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Live Bootleg

『Live Bootleg』

AEROSMITH

[label: SONY/]

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オッサンにはこれが1408円で買えるのは安く感じます。名ライブ盤

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文:久保憲司

 いやー、久々にエアロスミスの名ライブ盤『ライブ・ブートレック』を聞いていて、びっくりこぎました、というか、3曲目「ロード・オブ・ザ・サイズ」を聞いていて、気づいたんです。この人たち、トンでいるわと。
 エアロスミスが、ぶっ飛んでいたというのは有名な話です。僕も見に行った凄まじいエアロスミスの初来日のライブ、全公演トンだはったみたいです。後のインタビューで「日本に行ったことを一切覚えてない」と言ったはりました。凄いですよね。酔っぱらって、その夜の記憶が一切ないというのは分かるとして、1週間の記憶が一切ないって、どんな気持ちなんでしょうね。人間止めたくなるという気持ちになるんでしょうね。それで普通に人間はツアーから離脱していったりするんでしょうね。
 あの凄いライブがトンでたんだというのは凄いなというのと、トンだはったんかと残念に思いました。
 エアロミスの有名なライブと言えば、カリフォルニア・ジャム2なんですけど、それも「ステージに出ていった瞬間は覚えているんだが、その後の記憶が一切ない」とスティーヴン・タイラーは言ってました。
 そんな状態で何十万人もの人の前で歌えるというのがやばいと思うのですが、まっ、かっこいいですよね。別にベロベロの演奏をしてるだけじじゃなく、「ロード・オブ・ザ・サイズ」のような凄い演奏をしているんですから、プロとして問題はない、警察に捕まるだけの話です。
 オリンピックのドーピングと似てますよね。ドーピングしたら、あかんけど、心の奥底では、人間って、薬をやればどれくらい早く走れるんだろう、どれくらいヘヴィーなもの持てるのだろうという、人間の限界というものを見たいなという気持ちもあります。 
 ドーピングオッケーのオリンピックがあってもいいと思うんです。みんな凄い熱狂すると思います。毎年凄い記録が出てきて、人間って、どこまでやれるんだろうと、みんな興奮すると思うんですよね。でも、体型とか変わちゃって、次の年にはそいつが家族を全員殺したり、自殺したり、凄い事になっていくんでしょうけど。
 そうならずに勝ち残っていく奴が超人として、世界に君臨するみたいな、そういうショーがあってもいいでしょう。ローマ時代の格闘家とかは、こんな感じだったのかもしれませんね。
 まさに、そんないけない感じがエアロスミスの『ライブ・ブートレッグ』にはあるんです。「ロード・オブ・ザ・サイズ」はスタジオ盤とライブ盤、聞き比べてみてください。グルーヴから音の洪水まで、全然違います。キチガイが作る音の中に自分が引き込まれていく気持ちよさが分かると思います。
 アメリカの映画で、アホな子供が、ハッパ吸って、ビール飲んで、「イェー」といいながら車乗って遊びに行くシーンで、エアロスミスがかかるけど、この感じが分かります。凄いよね。日本の子供だと脱法ドラッグ(昔だとシンナー)やって、j−ポップきいて、イエーイという感じなんでしょうか、絶対アメリカの方がましだよね。こんな凄い音楽が生まれるんだから、そして、こんな凄い音楽をトンでいるとはいえ、ちゃんと理解しているんだから。
 子供の頃はエアロって、何でスタジオ盤はしょぼくって、ライブは凄いのと思ってたんですが、大人になって分かりますね。トンでるのと、トンでない音楽の違いですね。トンだ人間が一丸となって、音楽に集中すると、トンでもないことになる。そして、その音楽をきいていると覚醒してない人間まで、とんでもない所もまでいかせてくれる。 
 まっ、音楽なんて、そういうもんです。フェラ・クティも、ガムランも、そういう音楽です。アフリカン・ミュージックがなんで6時間もライブやるかというとそういうことだからです。ベースやドラムが二人いるというのは疲れた時に音楽を止めずに続けられるように、24時間ルマンかって、ツッコんでしまいます。笑ってしまいますが、でも、そうやって、何時間も演奏の中に没頭して、神様の領域に行きたいという人間のあらわれなんです。
 お祭りというのはこういうことをするためにあるんですけど、現代のお祭りのひとつロック・コンサートで、こんな気持ちになれるように、みんなでハッパくらいは吸ってもいいようになるように戦いましょう。それまではハッパとかすっちゃだめだよ。脱法ドラッグとかもっとダメだよ。体に悪そうだよ。
 あっ、エアロのこの音楽はハッパじゃないですよ。コケインですよ。エアロに「ドロー・ザ・ライン」という名曲がありますが、あれはコケインのラインを作るという歌です。あのドボドボ感の音楽がコケインの感じなのかと笑いますね。
 エアロの音楽の魅力って、ビートルズのドラッグ時期の音楽を、そのままもっとドラッグやり続けてやってたらどうなったというハイパー・ミュージックの魅力もあるんですよね。「カム・ツゥゲザー」「へルター・スケルター」「ヤー・ブルース」なんかをもっとドボドボにした魅力に溢れています。
 ツェッペリンの音楽をもっとジャンキーにしたという部分もありますね。
 ビートルズは年をとったので、ドラッグを止めようと思った。ツェペリンはジミー・ペイジがドラッグで壊れだした、エアロスミスは若かったので、彼らが作ったものをもっとドラッグで覚醒させたという感じですね。
 そんなエアロも79年くらいにはもうドラッグの所為でおかしくなるんですよね。世界一ビッグなバンドも82年くらいにはスッカラカンになるんですから、ドラッグって恐いですよね。ジョー・ペリーのギターなんて質屋にあったんですよ。ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュがジョー・ペリーのギターと知らずに買っていたんです。
 ドラッグって、恐ろしいですね。
 一番いいのはビートルズみたいに、こんなのやってたら体に悪い、何とか自然にとべる方法はないのかと、インドに行くみたいな感じが一番いいんだと思います。日本にはちゃんと禅というのがあるじゃないですか、LSDと同じ感じを禅で悟れるというの凄く分かります。
 エアロスミス聞いて、自然にぶっ飛びましょう!。ロックン・ロールのロールする感じって、本当に最高ですよね!。こういうのをなくしちゃいけないです。

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