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賛否両論どっちでも良い、ガラっと変えたかったんですよ。ステージ上で

 2年ぶりのワンマン・ツアーで全国を回り、ラストにはリキッドルームに登場するモーサム・トーンベンダー。引っさげるアルバム『STRUGGLE』も同じく2年ぶりの新作である。未踏の地を踏み荒らすように、アルバムごとに新機軸を打ち立てては圧倒的なエネルギーをもって作品にしてきたバンドが、向き合うべきみずからをも破壊したあとに見いだし、吐き出したもの。新譜のなかで「孤独な闘争インマイヘッド」と叫ばれるように、またアルバム名のように、バンドがバンドと対峙し、己と戦うなかで生まれた熱量がそのまま形になっている。
 リリースのない2年間もライヴ活動自体は続いていた。しかしアルバムという作品は生み出されなかった。前回のツアーを終えてからの沈黙、そして新作完成に至るまで。新譜を中心に、ギター/ヴォーカルの百々和宏に話を訊いた。







── 2年ぶりの新作『STRUGGLE』がリリースされるまで、“潜伏期間”と呼んでいた2年間はどのように過ごされていたのでしょう。

百々潜伏とかいいながら、ライヴはしっかりやってたんですけどね。まぁ、ライヴやりつつ、曲作りしつつ、暇なときはボーっと(笑)。





── 2009年末から“実験期間”と称する期間のなかでライヴをやっていましたが、実験期間から『STRUGGLE』への流れはダイレクトに繋がるものでしたか?

百々実験期間があったから、いまのモードにいけたというか。「モーサム・トーンベンダーをぶちこわせ」っていう、そういうのがサウンドとか歌詞とか曲作りの面でどんどん形になってきた、っていうのがあって。それが実験期間に見えてきた感じですね。





── ではさらに前、前作『SING!』が出てから実験期間に向かうまでは。

百々ほぼ1年ぐらいの間、「あーでもない」、「こーでもない」って言いながらやってて。なんかしっくりこないなぁ、というのが続いていたんですよ。前のアルバムがモーサムの中でも、一番サニー・サイドに振り切ったアルバムだったので、それから比べるとちょっと……今回の『STRUGGLE』はねぇ。





── かといって、一概に前作からの反動ってことでもない、ですよね?

百々う~ん、でもやっぱり反動っていうのはでかいですね。ライヴでバコーンってテンション上げて盛り上がれる曲を作ろうって話を『SING!』のツアーの後にしていたんですけど。それは、もうやっぱり『SING!』のツアーが消化不良という感じがあったから。これまでのライヴにないぐらいステージでの音作りに集中しないといけないとか、聴かせなきゃいけないという部分が先に立ってしまって。まぁ、それでお客さんを置いてけぼりにしてしまったところもあったかな、と感じるところがあったので。





── お客さんとの距離感というか。

百々うん。それが反動として出て来たっていうのはあったと思う。でも、その去年作った曲よりも、実験期間を経て作った曲の方が何倍もえぐい曲ができたんじゃないかと(苦笑)。





── 〈STRIKES TOKYO〉(モーサム主催、10月に都内で全4回・ウィークリーで行われたイヴェント)では実験期間より後のムードが濃かった印象があるんですけど、そのときの客席のリアクションはいかがでした?

百々やっぱりね、ちょっと、お客さんも目の色変わってるなというのは、ステージから見ててもわかりましたね。





── ステージとフロア、お互いのテンションが上がるような状態、というのを求めていたんですよね。

百々そうですね。とくにこの次に出すべきアルバムはステージ上でイントロを鳴らしただけで、会場が「ウォー!」ってなるようなものじゃないと、というのがあったので、それがまずは一番でしたけどね。





── 〈STRIKES TOKYO〉、全回見に行かせて頂いたのですが……。

百々え、ありがとうございます。





── まさにイントロからヤバい! という曲ばかりだったので、ライヴだけでなく音源で聴くのをとても楽しみにしてました。そういえば実験期間ライヴのときの曲、“アイデンティティ”(新譜収録曲)で使われてますよね? ライヴでは見たけれども収まっていない新曲が何曲かあるなぁ、と思いまして。

百々結局アルバムに入れなかった曲も結構あったんですよ。作っている期間も長かったので曲数自体多くなったんですけど、厳選して悪い曲ばかり入れたんで(笑)。エグい曲というか。まぁ、バンド自体もささくれ立ってたんで、それに合った曲だけを選んでアルバム1枚にまとめました。曲のクオリティとか善し悪し以上に曲の空気感――ピリっとしたのを入れたかったので。それで漏れた良い曲もたくさんありますね。





── あと、今回はソニック・ユースのカヴァーも収められていますが、何故このタイミングでカヴァーを?

百々いや、もう軽い気持ちですよ(笑)。スタジオでやってみようか、っていうだけでアルバムに入れるとは思ってなかったぐらいの曲なので。





── じゃあ他に候補曲があったとかでもなく。

百々今回はソニック・ユースしかやらなかったです。奇をてらってアレンジするとか、そういうものではなくて、単純にいまの気分でコピーしてみようと。それでざっくりドーンとやったら評判が良くて。





── いまはメンバー3人と、サポートドラムにSPANK PAGEの水野雅昭さんを迎えての4人体勢(※HINTOより菱谷昌弘を迎えることもある)でのライヴですが、今後、音作りも4人でやっていくことはありますか?

百々うん、リハも4人をやってるので、あとは音作りもライヴの延長でやっていくとは思いますね。まぁ、レコーディングになったらどうなるかわからないですけど、曲作りも4人いたほうが楽なときは4人でセッションしながら作ったり、そういうのは全然あると思います。





── 他のインタヴューでイサムさん(ドラムの藤田勇)が『STRUGGLE』にはライヴ感のある曲が少なかった、と仰っていたのですが、その「ライヴ感」のニュアンスってどういうものなんでしょう。

百々それは実験期間中にライヴでツイン・ドラムで叩いてる曲があったんで、そのライヴで培ったツイン・ドラムの実験期間後のニュー・モードで、ステージ上で再現できる曲を作りかった、ということだと思います。要はツイン・ドラムで1曲っていう。それが無かったっていうことだと思うんですけどね。でも、ステージでギター2本というのを前提にして作った曲もたくさんあるんで、その辺はある程度ライヴを想定して作れましたけどね。あとはミックスの段階でも「ライヴじゃ、もっとひどいでしょ」っていう音の整理整頓というより、どこまではみ出した音にするのか、というのをやってましたね。





── 4人体制、ライヴではフロントに三人横並びな訳ですが、新鮮味とか違和感とかあります?

百々いや~、もう違和感しかないぐらい、すごかったっすね。





── 向かいあってギターを弾くとか、観てる側も「いままでじゃありえないなぁ~」と思っておもしろくて。

百々賛否両論どっちでも良いので、なんかガラっと変えたかったんですよ。ステージ上で。なんていうか、問題を起こしたいというか。予定調和が嫌でずっとやってきた部分はあるので、あり得ないことをやっていくという感じですね。





── イサムさん、暴れてるだけのときとかもありますもんね。

百々そんなことになってます? ああ、もうちょっとちゃんと弾けって感じですよね(笑)。飛び道具と化してますからねぇ。





── 今回は逆ギレ感というか、攻撃的な歌詞が強い印象なのですが、こういう言葉のセンスに何かの影響ってありますか?

百々言葉のセンス……たくさんあるとは思うんですけど、どれだろう……ミュージシャンで「おお」って思ったのは井上陽水とか……そうですね、三上寛、町田町蔵、遠藤ミチロウとか……古い人ばっかりになっちゃいましたね。





── 伊坂幸太郎さんがモーサムについて言及されていたり、自身も古川日出男さんと対談されたりしていますが、文学方面の影響は?

百々なにかしらはあるとは思いますけど、直接の強い、誰の影響というのはあまり浮かばないですね。まぁ、コラム書くときは中島らもの軽い感じとか……あの必ずオチが付く感じとかはありますけど。





── 音楽とは関係なく、最近、おもしろいと思った本はありますか?

百々マネージャーからすすめられて読んだ本が最近あったんだけど……西村賢太『苦役列車』。





── 〈STRIKES TOKYO〉では毎回のようにライヴでトラブルがあったようですが、失敗転じて逆にテンションの上がったトラブルとかありますか?

百々まさに〈STRIKES TOKYO〉での“Bad Summer Day Blues”という曲で、シーケンスが鳴らなかったというのが。シーケンスが鳴らない、つまり曲の出音が5割出てないという状態なので、それを人力のみでやったのがなかなかシビれる経験でしたね。最初はシーケンスが鳴ってるけど「あ、外音がフロアに出てない」って。でもサポート・ドラマーの耳につけたイヤフォンからはシーケンスのクリック音は鳴ってて、だから彼は全力で叩きはじめて、外に音が出てないのに気づいてない(笑)。ドーンと出てるもんだと思って叩いてて。俺らもとりあえずドーンってはじめてみたものの、音はスッカスカで。でも止めるより1曲やりきったほうが楽しいなと思って、その場でアレンジを考えながら、お客さんにはさも「これがニュー・アレンジです」という顔をしながら演奏しきったんですよ。





── 「ライヴのエクスクルーシヴ・アレンジです」と。

百々そうそう(笑)。反応がどうだったのかわからないですけど。





── アルバムに至るなかで、そういうアクシデントから生まれた曲みたいなのはあったりしますか?

百々アクシデントねぇ……う~ん。でもねぇ、今回のアルバムの曲はほぼサウンドや曲調とかだけ聴くと、スタジオでドーンとセッションしたように聴こえるかもしれないけど、結構デモから作り込んで作った曲ばかりなんですよ。最後の“Kingdom Come”という曲は、演奏に関係のないドラムとノイズ・ギターと武井(Ba)のヴォイスが入って、アレは、まぁ、ひどいアレンジですね(笑)。でも、ある程度デモが仕上がってから、スタジオで録った曲が多いので、スタジオの中でのマジックというか、災い転じて福となす、みたいなのはそんなになかったかな。





── 今回はアルバムが全体的に、最初からしっかりと一貫したところでできたというか。

百々そうですね。まさにタイトル通り『STRUGGLE』という感じで。





── 新譜も久々ということで、ワンマンのツアーも久々ですね。

百々2年ちょいぶり。ツアーはね、本当に寿命が縮まるようなライヴを1本、1本やらんといかなぁと、こういうアルバムを作ってしまったんで。ヘトヘトにならないと意味がないなと思ってて。でも、やりきれたライヴはすごく気持ちいいので、そういうライヴをたくさんやれたら良いなと思ってますね。リリースしてからはライヴやってないですけど、10月のイヴェントあたりからお客さんも加速度がついてきたというか、盛り上がり方が尋常じゃなくなってきてるので、あれをね、全国でやれたらと思いますね。







MO’SOME TONEBENDER
百々和宏(Gt&Vo)、武井靖典(Ba)、藤田勇(Dr)から成る福岡出身の3ピースロックバンド。1997年、福岡で結成。2001年『HELLO!』にてメジャー・デビュー。2009年11月、公式HPにおいて実験期間突入を宣言、サポートドラムを迎え変則編成でライブを決行。2010年5月22日より、本格的に活動開始。最新作『STRUGGLE』に至るまで、12枚のアルバムをリリースしている。

  • 『STRUGGLE』(TRIAD / COLUMBIA)
  • MO’SOME TONEBENDER

ひさびさの新作となる『STRUGGLE』のレヴューはこちらへ!

2011.1.31.MON
MO’SOME TONEBENDER
“TOUR STRUGGLE”
公演詳細はこちら

『TOUR STRUGGLE』
1月16日(日)仙台MA.CA.NA  
1月20日(木)広島CLUB QUATTRO 
1月22日(土)福岡DRUM Be-1 
1月25日(火)名古屋CLUB QUATTRO
1月26日(水)心斎橋CLUB QUATTRO
1月28日(金)札幌BESSIE HALL
1月31日(月)恵比寿LIQUIDROOM
http://www.mosome.com/

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