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鼎談:サイプレス上野とロベルト吉野×LATIN QUARTER(PPP)

鼎談:サイプレス上野とロベルト吉野×LATIN QUARTER(PPP)

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横浜からはじまるROAD2修羅、まずはその0章

 3月11日にリキッドルームで行われるサイプレス上野とロベルト吉野 presents『ROAD 2 修羅』。“ROAD 2 修羅”は、サイプレス上野とロベルト吉野が、まさにライヴの修羅へと昇りつめるため、大物アーティストたちを招いて、その胸を借りる競演の宴となるライヴ・シリーズだ。この第1回目のゲストは、横浜、そして日本のシーンを代表するダンスホール・レゲエの巨頭、ファイヤー・ボール。サ上とロ吉の本拠地でもある横浜を象徴する超大物がシリーズの第1回目の登場と相成った。
 さて、今回は“ROAD 2 修羅”のスタート記念といたしまして、“ROAD 2 修羅”以前までのサ上とロ吉の道のりを良く知る人物に登場願った。今回のアフター・パーティにもDJとして出演予定のLATIN QUARTER。彼は、シングル「On The Way Down」や昨年夏のアルバム・リリースでライヴに引っ張りだこなLUVRAW&BTBなどが所属する横浜のアーティスト集団PAN PACIFIC PLAYA(通称:PPP)の要でもある。同じく横浜を拠点に活動をし、サイプレス上野とは一時期同じ職場で働いたという。さて、“ROAD 2 修羅”に至る過去から現在までのサイプレス上野とロベルト吉野のその道のりとはいかに。







── それぞれの出会いって、いつ頃ですかね?

LATIN QUARTER(以下LQ)いつなんだろうね。
上野一緒に働く前から(2010年に閉店した横浜のレコード店〈ディスク・ウェイヴ〉でふたりとも働いていた)、空手さん(空手サイコ=LATIN QUARTERの別名儀)にトラックは貰ってたからなぁ。「ヨコハマジョーカー」をお店に置いてもらってるときにCDRで貰ってたんだと思うんですけど。その頃の話でよく憶えてるのは、俺が「飲み会行きたいから売り上げ精算してくれ」って言いに行ったら、すげーどんぶり勘定で「納品書ないからこれくらいでしょ?」みたいな清算してくれて。でも、思ったよりも金額くれて、「チョー熱い」って(笑)。
LQまだそのとき俺も店長じゃなくて、バイトかなぁ。7~8年くらい前。でも、そのときはお互いを知ってたから……なんで会ったのかわからないよね。
上野まぁ、〈ディスク・ウェイヴ〉には買いに行ってましたからね。
吉野そうっすよね。
LQなんで知ったのかはよく憶えてない。まだその頃は現場で一緒にやるってことはなかったからね。やけ(のはら)くんのかな。
上野っていうかイシカワ(ミスターメロディ、PPPのメンバー)でしょ。俺らが謎に〈Hey Mr.Melody(横浜長者町の〈Bar MOVE〉でミスターメロディー、やけのはら、タカラダミチノブが行っているレギュラー・パーティ)に呼ばれ出して、そこからじゃないかな。
LQアレ……いつだろう。さっきからなんにも憶えてない(笑)。いつの間にか一緒に働いてた感じだし。
上野〈RAW LIFE〉を千葉でやった後ですね。
LQそんな後だっけ?
上野たしか、俺、〈ディスクユニオン〉をクビになった後で、その噂を聞きつけた〈ディスク・ウェイヴ〉の上のひとが「やんないか?」って。
LQそうだ、うちでは割とCD扱ってたよね。ミックスCDとか。まぁ、レコード店に入ってからは四六時中会ってるからね。お互いに二日酔いで嫌なひどい顔して働いてた。
吉野金、土と続けてイヴェントあった後、月曜に店に行くと、すげーどんよりした空気が店中に(笑)。
LQ俺らの体調で店の雰囲気がぜんぜん違う店。そのぐらいに俺も横浜に引っ越して、上野くんがやってた〈建設的〉とかにも行き出して、どんどん仲良くなって。





── 時期的に言うと、まさにサ上とロ吉がアーティストとして、どんどん人気を集めていく時期ですよね。

LQそうそう、うちのシフトになかなか入らなくなってくる感じで、だんだんステップ・アップしていくのがわかるっていうね。「あれ、こんな働かなくて良いのかな」が「あ、こんな働かなくてもなんとかなるようになったんだ」に変わっていく時期(笑)。でも、あの時期は濃かったね。毎回のように仕事終わると呑みに行ってたし。
上野毎回のように終わった後で呑みに行って金使ってたから、シフトに入らなくなってからも収入は一緒でしたよ。シフトに出ればでるほど金使ってたから(笑)。給料が入ったら消費者金融がいくつか入ってるビルに行ってまずは1階から順に返していって、残りのお金で呑みに行ってた。
LQそれは残らないわ。俺もなんであのとき金が続いてたのかわかんないもん。
上野バイトに行かないでミックスCDシコシコ作って送ってても収入一緒じゃねぇかって感じでしたよ(笑)。あと、電話でラップされたのおもしろかったっすね。
LQそうそう、上野くんがちょっと有名になってから、お店にいることを打ち出して予約とったり、特典作って売ってたんだけど。電話かかってきて「上野さんですか?」って言われたから、単純に知り合いが電話してきたんだと思って電話代わったら、全然見ず知らずの地方の人みたいで「俺のフリースタイルを電話で聴いてくれ」って言われたらしくて(笑)。
上野普通の家の電話からかけてくるんで、いろいろノイズが入ってくるんですけど、でも「ヨー、ヨー」とかラップしてきて。でもお店のなかでうるさくて聞こえないから「すいません、ちょっと裏行きます」って、で裏でシーンと受話器から聞こえるフリースタイルを聴いてて(笑)。で、一通り終わったら「俺、返さないといけないのかな」って感じで。でも「お客様営業中ですので」って言ったら「ミックスCD注文して良いですか?」って言われて(笑)。





── ダハハ、基本は良い人じゃないですか(笑)。

上野しかも子供がいる人で、子供の名前でサインしてくれって言われて。
LQってことは、そこまで若くないでしょ、そのお客さんいくつなんだろうね。
上野誰だったんだろうっていまだに謎。あれはマジで伝説でしたね。





── PPPとサ上とロ吉周辺の距離感とか、なにか横浜って部分でまとまってる感じってありましたか?

LQ音楽で交わるってことはほぼないって感じがしてて、それよりも人間同士が混ざってるから混ざってるという感じで。
上野そうっすよね。
LQ横浜で、一緒にパーティやったとか、そういうのはほとんどないもんね。
上野やっても人来ないっすからね(笑)。横浜の街の空気的に。〈LOGOS〉だったら、ヒップホップがちゃんとかかってないといけないとか、日本語ラップだったら、日本語ラップやってるってしっかり打ち出ししないといけないとか。





── PPPも最近は活発に動いてますけど、近くにいて、どう思いますか?

上野単純に楽しいっていうか。本当、人間でつながってるっていう感じだから。まぁ、ひとつあるとすれば、だんだんイシカワ(Mr.Melody)が天狗になってるんじゃねぇかって。
LQなんで(笑)。
上野この前も江ノ島の〈Oppa-La〉で「なんだその態度」みたいになって(笑)。
吉野どっちもベロベロに泥酔してたから、しょうがないでしょ(笑)。
LQアハハ、じゃあ、その遺恨を軸に今年1年をやっていこうと(笑)。
上野そのアングルでね。その後、LUVRAW&BTBのライヴのときに「冬だけど2011年の夏に向けて“SUMMER MADNESS”(LUVRAW&BTBのアルバム収録のサイプレス上野参加曲)をやろう」ってことだったんだけど、ベロベロに泥酔してて俺も倒れてて。イシカワが「上野くんやる?」って言われて「おう」って起きたんだけどバーンってまた倒れて。結局なくなった(笑)。





── 作品に参加したりっていう以外に交流ってあります?

上野もちろん一緒にやるような現場は増えてますけど、楽しみ方が音楽的なところっていうよりも……。
LQむしろ居酒屋で会う方がしっくりくる関係(笑)。
上野同じ曲で「コレ、キたね~!」って交流はひとつもないですからね(笑)。
LQ「この酒、濃くね?」ってキャッキャッ言ってる仲っていうか。
吉野PPPの周辺も俺らのドリームの周辺もそうなんですけど、みんな酒呑みが多いんで。〈Oppa-La〉とかで呑んでると、耳の穴をバーっと突然舐められたりとか。
LQえ、突然、なんの話だよ(笑)。まぁ、曲自体もね、俺と上野くんがやってたりとかしかやってないもんね。





── なんとなく、外から見ると近いところにいるイメージはありますよ。

上野そう、近いのは近いんだけど。音楽的に近いっていう空気はないっていうか、それが流れてる場所では遊んだりするけど。





── 本人たち目の前にしてすごく言いにくいと思いますが、彼らの魅力はどこだと思います? 嫌いなところでも良いですけど(笑)。

LQ俺をもっとフックアップしてくれないところが嫌い!
(一同笑)
LQこれヒップホップっぽいでしょ? んなことは全然思ってないけど、やっぱりすごいのはライヴだよね。曲作ってる俺が言うのも変だけど。横浜にいたから名前だけは字面を知ってたんだけど、まぁ、なんかオタク系の変なひとたちなのかなと最初は思ってて(笑)。〈建設的〉であのジャケットでって言ったら「これはちょっと、このひとたち頭の難しい人たちかな」と思ってたら、最初の頃にライヴ観たら「え? こんなんなんだ」って。あとはやっぱりそれを作ってる人間を知ってからかな。どこかに“泣き”の部分があるっていう。人間に“泣き”が入ってる。





── ブルースですね(笑)。

LQ曲や歌詞にも“泣き”は入ってるんだけど、いちばん人間的な部分に“泣き”がある。そういう解釈で曲作るときは返してるんだけど。
上野“泣き”のトラック(笑)。
LQそっから来るメロウ感? そこが横浜っぽいのかもね。





── そして、今回は“ROAD 2 修羅”というサ上とロ吉と2マンでアーティストと共演するというライヴ企画で、今後もシリーズ化してやっていくんですが、今回はいきなり横浜の大先輩ファイヤー・ボール。

LQでも、これに限らず、ふたりはいろいろなところで、いろいろな人たちとやってるからすごく特異な感じはしないけど。今回は単なる異種格闘技の感じがしないというか、いつもと違ってちゃんとしたテーマがある感じがするよね。プロレスラーでも“異種格闘技用”っていう感じの選手っているじゃん? いままでそれだったのに、今回は自分のリングなのかなという感じがする。ほら、いままでだと他の団体から刺客がきたときに、まずはじめにぶつけられる選手っているじゃん? ああいう感じだったのが、いつの間にか自分の団体を持ってエースとしてやってる感じがあって。

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