FEATURE-REVIEW

PUN!

PunPunCircle

PUN!


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TEXT by 川辺素(ミツメ)

「東京で生み出された天然記念物、珍獣?」

この記事を書くにあたって、改めて彼について調べたところ、あまり情報がインターネット上に無いような気がしたので(それが良いのかもしれないですが)僕が知っている範囲で彼にまつわることについて幾つかを交えながらアルバムの紹介をさせて頂こうと思います。

京都のレーベルSECOND ROYALのバンドNEW HOUSEのギタリストしてキャリアをスタートさせたのが2009年ごろ。2012年にNEW HOUSEが僕のやっているミツメというバンドを江ノ島にあるオッパーラでのイベントに誘ってくれた時に出会いました。
de.te.ri.o.ra.tionというレーベルがあって、主宰の橋本竜樹さんがPunPunのソロライブがあるから、と誘ってくれて見に行ったのが初めて彼(つまりPunPunCircleとして)の音楽を聴いたタイミングでした。それは2013年ごろのことです。少し話は逸れますが、de.te.ri.o.ra.tionは今作にも収録された「Tsuki Nukeru」を7インチレコードの形で先行リリースしていて、ミツメの1st、2nd両アルバムをレコード化するきっかけを作ってくれたレーベルであり、ミツメとPunPunCircleを始め僕たち周辺の友人を結びつけた大きな存在であります。

話は戻り、そのライブでのPunPunCircleの楽曲は一聴した限りではあまりにNEW HOUSEとかけ離れた音楽で、唖然としたことは今でもよく覚えています。本人はRADIOHEAD、MUSE、COLDPLAYも自身のカセット音源でカバーをするぐらい好きらしいのですが、英米の香りはあまりせず、もっと気温が高い国の音楽のようで、よく聴くとNEW HOUSEにもPunPunの要素を感じられるものの、Simon & Garfunkelを聴いた後にPaul Simonの「Graceland」を聴いてびっくりするような感覚に近いものがありました。
ギターが好きで、だけど速弾きなどのテクニックにはあまり気持ちが向かず、色んな国のリズムや音色に夢中になった結果出来た音楽なんだな、というのは話を聞いているうちに分かったことですが、ギター1本と歌だけでもかなり異彩を放っていました。

そんな彼の音楽は、周囲から音源化が待ち望まれ、後押しもある中で時間をかけてやっとこの「Pun!」という形で完成しました。弾き語りではなく、ベースやドラム、アコーディオンも含むバンド編成として数人のプレイヤーを招いて録音されています。彼は歌とギターにとどまらず、自室で木琴やパーカッションなど多様な楽器を演奏し、オーバーダビングしたようです。結果的にサウンドは偏執的に彼なりの快楽を追求したのではないかと思えるものに仕上がっています。

どこにも無い、彼にしか形にすることができないような響きがありつつ、小難しさや閉じられている部分が無くとても陽気な楽曲群は、「異国の要素を取り入れた」と簡単に言えるような生易しいものではなく、天然で強く育った植物を見ているような感動を与えてくれ、オリジナリティに溢れたものになっています。インターネットがある今、辺境は頭の中にあるとかばかばかしい妄想をしてしまうのは僕だけなのかもしれませんが、そんなことを言いたくさせるような作品ではないでしょうか。

彼のこれからの音楽的探究のスタートとしてとても良いアルバムでありつつ、きっと聴いた人の新しい音楽のドアを開くに違いないと僕には確信めいたものがあって、自分の頭の中にある「友達に薦める音楽の棚」のよく見えるところにずっと置いておこうなんていう風に思っています。

PunPunCircle
http://punpuncircle.com/