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THE BEACHES

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観といて欲しい状態ではあるので、無理矢理発表したんですよ——突然の活動休止宣言、その真相とは?

9月17日の〈リキッドルーム〉のライヴで、一旦の活動休止を宣言したビーチズ。2006年の結成から、昨年のサード・アルバム『ハイヒール』のリリースまで、快調に飛ばし、今夏も着実にライヴをこなしている彼らだけに、あまりにも唐突なこのタイミングでの幕引きには動揺さえ感じる。さて、彼らのなかでなにがあったのか? メンバーのヒサシ the KIDに、突然の活動休止宣言の理由を中心に話を訊いた。







── すでにご自身のページなどで発表済みですが、サード・アルバムをリリースされてから1年で、いまこの地点で9月17日のライヴをもってバンドの活動を休止すると宣言したのはなんででしょうか?

ヒサシまぁ、ひとつの決定的な理由があったわけじゃないんだけど、とにかく、ジェリーリー(ファントム。ビーチズの前身バンド)のときもそうだったんだけど……逆に言えばここまでよく続いたなと思ってるくらいなんですよ。ビーチズに関しては日頃から曲を作って、それがたまったら順番にアルバムをリリースしていくだけ、というバンドではなくて。なにかやりたいモードが見えて、そこに対して曲を作ろうというような感じのバンドなんですよ。それでこっちがすり減ってしまって、止めたくなったわけじゃ無いんですけどね(笑)。むしろ3枚目まで作ってみて、当初イメージしてたものよりもはるかに予想を超える形で作品を残せて。とくに3枚目はこんなところまで辿りつけたんだいう満足感があった。そこから次にどうしようかなと思ったとき、そこでうまく良いモードになれなかったというのもある。それにビーチズは2006年から2009年までの間のなかで、自分のなかでジャストなバンドで、ジャストな音を出したいと思ってて。そういう楽しさもあって、逆に2010年に入って、まぁ、なんか「休んでも良いかな」っていうのが結構あったんですよ。





── ビーチズの4年間で、全力疾走してしまったという感じですか?

ヒサシその感じはもちろんあって。自分のなかでは世界中の音楽とリンクできてて、それに盛り上がれてた自分もいたし、「これは絶対に次に来るから、先に俺がやってやろう」って思えたこととか、そういう部分で盛り上がれてて。そういう盛り上がりに関しては自分のなかで一段落ついた感じがあって、それもあって。





── 良い意味でやりきったと。

ヒサシだからバンド的にはいますごい良いかたちになってるんですよ。それは演奏的な部分でもそうなんだけど。もちろん続けるっていう選択肢もあったんだけど、年間を通して、アホほどライヴをして、それだけで転がって、ただ曲ができていくっていうバンドでもなかったから。なんかモードがあって「こういうことがやりたい」という気持ちがあって、それでやっと向かっていける気持ちになるバンドだったから。そういうのがひとつ……もちろん、これもひとつの理由という感じで、ほかにもいろいろ理由はあるんだけど。





── 全力疾走から、一度、立ち止まってしまったというか。

ヒサシそういう気持ちに自然になれてしまったというのが非常に大きかった。





── ビーチズの4年間がとにかく濃密だったと。

ヒサシ濃かったですね。





── メンバー内で、他の意見、例えば続けてみた方がいいとか、そういうのはなかったんですか?

ヒサシまぁ、なかったかな(笑)。





── ヒサシさんのほうで、なにかソロであるとか別のプロジェクトであるとか、やってみたいことが生まれたとかではないんですか?

ヒサシつねになにかしらやりたいことはあるんですけど、去年までの4年間は、自分がやりたいということとビーチズががっちりリンクしてた。だから他のことをやりたいとかはまったく思わなかった。でも、いま、やりたいことはないかと言われたら、もちろん個人的には「こんなのもやってみたい」とかたくさんあるんだけど……でもソロの活動とかは、いまはなにも決めてなくて。まずはとにかくビーチズをリキッドルームのライヴまでやって、それからゆっくり考えようかなと思ってて。





── 新しい音楽との出会いから生まれる刺激をエネルギーに進んで行くバンドだと思うんですが、逆にここ1年くらいで、そういうときめきがないという感じなんですか?

ヒサシそれはもちろんなくはないんですけど。あるんだけど……。





── それがビーチズとは近づかないと。

ヒサシそれもあるし、なんて言うんだろうな……まぁ、そこはあるかもしれない(笑)。この4、5年で、ビーチズって独特のスタイルではあるけど、ネタというか影響を受けた音楽というのはずっと昔からあるものだったりするじゃないですか。ビーチズと同じ様にそういった音に影響を受けた世界中のバンドたちが、この何年かで、1回、音楽的にもピークを迎えてると思ってて。いまはそこからみんな模索している段階だと思うんですよ。ビーチズもそうなんですけど。それにジェリーリーのときは1枚、1枚作るのに「どうなるんだろう?」と思って作ってた部分があって結果10数枚作ってて、自分のなかでがっちりと合ってたのって、本当に数えるほどしかなくて。それも「この曲と、この曲」とかそういうレベルでしかなかった。それがこの4年で作ったアルバム3枚は、音楽的にも気分的にも納得いくものができて。本当にそれは奇跡的というか。





── 4年間振り返ってみて、ビーチズの転機っていつですか? やっぱり結成したこと自体が転機っていう感じですか?

ヒサシそうですね。そこはいちばん大きかった。2006年に、あのタイミングであのアルバムを出せてなかったら、俺のなかでいけなかったというか。とにかくいろんな作品を買うのも楽しかったし、自分でもアイディアがたくさん出てきて、「こんなことできる!」というのがあったし。まだ方法論としては古くなったとは思ってないけど、いまビーチズ的な方法論でなにかやろうとすると、難しいところはあるなというのは正直あるんだけど。





── バンドって初期衝動を超えると、テクニック的な部分で補完をして成熟していくバンド、ビーチズみたいに一旦歩みを止めるバンド、あとはだらだら続けて駄目になってしまうバンドといろいろいると思うんですけど、ヒサシさん的にやっぱりビーチズには錆びてほしくないってことですよね。

ヒサシそれも本当にありますね。




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