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MO’SOME TONEBENDER

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MO’SOME TONEBENDER の自主企画イベントである“no evil night”、約一年振り、今年初となる今回はMASS OF THE FERMENTING DREGSをゲストに招いてここ、恵比寿リキッドルームでの開催である。

予定開演時間を10分過ぎた頃に暗転、大きな歓声に押されてまず登場となったのはMASS OF THE FERMENTING DREGSだ。左からサポートメンバーであるDr.吉野功、Ba.&Vo.宮本菜津子、Gt.&Cho.石本知恵美が半円形にポジショニングする。「せーのっ!」という掛け声の後に突然打ち鳴らされた雷鳴のような轟音が、一曲目『She is inside,He is outside』のスタートを告げた。強靭なバンド・サウンドに会場が揺れる。そして乗っけからの勢いはそのままに『I F A SURFER』へと突入。研ぎ澄まされた演奏にBa.&Vo.宮本の浮遊感、透明感がありながらも一本芯の通った唄声が映え、それによって何度も押し寄せる衝動的な絶頂と解放に揺さ振りをかけられる。合間に挟まれた「高校生の頃からモーサム好きで、私、初めて買ったCDが(モーサムの) 『echo』なんですけど・・・楽屋でサイン貰いました(笑)」という宮元の嬉々としたMCに会場が和むも、その後は一転、怒涛のパフォーマンスが続く。『このスピードの先へ』では石本のギターソロが広がりを持って駆け抜けていく様が気持ち良い。宮元が曲中に満面の笑みでピースサインを掲げていたのも印象的で、凄くストイックな音楽を鳴らしているのにも関わらず、自らが作り出す渦の中を全力で楽しんでいるのが伝わってくる。ライブが後半に進むにつれて際立ったのは、マスドレの重い轟音サウンドの中に感じられる繊細さ、柔らかさ、切なさである。その、ある種女性的とでも言うべきか独特な世界観は、他の誰にも真似出来ない彼女達だけが体現しうるものだ。ラストに披露された『ハイライト』、『ベアーズ』は正に圧巻。テンションの上がりきった会場を轟音で埋め尽くし、三人は足早にステージを去っていった。

続いて登場のMO’SOME TONEBENDER。一曲目の『TIGER』から気合いの入った演奏に集中力が高まる。『You are Rockn’ Roll』でじわじわと熱量を増し、『アンハッピーニューエイジ』ではそれが爆発したかのように会場中の拳が上がった。「じゃあちょっと新曲をやります」というGt.&Vo.百々のMCの後に続けざまに披露された新曲は『クローズ』と『TAKEI2000』。前者は空気感が重く尖った、静かに感情が燃えるギターロックな一曲。後者は速めのハードコア的要素を含んだ一曲に仕上がっており、バンドの新境地なるものを覗かせていた。ここで誤解を恐れずに書かせて頂けるならば、そう、彼等はいつも良い意味でさらりと意図的に、そして大胆にリスナーを欺く。しかしそれがどんな飛び道具的な楽曲であっても、これまでのイメージの破壊的な要素を持った楽曲でも、芯に宿るのが絶対的なロックンロールであるということ。それがモーサムの最大の強みであり、もっと言えば美しさであると私は思うのだ。更に畳み掛けるように繰り出されたのは、最近の彼等のライブでは恒例となっているメドレー。『光触』、『黒になれ』、『パレード』、『パルス玉』、『ラジカル・ポエジスト』という流れで、混沌を孕んだまま加速するスピードと振り切れんばかりのテンション高い演奏に圧倒される。「皆さんよう来んしゃった。最後まで楽しんで帰ってください」という百々のMCに続いて披露されたのは、なんと初期の名曲、『アナベル・リー』。百々の弾き語りから始まり、深い哀愁を内包つつ徐々に音数が増えていくドラマティックな展開には心が震えぐっと惹きつけられる。ライブではなかなか聴く事の出来ないレアなナンバーにオーディエンスからは驚きを含んだ大きな歓声が上がった。続く『day』は深めのリバーブが心地良い、スケール感の大きなインスト曲。しかしその流れで生まれた感傷的な空気を打ち消すかのごとく放たれた『ロッキンルーラ』で再び会場が揺れる。そのまま雪崩れ込むように『冷たいコード』、『ばちかぶれ』、『未来は今』、『HigH』と続く怒涛のメドレーへと繋ぎ、会場の熱気は最高潮に。そして本編最後に披露されたのは『GREEN & GOLD』。儚くも生命力を讃えたメロディーと強力なリズム隊とが一体となって、光に包まれる美しいラストとなった。更にアンコールでは『BIG-S』、『DUM DUM PARTY』で再び会場を沸かせ、この日のライブは全て終了となった。しかし彼等がステージを去った後も拍手と歓声はいつまでも鳴り止まず、それは心地良い余韻と相まって、この凄まじく壮絶でいて最高な一夜を物語っていた。

<セットリスト>
MASS OF THE FERMENTING DREGS
01. She is inside,He is outside
02. I F A SURFER
03. かくいうもの
04. このスピードの先へ
05. 青い、濃い、橙色の日
06. delusionalism
07. skabetty
08. ワールドイズユアーズ
09. ハイライト
10. ベアーズ

MO’SOME TONEBENDER
01. TIGER
02. You are Rockn’ Roll
03. アンハッピーニューエイジ
04. クローズ(新曲)
05. TAKEI2000(新曲)
06. 光蝕→黒になれ→パレード→パルス玉→ラジカル・ポエジスト
07. アナベル・リー
08. day
09. ロッキンルーラ
10. 冷たいコード→ばちかぶれ→未来は今→HigH
11. GREEN & GOLD
-Encore-
01. BIG-S
02. DUM DUM PARTY

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