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TANGLED HAIR

『TANGLED HAIR』

TANGLED HAIR

[label: Machupicchu INDUSTRIAS/2012]

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toeなどをリリースする〈Machupicchu INDUSTRIAS〉より、注目のUKエモーショナル・バンド

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文:山田佳緒里

toeやmouse on the keysなどのリリースで知られる〈Machupicchu INDUSTRIAS〉が2012年一発目にリリースするアーティストは、イギリスのTANGLED HAIR。前身バンドCOLOURが惜しまれつつ解散した後、フロントマンであるアランが歌やメロディを追求するためにスタートさせたソロ・プロジェクトを原型に、初期エモ〜マス・ロック〜ポスト・ハードコアまでを一気に飲みこんだトリオ編成バンドである。エモを通過したマス・ポップ系のファンの間では、非常に期待が高まりつつある彼ら。今作は本国でデジタル・リリースのみだったファーストEP、そしてセカンドEPをコンパイルした日本独自編集盤。レーベルの紹介文には“日本のキンセラ世代へ送る”とあるがまさその通りの質感で、特にアメリカン・フットボールなんかが好きな方には必聴である。特筆すべきは、シャウトからファルセットまで操るアランの力強さと繊細さを併せ持つヴォーカルだ。とにかく“歌”が染み入るのだ。緻密に計算された緩急、バンド・アンサンブルの波を泳ぎ回る、切なく優しい滋味溢れる“歌”が全編を通して楽曲に彩りを与えている。また、一音一音のフレーズやメロディーが秀逸なのはもちろん、そのドラマチックに流れるような曲展開に驚く。物語のような、一曲の持つ濃密さ。親密さ。後半にかけて加速するバンド・サウンドとは裏腹に、聴く者の意識は内へ内へと向かうだろう。力強くも切ない、コントラストが美しい傑作である。泣きの1枚。

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