコードを覚えて。アコギ一本で家で弾いて、というのが学校から帰ってからの楽しみでした。高校生のとき。





── 音楽性はもともとまとまってたの? もしくはだんだんと形に?

ヨシミ昔はもっとハードだったよね。もっとうるさかった。
フジイやっぱ、お互い良い部分と悪い部分と、合う部分合わない部分はいまでもつねにあるし。そのなかで自然と出す音がわかってきて、だんだん近づいてきた。





── 最初の方の音楽性はもっと……

カネコやっぱり、ストレスが溜まってるじゃないですか。それを発散させるために暴れるのが音楽をやる前提というか。こういう音楽をやろう、というよりは自然と集まって、結果、毎回ライヴで暴れて。
ヨシミ「でかい音出してねぇ〜」って。
カネコで、そういうのを別に「やめようぜ」って言ったわけでもなく、自然と出したい音、このバンドで出せる音というのがわかってきて。で、いまに至る、と。





── 単なる発散というところから、もっと音楽的にこの3人でどうやっていこうと変化していった感覚?

カネコやっぱり、ちゃんと、歌を聞かせないと。





── それはオーディエンスを意識するようになったということ?

カネコやっぱり、自己満足じゃなくて聴いてくれる人たちにわかりやすくというのはつねにあって。昔はそういうのが嫌い、嫌いというか「なに言ってんだよ!」っていう感じだったのが、いつのまにかお客さんありき、って思うようになったり、聴いている人がいてくれてはじめてよろこべるっていうふうに。





── ちなみに曲作るのは詞から入りますか?それともメロディから?

カネコメロディですね。詞は後から書きます。メロディが歌詞のイメージを呼び起こすというか。何もなくいきなり歌詞を書けと言われたら、どこから入っていいのかわからないですね。





── 歌詞の言葉選びがとても印象的ですよね。

カネコ例えば「ふざけんな」とか「お前は駄目なやつだ」とか、そういう言葉はすぐに言えるけど、本当に言いたい部分っていうのはなかなか言えない。それを言う為に言い回しを自分なりに変える必要があって。なるべくストレートに言おうとはしてるんだけど……という最中ですね。昔は本当、まさに内面を抉り出すというか。いまもそれは変わらないんだけど、最近、詞になっているのは別の面から見た自分や、自分に対する“人”だったり。





── よりストレートになりつつはある、と。

カネコ昔に比べたら。昔の詞は、ひとことで言えることも包み隠しているうちに、なにを言いたいか結局わからなくなってる。それを良いって言ってくれる人も勿論いるんだけど、やっぱり個人的には「愛してる」だったら「愛してる」と言ってしまえるようになりたいというか。いまはその準備段階です。別に言えるんですけど、いまはそれが馴染める音楽ではないですね。それがうまくあったときに初めて、また新しいものができるかなという期待もしています。





── 今に至るまで、胸を張って自分たちの音ができた!という時期ってありましたか?

カネコファースト出して初めてツアー行って、大阪とか北海道とか行ってお客さんが来てくれたというので実感できました。作品に関しては常に自分たちの音だと思っているので、それにちゃんと反応があったっていうのが。





── 何かの曲ができたタイミングで、とかは?

カネコ“in the clock works”ていう、ファーストのリード曲があって。





── どうやってできたんでしょう。

フジイどうやってできたっけ?(笑)
ヨシミえ、なんだっけ? 曲によっては覚えてるんだけど、なんでできたんだっけ?
カネコ覚えてないぐらい一瞬にして。こうやって、というよりも全体で一気にできた曲。その頃に初めてお客さんを意識したというか。ライヴ感のあるキャッチーな曲を、みんな待ってたのかなぁ、と。初めて外に向けてできたような曲です。ライヴで反応を得る喜びを感じたくて作ったので。それまでのノリとは違う物ができてる、という感じはしました。
ヨシミあの曲はA面っていうかわかりやすいっていうか、盛り上がりますね。お客さんの反応はすごいわかりやすく感じる。





── その辺から言いたいことだけを言う、というのから伝えたいことを届ける、というふうに変わってきたんでしょうか?

カネコその曲は言いたいだけというよりも、届けたい思いがあって。言いたいだけの曲と両方のバランスをとっていっています。「in the clock works」がちゃんと自分たちの曲として纏まった時に、初めて「新しいことを言えるんだ、伝えることができるんだ」と感じました。





── 他に印象的な曲とかはありますか?

ヨシミ「言わないでよ」(『cinema』収録)という曲。アレこそ本当に一瞬でできた曲。いきなり歌って曲ができて、それを三人が三人「いいね!」とすごく盛り上がった。それで纏まったというか、三人とも思う音、バンドとしてやりたい音はこうなんだな、って感じました。





── ツアーを終えてみて、どうでしたか?

ヨシミ前に来てくれたお客さんがまた来てくれたり、何回も色んなところに来てくれたり。あの曲やって欲しいとか、リクエストがあったり。それをやればまたリアクションに繋がるのも面白かった。
カネコ今回のツアーは……
ヨシミ「帰りたい、帰りたい」言ってたよね。
カネコ2日目ぐらいで……。前回のツアーも結構帰りたかったんですよ。なんか、やっぱライヴはやっている瞬間はすごい楽しいし……でもそれまでの過程が、車で運転して行って、とか……。やっちゃえばライヴも好きなんですけど。やる、前が……
ヨシミイヤだと。(笑)





── でもかなり手ごたえはあったんでしょ?

ヨシミありましたよ、それはやっぱり。





── ツアー中に変わった?

ヨシミ『cinema』のアルバム・ツアーだったんですけど、段々曲が手についてくるっていうか「こういう曲だったんだな」というのがやる度にわかってきます。曲に成長させてもらった部分はありますね。
フジイ俺は最初からファイナルに近づくにつれて、バンドがどんどん良くなっていくのが感じられて楽しかったです。





── ツアー・ファイナルは、やはり気合が違いますか?

カネコやっぱり「長いツアーから帰ってきた」という実感もあるし、お客さんへの感謝の気持ちもあって、幅広くやりたいなって。最終的には、お客さんのことを色々考えてても自分たちがどうしたいか、っていうことだけなんですけど。いくらやって下さいって言われても、自分たちが本当にやりたくなかったら別にやらないし……ここまでの話で、すごくお客さんに媚びてる気がしちゃって(笑)。コレはちょっと、言っておかないとな〜と思っちゃって。





── 媚びたくない、と(笑)

カネコもともと“自分”でしかないものだったのが、伝える相手ができたから、よりお客さんに近づいていったってだけで。お客さん万歳とか、別にそういうんじゃないですよ。もともとはお客さんなんてどうでもいいっていう思考だったのが、変わって来た、って言う……媚びを売っているわけではないです。





── “媚売ってねぇ”って書いておかないと。

カネコ書かなくていいです(笑)。でも根本は多分みんなそうだと思うんですよ。





── 一緒に盛り上がろうよ、というのとは違って。

カネコだから自由なんです。自分たちが自由な分、お客さんも。別にノってないからって、楽しくないのかな、とも思わないし。目を瞑っている人もいれば変な動きしている人もいるし。泣いてる人もいれば笑っている人もいるし。それは、自由に。





── ツアーを終えて、初のワンマンが決まりましたね。ライヴ……嫌いですよね?(笑)

カネコ嫌いというか……まぁ、さっきはそう言っちゃったんですけど、やっぱりライヴをやるならそれなりの意志が必要なんで。気合は自然と入ります。
ヨシミワンマンは4年間で初なんで。いままで「やろう」と言い出さなかったからねぇ。
カネコやりたくなかった。





── なぜ?

カネコだってワンマンですよ?





── そんな(笑)。場所に思い入れはありますか?

カネコ下北沢〈Shelter〉はだって……高校の頃の憧れの場所です。だから、まさか自分が〈Shelter〉でワンマンをやる日が来るとは思ってもいなかった。ドッキリなんじゃないか、って。
ヨシミ〈Shelter〉に向けて、セットリストを決めるのも楽しみです。3人で全然意見が違ったりしますけど、聞き入れつつ、やってみつつ。





── ワンマンへの意気込みがあれば、是非。

フジイいろんな曲やります!
ヨシミあの曲やるかな、この曲やるかな、とか思いながら来てくれれば。古い曲や新しい曲もやるから是非きてくれ!





── 最後に、LIQUIDROOMのHPをごらんの皆様へ、ひとことずつお願いします。

フジイワンマンに来てください。ライヴを観に来てください。それだけです。
ヨシミカフカ、2/10に『cinema』を出して、ツアーをやってファイナルをして、その後にワンマンが控え、今現在も新曲を作っているわけで。作ってますね、たくさん。結構、今手元にもあります。いち早くそれを届けたい。ワンマンでやるかもしれないし。今年の活動に、期待してください!
カネコ明るく、生きてください、こんな世のなかだから(笑)。





── 明るく生きてます?

カネコ生きてますよ。いつも意外に思われがちですけどね。一周して、マイナスにもう飽きたかな、っていう。音楽があるからこその、プラスになっているっていう感じです。




4/14に渋谷O-NESTにて行われたカフカのライヴレポートはコチラから

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