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FACT & LIQUIDROOM presents VALENTINE ROCK

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02.14.SAT FACT & LIQUIDROOM presents VALENTINE ROCK
Caravan,bonobos,DOES,長澤知之,Any
DJ:鹿野淳

「チョコレートもいいけれど、一粒のチョコよりも一曲のロックのほうが大切だ――そんなリスナーと共に、一夜だけの祝祭をここに開こうと思う。愛のロックに狂う夜、最高じゃないか。(鹿野 淳)」—–2月14日は最早恒例となったVALENTINE ROCK、3年目となった今年もリキッドルームとMUSICAを制作しているFACTとの共同プロデュースでの開催である。例年通り前柵が取り除かれフロアと最も距離の縮まったステージと、「チョコが甘いからすっぱいものを」という鹿野さんからのプレゼントであるみかん600個(!) の無料配布。そして特別な日に鳴らされるべき、特別なラブソング。なんて幸せな夜なんでしょう。

まずはAnyから、Gt&Voの工藤がギターを一本抱えてソロで登場。「こんばんは、よろしくお願いします。」という短い挨拶の後に、アコースティックギターの優しいアルペジオで始まったのは『バースデイ』。耳に残るメロディーと、爽やかでありながらも深みのある唄声が交わり弱冠19歳という彼の無限の可能性を感じさせられる。『キャラウェイ』、『カナリア』と全三曲を丁寧に弾き語って工藤はステージを去った。まだCDデビュー前とのことでAnyのことをまだ認知していないオーディエンスが多かったはずではあるが、確かな存在感を証明するアクトとなった。

続いては長澤知之が、飄々とした風貌で軽やかに登場。こちらもギター一本での弾き語りスタイル。一曲目の『マカロニグラタン』からハイトーンボイスを自在に操り、圧倒的な個性で会場の空気感をがらりと変えてしまう。強烈に印象に残るその声とメロディーを武器に、ステージに立つ彼はリラックスした雰囲気で自由に音を楽しんでいるようだった。しかし同時に彼に宿っていたのは滲みだす狂気である。私達の生きる日常、生ぬるい現実世界を暴くように、曲が進むにつれてより歪みと凄味を増していく彼の音楽は衝撃的でさえあった。ミニアルバムが発売間近ということもあってか『幻覚』、『ラヴソング』、『24時のランドリー』など、セットリストには収録曲が多く盛り込まれ、長澤知之の新しい一面を覗かせていた。

三番手となったDOESは、なんとバンド史上初となるアコースティックセット。『赤いサンデー』で始まったライブは、いつものひりひりした焦燥感を内包したDOESの音像からは想像も出来ないような、終始温かく優しい、ゆったりとした雰囲気である。MCでは「こんなんなかなかやらんからね、緊張するよね。」とGt&Vo氏原が話してはいたものの、メンバーの気合いも十分で、この日の為に用意したというアコースティックベースも妙に馴染んでいたのが印象的。『君は僕の好み』や『ハッピー・エンド』など、お馴染みの曲もアコースティックバージョンでは印象ががらりと変わる。『サブタレニアン・ベイビー・ブルース』では会場からの手拍子も合わさり、緩やかな一体感が本当に気持ち良い。途中には爆笑もののMCや客席にみかんを投げ込む珍プレイをはさみつつも、THE BLUE HEARTSの『青空』や、フィッシュマンズの『いかれたBaby』のカヴァーも披露するなどプレシャスなステージに集まったオーディエンスは大満足な様子だった。

続いての登場となったのはCaravan。ハープの音色が響き渡り、一曲目の『Free Byrd』が始まる。軽やかなアコースティックギターの音色に優しく気持ちの良い唄声が重なると、たちまち会場中にピースフルな笑顔が広がる。ギターと時に打ち込みを交えながらも、体一つで、最小限の音数で最大限のパフォーマンスをやってのけてしまうCaravan。その自然体なスタイルと空気感は、私たちを何処か違う場所へと誘ってくれているようだ。まるで音で遊んでいるかのような心愉しく、幸福感に包まれたステージ。「久しぶりにうたう唄です。」との MCを受けて披露された『message』では、リズムに合わせて揺れながらピースサインを掲げるオーディエンスの笑顔が眩しく、そしてそれはとっても素敵な光景だった。ラストの『Soul Music』では光が降り注ぐようなメロディー、そして真摯なことばがすとんすとんと心に落ちては染みてゆき、正しい心の置き方を教えてくれる。誰もを幸せにしてしまうCaravanの魔法のような音楽に、酔いしれてしまうのは不可抗力であろう。

この日のラストを飾ったのはbonobos。2月14日に相応しく、SEは『バレンタインキッス』で登場。しかもなんとpercus松井は裸エプロン風の女装(!) で、ボウルを抱えチョコを作る乙女のような格好でステージに。会場は笑いと彼等を待ちわびたファンの歓声とが相まって大盛り上がりである。「ハッピーバレンタインbonobosです!」というGt&Vo蔡のコールを合図に始まったのは『ファンタスキッス』。疾走感のあるダンスチューンで一気に会場中の熱量が上がる。続く『光のブルース』もテンションそのままに気持ち速めのリズムで駆け抜けると、なんと『バレンタインキッス』のカヴァーを披露。ねっとりとした蔡の唄い方と爽やかな楽器隊の絶妙な絡みに会場はまたまた大盛り上がり。そして披露された新曲『オリハルコン日和』。実はこの日bonobos はメンバー脱退を経ての新体制で臨む最初のライブであったのだが、新曲はその今の彼等のモードを表すようなアップテンポでポップなキラーチューンに仕上がっており、ひたすらに楽しい彼等の音楽からはこれからも4人で音楽を紡いでいくという確固たる決意が感じられた。アンコールの『THANK YOU FOR THE MUSIC』ではこの日を締め括るに相応しい会場中を巻き込んでの手拍子、大合唱、そして溢れる笑顔。それはなんだか泣きそうになるくらい素晴らしい、正に愛の唄が鳴らされた瞬間であった。

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