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envy / MONO / FROM HELL

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まずはオープニングゲストとして登場したFROM HELLが、1曲目の『Blood』から独自の世界観を創り出し、狂気すら滲むような激しいライブを展開。重く歪んだ音像に搾り出すようなヴォーカルが映え、それは圧倒的な吸引力で観客をぐいぐいと引きずり込んでいった。混沌とした渦の中で一筋の光を求めるように鳴らされる切実な音は、フロアだけではなく観客の心を確かに揺らしたに違いない。

『Yearning』のひたすらに切ないギターの音色が響いた瞬間から、MONOは聴き手の心の奥の方へとすでに潜り込んでいた。透明な哀しみに満ちた、儚くも優しいメロウな前半から、激しい展開で轟音へと変化していく。生と死、光と闇、救済と自戒、全てを冷静に見つめ、そして全てを許すような感情を内包した音には、立ち尽くし聴き入る他はない。中盤に演奏された『Moonlight』は正に圧巻で、様々な情景や、普段は忘れている、または忘れたフリをしている感情が浮かんでは消えた。それは、MONOの音楽が限りなく“現実”と対峙して創り出されたものであるからだと思う。緩やかで美しいのに、力強く説得力があり、酷く孤独なのに、温かく優しい・・・そんな確固とした音が紡がれていく。フロアには大勢の観客が居たが、皆、孤独を抱きしめながら、独りぼっちで聴いていたのではないだろうか。それは少し泣けてしまうくらい、綺麗で素敵な光景だった。新曲を含む全5曲、MC一切無しの緊張感に包まれた、絶対的に美しいステージだった。

照明が落ち、スクリーンで11月に発売予定のenvyの10年以上に渡る長い歴史が凝縮されたDVD映像が流れ、静かに期待が高まったところにステージの幕が開いた。『歪んだ先に』『覚醒する瞳』『左手』と、序盤から次々に演奏される新旧織り交ぜてのセットリストにフロアの熱も一気に上がる。足を踏ん張って、真正面から向き合わないと自分を保っていられないんじゃないかと思うくらい、全身全霊で鳴らされる音と、叫ばれるヴォーカル。静と轟のコントラストが美しい、素晴らしく壮絶なエネルギーに満ち溢れたステージから、目を逸らせなかった。どうしようもなく感情を揺さぶられてしまうのは、涙が零れてしまうのは、envyが本当の意味で“希望”の音楽を鳴らしているだからだ。アンコールに応えての『さよなら言葉』では、フロントマンであるTetsuが自らフロアにダイブするという場面もあり、観客の熱気は最高潮にまで達した。“今まででは有り得なかったことをやっていきたい”というTetsuのMCが象徴するように、はっきりと他者とのコミュニケーションを求める今のenvyの生命力の宿った姿には、胸の高鳴りを抑えることが出来ない。ステージからメンバーが消えても轟音は鳴り止まず、心地良い余韻がしばらく消えることはなかった。

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