FEATURE

REVIEW

Music In The Air

『Music In The Air』

KENKOU

[label: Eternal Sounds of Music/2013]

Amazon

アンダーグラウンドのリズムを支える、リズムメイカーの静寂。

twitter facebook

text by 渡辺克己

 CHARI CHARIこと井上薫とのセッションでは熱いパーカッションを、またPepe Californiaのステージではバンド独自の浮遊感をしっかりしたドラミングで支えるKENKOU。万能なリズム奏者として、東京のアンダーグラウンドシーンでは欠かせない存在といってもいい。前作『New Dimentions of The World』は、美しいギターの音色とさまざまなリズムの交差が印象的な、フィジカルな作品。しかし、3年振りとなる新作『Music In The Air』は、楽曲の穏やかさはそのままに、ピアノを中心とした静寂感溢れる作品になっている。
 この『Music In The Air』が届いた時、タイトルからブライアン・イーノの『Music For Airport』を想起した。所謂アンビエント(環境音楽)の名盤だ。穏やかなアンビエンスと、心地よいピアノ旋律など共通する点は多い。しかし、『Music In The Air』がアンビエントと一線を画すのは、シンセサイザーに囚われず、ほとんどが生演奏で奏でられている点だ。ジャズピアニストの宮野寛子、Haruka Nakamura、Yuichiro Katoら、真の強いメンバーの演奏も、穏やかに響く。そして、多くの曲で歌声を披露するCHUBU DUのtakashi kato。ハイトーンのボーカルは、楽曲に添って心地よく響くが、どこか昭和のニューミュージック的に聴こえてくる。その絶妙なバランスが作品に色を加え、ポップな印象を残している。KENKOUの新しい門出の様な作品だ。

RECENT REVIEW

REVIEW TOP

RECENT REVIEW

REVIEW TOP