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相対性理論 presents解析 I

相対性理論 presents解析 I

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自ら「ポストYouTube時代のポップ・マエストロ」を名乗り、結成から2年余りにも関わらずアンダーグラウンドシーンからお茶の間まで、今ノリに乗っている相対性理論。CDリリースやライブ活動によってシーンの注目を集めつつも、メディアへの露出は限りなく少なく、正体不明のバンドとして話題の彼等が遂にリキッドルームへ初登場!しかも今回はなんと彼等の自主企画ということで、チケットはもちろんソールド・アウト!!

まずはゲストバンドとしてsimが登場。大島輝之(guitar, composition)、大谷能生(computer, electronics, etc.)、植村昌弘(drums)の三人からなるユニット、sim。作り込まれた独特の世界観とノイズサウンドによって観客の度肝を抜くも、その加速する変拍子と変則的に繰り返されるミニマルフレーズに徐々に会場の集中力が高まっていく。最後には相対性理論のVo.やくしまるえつこと共に、相対性理論の『テレ東』を共に演奏し、彼等なりの解釈で再構築。確かな熱を持った演奏で会場を沸かせた。

二番手には渋谷慶一郎。ATAKを設立し音楽レーベルとして先鋭的な電子音響作品を発表し続け、また自身も精力的な音楽活動を続けている彼が今回選んだ手法はピアノ・ソロだった。スタンディングライブのステージにグランドピアノが一台という構図に少し違和感を覚えるも、そんな感覚は演奏が始まるとすぐに消え去ってしまう。序盤はそのテクニカルな演奏にスタイリッシュでクールな印象を受けたが、曲が進むにつれて時に攻撃的に、その表情豊かな音楽性を十分に魅せてくれた。

そしてついに相対性理論の登場である。「相対性理論、プレゼンツ。」という、Vo.やくしまるえつこのMCから始まったライブ。一曲目は『四角革命』。ポップネス溢れる演奏に求心力あるウィスパーボイスが絡む楽曲は実に耳に心地良い。しかしそれに対し、視覚的には全くと言っていいほど微動だにせず、何があっても無表情を貫いて唄うやくしまるの姿が印象的だ。だけど観ていて不思議と納得できてしまうその強い説得力は、彼女が元来纏っているオーラ、雰囲気に由来するものだろう。大半の観客も肌を密着させて立ちすくんでいた。それはステージの光景に圧倒されていたのか、はたまた固唾を呑んでステージを見守っていたのか。きっとそのどちらでもあったのだと思う。
『地獄先生』、『さわやか会社員』とライブは独特の雰囲気で進んでいく。「左を向いているのが、オーパーツ。」というMCに続いて演奏された『おはようオーパーツ』。そして『LOVEずっきゅん』では相変わらず無表情で無防備なやくしまるえつこと、それとは関係無く熱のこもった演奏で盛り上がりをみせる楽器陣というステージ上のシュールな温度差はもはやご愛嬌とでも言うべきか。
相対性理論の特徴の一つとして駄洒落のような語呂合わせを多用した展開の読めない歌詞が挙げられると思うが、このライブには一括してその詞世界と同様に展開の読めない空気感が漂っていた。その今にも空中分解してしまいそうな危ういバランスを支えていたのは、確かな演奏力で極上のポップスを奏でる楽器陣である。時にアグレッシブであったり、メランコリックであったりと柔軟な姿勢で多彩な音色を響かせるGt.永井と、その絡み合いが絶妙なBa.真部とDr.西浦というリズム隊。そこにバンドの要である紅一点のVo.やくしまるえつこが加わる。この4人だからこそ、相対性理論が成立するのだ。こんなにバランス感覚に長けたバンドマンは中々居ない。本当に面白いバンドである。
ライブ後半には打ち込み音を用いての新境地的な新曲も披露。そしてラストは『バーモント・キッス』。曲が始まったところで西浦と永井が先に退場し、残った真部とやくしまるによるキーボードと打ち込み音、ボーカルという新機軸での演奏となった。「おやすみ。」というやくしまるのMCでこの日のライブは全て終了。しばらく拍手は止まなかったがアンコールは無し。こうして振り返ってみると、全くもって圧倒的なインパクトを誇るイベントであった。

相対性理論は間違いなく、いま最も面白いバンドの一つである。彼等はこの夏、様々なフェスに出演予定とのこと。更にリキッドルームでは来る9月11 日、UKAWANIMATION! 主催の『HAPPY HOUR!!』に出演が決定している。急速な速さで世に浸透し、常に進化/深化していく彼等の姿を、ぜひその目で見届けて欲しいと思う。

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