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THE NOVEMBERS

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激しく儚く、そして美しい、ノーベンバーズによる11月のワンマン・ショー

 11月にしては寒さが厳しすぎる、雨のぱらつく夜。今年で2回目となった、ノーベンバーズによるバンド名にちなんだ11月のワンマンツアー〈November Spawned A Monster〉のファイナル公演が行われた。ノーベンバーズの音楽には雨が似合う。幸せへの羨望と、心にぽっかり穴があいたような空虚感や切なく悩ましいイメージが、雨の薄暗くじめじめした空気と混ざりあう。

 “Misstopia”の陶酔的でやさしいメロディに神々しささえ感じさせたスタートから、“chil”“Exit”“僕らの悲鳴”と徐々に反抗心をあらわに荒々しい殺気をちらつかせ、一方で“アマレット”や“mer”のような悲しみに浸食されたメロウでダウナーな曲を重ねる。

「ノーベンバーズは激しいライヴ・パフォーマンスが魅力だ」とよく聞くが、彼らは決して“熱い”ライヴをするバンドではない。どちらかというと淡々と進めていくタイプで、キャッチーなキラーチューンなどは全く披露されないため、フロアもわりと常にしん……としている。しかし一時その場面がくると一瞬にして、おとなしい少年が急にキレだしたときのような、突然暴れ狂う、狂気と破滅感の渦まく冷たい熱気が溢れ出す。

 “Gilmore guilt more”や“I’m in no core”といったその狂気のステージが見られた後半戦で、気だるさが目立った“天井と管”は今や廃盤となっているファースト・デモからの披露。終盤はディストーションギターと小林のシャウトが胸をえぐるような“dysphoria”、刻まれるノイズと地を這う低音が崩壊をイメージさせる“こわれる”、サイケデリックでメランコリーな発狂をみせる“白痴”とまさにラストスパートのごとく爆発的な勢いを発した怒濤ステージで幕を閉じた。そしてそんな本編と打って変わって、2回行われたアンコールでは「逆光で見えないけれど、あなたが笑顔だったらいいな」との小林の言葉とともに、柔らかな光を彷彿させるメロウなナンバーを3曲披露。やさしいMCとやさしいメロディに、心のなかのもやもやなどがすべて洗い流された気持ちになった。

 反抗、悲愴、衝動、そして崩壊。時にはあたたかさもみせるなど、まるでわたしたちの変動的なこころの脆い部分をそのまま音にしたような、まさに心の代弁者ともいうべき音を奏でるノーベンバーズ。泥酔気味に感情移入しっぱなしの、静かに、しかし燃えるように激しい2時間だった。(知念正枝)

<セットリスト>
1. Misstopia
2. chil
3. Exit
4. 僕らの悲鳴
5. アマレット
6. ewe
7. pilica
8. philia
9. mer
10. ウユニの恋人
11. Gilmore guilt more
12. 天井と管
13. 新曲
14. I’m in no core
15. パラダイス
16. she lab luck
17. dysphoria
18. こわれる
19. 白痴

EN.1
新曲
バースデイ

EN.2
ア_-オ

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PHOTO BY OZK

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