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COOL’S NIGHT!!!

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豪華絢爛! アツ~い一夜のCOOL’S NIGHT!!

 創刊15周年を迎えた人気ファッション雑誌『COOL TRANS』がお届けする〈COOL’S NIGHT!!〉。リキッドルームにて4組のアーティストによる盛大な誕生日会が幕を開けた。

 トップ・バッターに選ばれたのはゴーイング・アンダー・グラウンド。
 ストレートな歌詞と思わず口ずさんでしまうメロディが最大の持ち味である彼ら。「今日はさぁ……楽しんでってくれよ……」ヴォーカルの松本がそう言い放つとキラー・チューン“LISTEN TO THE STEREO”が流れ、会場のいたるところで笑顔がこぼれる。昨年のキーボードの脱退を乗り越え活動している彼ら。だが、それと引き換えなのか、ひとの心を動かす歌のもつ力、そしてよりエモーショナルな感情を手にしたようだ――苦難、挫折を経験していない奴の応援歌なんて誰の胸を打つことができようか?――短い時間ながらバラード~ロックまで、その振り幅の広さ、そして彼らの魅力をしっかりと堪能できるすばらしいライヴであった。

 2番手としてステージに上がるはモーサム・トーンベンダー。なだらかな立ち上がりから突如、つんざく様なギターの音、尋常じゃない音圧、そして暴れまくるステージング。今年1月までの実験期間を経た新生モーサムは開始から圧倒的なまでの熱量を帯びていた。とくに“HAMMER”中盤の間奏……会場上空によどんだ雲が発生してしまうのではないかと思うほどのノイズ、凄まじい演奏で混沌とした空気が漂っていた。
 途中、MCで「解散しちゃおうか~とも考えていた」と、漏らしていたヴォーカル百々。実験期間という場を設けて彼らのなかにどんな葛藤があったのか僕は知るよしもないが、圧巻的と言うべきあのライヴは観る者に訴えかける「なにか」がある。是が非でも、ライヴに足を運んでモーサム・トーンベンダーというバンドの“今”を感じて欲しい。

 3番目を飾るのはハマのスター、サイプレス上野とロベルト吉野。曲だけでなくMCでもフロアを沸かすふたりの存在感といったら、この日いちばんと思ったのは過言ではないだろう。なかば強引とも言えるほどのコール&レスポンスとハンズアップで会場全体がサ上とロ吉ファミリーになってしまう。この求心力、人を惹きつける力が1MC1DJというミニマルな編成でも他にひけをとらない。それが誰からも愛される由縁だろう。夏にピッタリなお祭チューン“バウンス祭”プレイ時、助走(オーディエンスを一度座らせる)をつけ、サビ部分で一気に爆発したあの熱気と大爆笑必死のMCは「これぞサ上とロ吉」……と、妙に納得してしまった。

 最後を締めるのはサ上とロ吉と同じ横浜出身のスペシャル・アザース。彼らはやはりライヴがよく似合う。
 “smile”演奏時にはキーボード芹澤が鍵盤ハーモニカを持ち、ギター柳下はアコースティック・ギターに、ベース又吉はジャンベ、ドラムの宮原はコンガに持ち替えた珍しいアコースティック・セットで、会場を心地よい音の桃源郷へと変えていく。
 インスト・バンドには、いわゆる皆でシンガロング……という一体感を作ることは難しいけれど、それぞれ好きなように体を揺らしたり、曲に聴き入ったりできる楽しみがある。しかし、スペアザに関しては、そのサウンドはインストと歌モノの中間にいるように思えてならない。複雑な曲構成と確かな演奏力ではあるが、決してそれに依ることはない。固くなりすぎず……でも緩みすぎもしない。そんな絶妙な均衡がとれた“踊れる”インスト・バンドという印象を受けた。
 アルバム『PB』からのリード曲“PB”を選曲し、しっかりとオーディエンスを躍らせて去っていった彼らだが、最後に新しいアルバム『THE GUIDE』の告知もちゃっかりとしていった(笑)。10月6日が待ち遠しいばかりである。

 1組30分程度の時間しか観ることができなかったのは残念ではあったが、非常に内容の濃い、充実した一夜であったように思う。それは、この日出演したアーティストすべてがみごとに“ライヴ”をしていたからだ。セットリストに一喜一憂するばかりがライヴではない。身体感覚全部を使って感じることができる、それがライヴの可能性ではないだろうか(……もちろん楽しみ方は人それぞれ、自由に楽しんで頂きたい)。ほんの少しだが、ライヴへの価値観が変わってしまう、そんな夜だったように思う。
(市川雅史)

<セットリスト>
■GOING UNDER GROUND
1.トワイライト
2.グラフティー
3.LISETEN TO THE STEREO
4.Summer’s Gone
5.Holiday
6.LONG WAY TO GO

■MO’SOME TONEBENDER
1.ashi
2.youth
3.L.O.V.E.
4.JUNK
5.HAMMER
6.ロッキンルーラ

■サイプレス上野とロベルト吉野
1.イントロ
2.時は来た!
3.ピーターパイパー×ドラミング
4.サ上とロ吉
5.LET’S GO遊ぼうZE
6.山びこ(コール&レスポンス)
7.Bay Dream
8.バウンス祭
9.自己紹介
10.NEXT EPISODE
11.Dear MaMa
12.HIP HOP体操
13.WONDER WHEEL

■SPECIAL OTHERS
1.sunshine
2.wait for the sun
3.smile
4.Stay
5.PB
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(C)Riei Nakagawara

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