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ミドリ

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ラスト・パーティ・オブ・ミドリ

 2010年12月25日クリスマス。USTREAM番組“居酒屋、後藤まりこ”にて、後藤まりこ(Gt.&Vo.)本人によりバンドの解散が発表された。突然の発表にその信憑性さえ疑ったファンも少なくはないだろう。事実、ミドリの公式サイトに解散について記述されたのはライヴを終えた翌日、大晦日だった。解散発表後にチケットは即完売。ミドリはこの日、2010年12月30日リキッドルームの単独公演をもって、約7年間に渡るバンド活動に終止符を打った。

 Twitterにて後藤(Gt.&Vo.)が「パーティーしよう」とファンに伝えていた通り、リキッドルーム2階の入り口とステージは銀のテープで装飾され、パーティー会場を演出。
 フロアは長年ミドリの活動を見届け、懐かしそうにその頃を振り返るファン、初めてミドリのワンマン公演を観に来たファン、親子連れやミドリのバンド仲間など、パーティー会場はミドリのファンで超満員だ。

 オンタイムでSEと共に小銭喜剛(Dr.)、ハジメ(Key.)、岩見のとっつあん(Ba.)、そしてステージ中央に後藤まりこ(Gt.&Vo.)が登場。大きな拍手と歓声に包まれるが、いつもと違う後藤がそこには居た。大きなリボンのついたトップスにピンクのスパンコールがあしらわれた白のシフォンスカートを合わせたアパレル・ブランドTOGAのドレスを着て登場。 

 さぁ、パーティーの幕開けだ。

 後藤(Gt.&Vo.)が愛情たっぷりに可愛らしく唄うしっとりとしたナンバー“鳩”から始まり、ハジメ(Key.)が「いくぞー!」とフロアに叫び“愛のうた”、“うわさのあの子”、“エゾシカ・ダンス!!”などインディーズ時代の楽曲も披露し早くも場内は狂気に満ちていった。

“あたしのお歌”を演奏し終えると後藤(Gt.&Vo.)はギターを一旦置き、「今日は……12月30日……です。今日、ミドリは……解散します」と、今日初めて直接《解散》という言葉を口にした。「いままでできた曲のなかで、ボクが一番ハードコアやと思ってる曲をやります」と言ってミラーボールに照らされながら“スピードビート”が演奏された。

 楽器の音が止むとフロアからは「おい! 本当に辞めんのかよ!」など真相を問いかける声がメンバーに投げかけられる。すると後藤(Gt.&Vo.)はチューニングをしながら「なんで自分ら今日来たん? 最後やからやろ? ボク、解散なんて言うつもりなかったんよ。ホンマは。正直言うたら、解散する言うたのは、チケットが完売せんかったからや。めっちゃダサイやろ? けど、最後くらいぎょうさんの人で終わりたいやん……安心してや、別に無理心中計りに来たわけやない……ボクの投身自殺や。見といて欲しい」と、ファンを目の前に本音を吐露した。「ボクの嫌いな人も大好きな人も、腹立つ奴もアホな奴も、明日から毎日が、すこやかに、過ごせたら、いいと思う。すこやかに……」

 心を込めて優しく語りかけ、“リズム”、“ハウリング地獄”と感情をありのままに剥き出しにして表現した。そして「最後までわがまま聞いてくれてありがとう……ボクはわがままや」(後藤)と言って、音響や照明などミドリに近く関わるスタッスひとりひとりの名前を挙げ「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。
「あと4曲で終わりや」と後藤(Gt.&Vo.)が言うとフロアから「えー!」という反応に対して「うるせぇ! 3000円だ! こんなもんだろ! こっちはちゃんとやってんねん! だまれ!」と怒鳴りつけ笑いをも誘った。

 パーティー会場もダンスフロアと化した終盤、“swing”では後藤(Gt.&Vo.)が唄いながら客の海に飛び込んだ。はじめよか! 終わりをはじめよか!」(後藤)客の波に身を委ね導かれるままにフロア中央まで流れ、ミラーボールを抱き、後藤(Gt.&Vo.)に向けてみな拳を高く突き上げた。カオティックに“どんぞこ”を演奏し唄い上げ本編ラストとなった。

 鳴り止まない声にならないような叫びと拍手に応え、後藤(Gt.&Vo.)はかつてのトレードマークだったセーラー服に着替えてメンバーと共に再び登場した。
 アンコールでは“獄衣deサンバ”、“あんたは誰や”、“POP”と初期の楽曲を披露。“あんたは誰や”で後藤(Gt.&Vo.)は自身のマイクで激しく頭を殴りつけ鈍い音が響き、顔には血がつたっていた。

 メンバーが去ってもやむことのない拍手に応え改めてメンバー全員が登場。ステージから去る最期の最後に小銭喜剛(Dr.)はフロアに向かって大きな声で「ミドリってかっこええやろ? わしこのバンド、めっちゃ好きねん!」とあらゆる感情が溢れ出した瞬間だった。「ありがとうございました!」と感謝を伝え、ミドリの最期のステージは幕を閉じた。

 ミドリというバンドは一見、刺激の強過ぎる近寄り難いバンドかもしれない。しかし、曲と詞がひとつになったとき、そこには愛、憎しみ、女と男、性などあらゆる人間の欲情やリアルな心の叫びが表現され、生々し過ぎるほどに人間臭いバンドだ。人間という自分自身の本能を垣間見るかのように。(荒木貴紀)

セットリスト
01. 鳩

02. 愛のうた
03. うわさのあの子
04. ゆきこさん
05. エゾシカ・ダンス!!
06. あたしのお歌
07. スピードビート
08. 愛って悲しいね
09. リズム
10. ハウリング地獄
11. 声を聞きたいのですが、聞こえないのです
12. 鉄塔の上の2人
13. swing
14. どんぞこ
<アンコール>
15. 獄衣deサンバ
16. あんたは誰や
17. POP
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PHOTO BY 西槙太一

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