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カーネーション / 曽我部恵一ランデヴーバンド / LOST IN TIME

カーネーション / 曽我部恵一ランデヴーバンド / LOST IN TIME

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カーネーション主催の、9月の夜空に響く3バンドの宴

 去年からはじまった“Eternal September”と銘打たれたカーネーション主催イヴェントの第2回目である。

 まずはトップバッターのLOST IN TIME。“約束”“列車”といった初期の代表曲でこの日の幕を開けた。微かに震えながらも優しく訴えかけるような海北のヴォーカルがエモーショナルな演奏に映える。元カーネーションの鳥羽修がエンジニアを務めた11月にリリース予定の新譜からは、“青よりも蒼く”と“ひとりごと”の2曲を披露した。前者はいまの彼らの決意が込められたようなアップテンポなナンバー、後者は、それぞれのこころのなかの孤独に共鳴するような、優しい名曲に仕上がっていた。そんな新旧曲を織り交ぜたセットリストで臨んだ彼らだが、すべての楽曲が一本の線で結ばれたようにきちんと同じくらいに響き届いていたのがうれしく、そしてすばらしいアクトであった。

 2番手に登場となったのは曽我部恵一ランデヴーバンド。後のMCで「集まった人たちがランデヴーすればそれがランデヴーバンドなんで」「はじめてやる人数です。今日だけです」と曽我部が語っていたが、この日のランデヴーバンドはなんと11人編成! ギター、ベースやドラムという通常のバンド編成に加えて、キーボードやホーン隊、パーカッションを交えた豪華ヴァージョンである。いつもより少しアダルトでムーディーな装い。それがまた曽我部の楽曲によく似合う。中盤に披露された“テレフォン・ラブ”ではそれぞれのソロパートも取り入れつつ、最高にキャッチーなメロディーで会場が揺れ、この上ない幸福感に包まれた。後半“STARS”では手拍子が広がり、程よく高揚しつつもリラックスして、音楽を随まで楽しむことのできるステージだった。
 ラストはステージにカーネーションの直枝政広を招き、曽我部恵一とふたりきりで“流星”を弾き語り。じつはこの曲、この日のためだけに曽我部が作ってきたらしいのだが(ふたりとも譜面台を置いてちらちら見ながらの演奏だった。本当にできたてほやほやだったのだろう)、1日限りのお披露目には勿体ない、甘くメロウなとっても素敵な楽曲だった。

 そしてお待ちかねのカーネーションは、サポートにキーボード上田禎、ドラム宮田繁男を迎えた新編成で登場。乗っけから“New Morning”で洗練された輝きを放つ骨太な演奏で、会場を一気にカーネーション色へと染め上げる。“やるせなく果てしなく”、“OOH! BABY”と立て続けに披露した後、メンバー紹介と軽い挨拶。「今日もアッパーなナンバーを揃えておりますので!」という直枝のMC通り、その後もロックンロールなステージで攻め立てた。特に“REAL MAN”からの“ANGEL”“ジェイソン”という流れは4人のせめぎあうような緊張感と疾走感が会場中を駆け抜け、場の熱量がガツンと上がったのを肌で感じることが出来る圧巻の演奏であった。
 本編ラストを飾ったのは、再び曽我部をステージに呼び戻しての“Edo River”。ジャジーで印象的なピアノのイントロに、会場がわっと沸く。曽我部もラップを披露し、直枝との掛け合いもばっちりである。
 さらにアンコールではLOST IN TIMEのふたりと曽我部も一緒にステージへ。“The End of Summer”と、カーネーションのデビュー曲である“夜の煙突”を全員で演奏、合唱しての大団円! 大きな拍手と歓声が巻き起こり、優しい余韻に包まれた一夜となった。(山田佳緒里)
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PHOTO BY 豊田明生

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