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THE NOVEMBERS


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そのバンド名にちなんでか、11月に東名阪ワンマンツアーを敢行したTHE NOVEMBERSのツアーファイナルとなったこの日、チケットはソールドアウト!後ろの方までオーディエンスで埋め尽くされた会場に漂っていたのは、静かだが確かな熱気である。

開演時間を2、3分過ぎて暗転、4人がステージに現れる。会場からは歓声は上がらず、拍手のみ。ゆっくりとメンバーが各々の定位置に付く。
Gt.&Vo.小林祐介の右手が振りかざされ、掻き毟られたギターが鳴らしていたのは一曲目、『para』だった。小林&ケンゴマツモトの鋭利なギターサウンドと、それに絡むBa高松浩史とDr.吉木諒祐という強固なリズム隊。それらが交わり産み出される爆発的なエネルギーを誇る轟音を纏め上げる小林のボーカルは、時に痛切な叫びへと変わる。そんな4人の研ぎ澄まされた音像が、一丸となって聴き手の心に揺さ振りをかけてくるのだ。序盤は『Exit』、『Arlequin』と間髪入れずに疾走感のある楽曲が続き、「どうもありがとう。THE NOVEMBERSです」という短いMCを挟んで『アマレット』、『keep me keep me keep me』と緩やかで優しい楽曲でクールダウン。
ここでファンには嬉しい新曲を披露、『僕らの悲鳴』を挟んでまた新曲を連発。この日演奏された新曲は全部で三曲だったのだが、THE NOVEMBERSらしい中毒性のあるフレーズ、メロディーに加え、今までとは違った変化球的アプローチで外へ外へと開放されるエネルギーを感じるような、現在レコーディング準備中という次作へ更なる期待を寄せてしまう粒揃いの楽曲達であった。
「えー、たぶん今に繋がっている曲だと思います。17歳の時につくった曲を、その時の感じでやってみます」という小林のMCに続いて披露されたのは『marble』。そして『BROOKLYN』、『ewe』と緩急の付いたセットリストで攻めたてる。「僕2日前までドクターストップかかってたんですよ。今日も点滴打ってきて。あれ、これはウケないですか?おかしいな、捨て身だったんだけどな」なんて会場の笑いと心配を軽く誘いつつ、「東京では久しぶりにやる曲をやります」という紹介の後に披露された『アイラブユー』。甘美なメロディーで空間を支配していく。小林がアコーステックギターに持ち替えての『mer』、『philia』へと雪崩れ込むような展開。続く『dnim』では、小林の搾り出すような叫びに呼応するかのように、メンバーそれぞれのプレイがより攻撃的に激しくなっていく。メロウで切ない『ガムシロップ』を挟んで一旦落ち着くも、『she lab luck』、『こわれる』、『白痴』と激しいナンバーを畳み掛けて本編終了。

アンコールに応えて再びステージへと登場した4人、一曲目は『バースデイ』。しかし途中で小林のギターにトラブルがあり、一度仕切り直しとなってしまう。「大好きな白いギターにこんな目に合わされるなんて・・・」というMC に対して珍しくフロアからも声が飛び、張り詰めていた緊張感が少し緩む。続いて初期から演奏され続けている名曲、『ア_-オ』。そしてダブルアンコールにて披露されたのは『picnic』。白い照明がステージを照らし、轟音に揺らぐ美しくも儚いメロディーが会場全体を包み込む、目に焼きつくような圧巻のラストとなった。

とんでもなく弱く孤独な僕等は、だからこそ誰よりも深く、優しくなれるのだ、ということ。そんなことを考える。だからTHE NOVEMBERSの創り出す音像はどんなに激しくても、どこまでも優しく響くのではないだろうか。少なくとも、私にとっては。そしてきっと、あなたにも届くはずだ。

歓声もなく、拳を上げるでもなく、モッシュやダイブをするでもなくステージを見つめ、そこから放たれる音だけに集中するオーディエンスの姿は、とても象徴的で美しい、愛のある光景だった。

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