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人生狂わす、ニクいやつ

なぜ出会ってしまったのだろう?ルーツはここにあり!?
ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?そんな“ニクイ”10枚をご紹介!

PUNPEE

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なぜ出会ってしまったのだろう? ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?
そんな“ニクい”やつらをご紹介。
今回は4月28日にリキッドルーム2Fのリキッドロフトで開催される〈Kon Air & Erection Presents FRIDAY〉に登場する気鋭のMC/プロデューサー、PUNPEEの人生を変えた10枚。実弟のS.L.A.C.K.、同級生のMC Gapperとともに活動する自身のラップ・グループPSGをはじめ、日本語ラップ界隈に新風を吹き込む奇才の極私的名盤とは?(取材:高橋圭太)




  • 『ノーカントリー(映画)』(2007)
  • ジョン・コーエン&イーサン・コーエン(監督)

── このページでは影響を受けた作品10枚を挙げてもらいたいんですが。
PUNPEE10枚って難しいよね……さっそく音楽作品じゃないんだけど挙げちゃっていいかな? 映画『ノー・カントリー』。公開直後も観たんだけど、またレンタルで観直してて。コーエン兄弟の作品はだいたい好きかな。『ビック・リボウスキ』とか『ファーゴ』とか。

  • 『グラインドハウス(映画)』(2007)
  • ロバート・ロドリゲス&クエンティン・タランティーノ(監督)

── パンピー君の映画好きはかなり知られてますよね。映画がモチーフの曲もあるし、ミックスCD『Mixed Bizzness』の冒頭なんかは20世紀FOXのイントロからはじまるでしょ。ほかに影響を受けた映画って?
PUNPEE『グラインドハウス』は最近だけどすごく好き。B級映画をまた掘るきっかけになった作品で。映像の処理の仕方も好きだし、完成度高いよね。ロバート・ロドリゲス(『プラネット・テラー』)とタランティーノ(『デス・プルーフ』)だったら後者のほうが好み、『グラインドハウス』だったら。

  • 「奇跡の地球」(1995)
  • 桑田佳祐&Mr. Children

── はじめて買ったCDとか覚えてます?
PUNPEEミスチルと桑田佳祐の「奇跡の地球」。音楽的な影響は全然受けてないけど、いまでも好きな曲。買ったのは……小4か小5くらいかなぁ。ダイエーで買ったのは覚えてる。妙に耳に残った印象があるなぁ。ミスチルの曲とかはポップスなんだけど、日本のポップスっぽくない引っ掛かりがあるよね。
── たしかに。ほかに日本の音楽でそういった“引っ掛かり”を感じるアーティストは?
PUNPEEゆらゆら帝国。特に歌詞なんか引っ掛かりしかないっていうか。でも一周してNHKの“みんなのうた”とかに選ばれても違和感ない感じってのはすごいと思う。

  • 『2001』(1999年)
  • DR. DRE

── 洋楽に興味を持ち出したのはいつ頃?
PUNPEE昔からリスナーとしては雑種で、リンプ・ビズキットとかナズとかビースティー・ボーイズとか買ってたかな。当時はスケボーもやってたし。でもヒップホップを意識した最初のアルバムってのがこれかな。ドクター・ドレの『2001』。ドレは『THE CHRONICLE』の評価も高いけど、個人的にはコッチのほうが好きだね。あれ、CD持ってたんだけど、弟が持ってっちゃったっぽいな……。

  • 『Hell Hath No Fury』(2006年)
  • CLIPSE

── ほかにヒップホップのアルバムで影響を受けた作品は?
PUNPEEうーんと……クリプスのセカンド『Hell Hath No Fury』はかなり食らったし、衝撃的だった。あそこらへんからミニマルなヒップホップ・トラックが流行りだした感もあるし。
── なるほど。90年代のいわゆるヒップホップ・クラシックみたいな作品が挙がらないのがおもしろいですね。
PUNPEEでも好きな作品はたくさんあるよ。サイプレス・ヒルの『Black Sunday』とか。ああいう汚した感じのヒップホップはカッコいいなって思う。

  • 『The Low End Theory』(1991年)
  • A TRIBE CALLED QUEST

── 90年代ヒップホップで好きなプロデューサーを挙げるなら?
PUNPEEそれこそサイプレスのDJマグスとか、ピート・ロック。バック・ワイルドも好き。プレミアももちろん好きだね。あぁ、トライブ・コールド・クエストも好きだ。
── トライブは好きなひとでもアルバムによって評価が分かれますよね。何枚目がいちばん好み?
PUNPEE俺はセカンドの『The Low End Theory』だね。次に最後の『The Love Movement』。あのアルバムはけっこうお手本にしてる感があるなぁ。ベースとドラムの印象がすごく強い作品だなって思ってて。
── 現行のヒップホップでお手本になるような音作りをしてるプロデューサーは?
PUNPEE俺ネプチューンズとドレーとティンバランドはずっと好きかな。最近だと……ってか最近さ、プロデューサー多いよね? でも強いキャラクター持ってるひとってなかなか少ないなぁ。ジャスト・ブレイズが台頭して以降くらいから、出音一発で判別できるプロデューサーってあんまりいなくなったような気がする。あぁ、でも最近だとエイラブ・ミュージックとかレックス・ルーガーなんかはわかりやすいかもね。このふたりはすごい器用だと思うけど。
── じゃあ、最近よく聴いた新譜のヒップホップ・アルバムは?
PUNPEE最近だったらキッド・カディ『Man On The Moon 2』とかサイゴン『Greatest Story Never Told』、あとレイクウォン『Shaolin VS Wu-Tang』くらいかな。あんまり新譜は掘ってないかも。

  • 『Midnite Vultures』(2000年)
  • BECK

── PSGとか、そのほかのパンピー君の作品を聴くと、いわゆるヒップホップ以外からの影響も強いですよね。オルタナティブでクロスオーバーというか。そういった素養はどんなアーティストからの影響があるんだろう?
PUNPEEベックじゃない? なかでも『Midnite Vultures』。これはリアルタイムで買ったなぁ、高校の頃。『Odelay』も『Mutations』もスルーしてたけど……あぁ、『Mutations』は親父が持ってたか。でもコレがいちばん好きかな。いろいろ遊んでる感じ。技術と想像力の高さがそのまま作品につながってるというか。

  • 『THE BEATLES』(1968年)
  • THE BEATLES

── 前にビートルズからの影響も受けてるっていう話も聞いた気がするんですが。
PUNPEE好きだね。特に『THE BEATLES』(通称、ホワイト・アルバム)。普通に好きな曲が多いアルバム。“Glass Onion”とか“While My Guitar Gently Weeps”、“Happiness Is A Warm Gun”とか。いちばん実験的にやってるのは『Revolver』あたりで、そこらへんも好きなんだけどね。実験しすぎてライヴを放棄するのとかすごいよね? PSGの“寝れない!!!”って曲もちょうど『Revolver』聴いてるときに作ってて、“これもライヴでできねぇなぁ”って思って作ってた。“寝れない!!!”はマイクからすごい離れた距離でラップ録りしてて、その音にコンプかけて、細かくミキシングしてたりしてて。だから声が変に聴こえると思うんだ。そういう誰もしないような実験はこれまでもけっこうしてる。
── ほかに誰にも気付かれないような細かい実験はある?
PUNPEE好あぁ、PSGの『DAVID』は全編ガム噛みながらラップ録る予定だったんだよね。
── ハハハ!
PUNPEEいや、それはウルトラ・マグネティックMCズが過去にやってたらしいってのを昔のブラストで読んでさ。やろうとしたんだけど、のどに詰まったりしたら危ないからやめた。でも結局“PSG現る 1972”はガム噛みながらのテイクだと思うんだけど。

  • 『DEEP RIVER』(2002年)
  • 宇多田ヒカル

── 日本国内のアーティストで誰かお気に入りはいます?
PUNPEEあ、宇多田ヒカルは入れといてほしいかも! アルバムでいったら……『DEEP RIVER』かな。昔から自分にとってのアイドルだね。ちょうどヒップホップとかR&B掘りだしたくらいに『First Love』とかが出て、そこからの流れとかすごい共感できるんだよね。実験的なことしてみたり、ポップな方向性に振れてみたり。そんななかでも『DEEP RIVER』が作品的には完成度高いって感じてるんだけど。
── 宇多田ヒカルはTRITON(KORG社のシンセサイザー)をトイレに置いてるっていうウソみたいな本当の話もありますよね。
PUNPEEへぇ。でも分かる気がするなぁ。たぶん思いついたときに形にしたいんだろうね。俺もトイレと風呂は思いつくこと多いかもしれないな。

  • 『花と雨』(2006年)
  • SEEDA

── 日本語ラップ界隈の作品でベストを選ぶなら?
PUNPEEあぁ、それならSEEDA君の『花と雨』かな。同じBACHLOGIC(以下、BL)君仕事でいったらDOBERMAN INCの『Mega City Five』も好きなんだけど、『花と雨』はSEEDA君のラッパーとしての華をすごく感じる作品っすね。そういえば、そこにあるプリアンプはBL君に売ってもらったやつ。
── SPL社のGold Mike MK2ですね。
PUNPEEそう。これは『DAVID』録ってる途中から導入して。だからアルバムのなかで音質が違うんだよね。

── 4月28日にリキッドロフトで開催される『FRIDAY』にはDJとして出演するわけですが、DJとしてのフィロソフィーってなにかあります?
PUNPEEそういうDJ哲学みたいなものが申し訳ないくらいなくってさ。好きな曲をかけることに徹してるかな。だから時間帯は遅い時間のほうがいいんだよね。
── 朝方とか、酔っ払ってからのほうが?
PUNPEEそうそう。それにメインの時間だとニーズに応えなきゃでしょ? 俺、みんなが聴きたいような曲わからないからさ。
── ハハハ。では最後に今後の予定を訊いて締めようと思います。
PUNPEEえーと、ガッパーのアルバムをいま手伝ってて、それ出した後くらいにPSGのアルバムを出せればな、って感じ。PSGはまだ全然どうなるかわからないけど。あと環ROY君の新しいアルバムに3曲提供してて、鬼君、ノリキヨ君のアルバムにもそれぞれ1曲収録される予定かな。挙げてみると、けっこうリリース多いっぽいね。まぁ、よろしくお願いしやす!

PUNPEE

1984年巣鴨の一心病院でうまれる(多分)。巣鴨の下町で育ち、ますや、ドンヒャラ村などの登竜門的存在を掌握。同じクラスの森忍さん(4年1組)とイイとこまでいくが家賃の問題で板橋へ左遷。夢の下町ライフがすべて台無しになる。しょうがねーからスケボーとかバンドとかして近所のガキと公園でfootballとかする。いつのまに2002年板橋録音クラブを結成。バックDJとしてふんぞりかえる。メンバーがやるきなさすぎて、ばれないバイト程度にフリースタイルしてたら、〈libra〉という怖い人たちがやってるウルティメイトエムシーコンテスト2006の東京大会で優勝してしまう。がたいの良いフリースタイラーたちの死体の山の上でおにぎりを頬張った。トラックメイカーとしてもその後 Seeda、Scars、環Roy、DJ Baku、鬼、等のHip Hopアーティストを中心にトラックを提供。2009年Akai主催によるサンプラー・バトル【MPC Gold Fingaz Kitchen】優勝、Myspace主催【Anarchy Remix】コンテスト最優秀賞など、良い言い方だと幅広く活躍中、悪い言い方だと何だかよくわからなく活動中。 2009 年、KrevaやZeebra、Bach Logic 達からの注目によって、実弟のS.L.A.C.K.、同級生のMC Gapper と共に結成したグループPSGの名義でlstアルバム『David』を発表。bounce誌やriddim誌などの各音楽誌上で2009年を代表するCD として選ばれる。

PUNPEE出演イヴェント
その他、POLICEMAN、Cherry Brown a.k.a. Lil’ 諭吉、SIMI LAB、円高ドル安など話題の日本語ラップ・アクトが多数出演!
4.28.THU(BEFORE HOLIDAY)
Kon Air x Erection presents 『FRIDAY』
-LIQUID LOFT-
■LIVE:POLICEMAN、Cherry Brown a.k.a. Lil’ 諭吉、SIMI LAB、円高ドル安
■DJ:DJ KEN-BO、grooveman Spot、PUNPEE(PSG)、YO!HEY!!
■FOOD:ikusaki(シロクマ食堂)、スナックケイジョー
詳細はコチラから

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