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ペトロールズ

ペトロールズ

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2012年は数多くのライヴと様々なアーティストとの対バン、極めつけは初の全国流通盤となったミニアルバム『Problems』のリリースなど、例年以上に精力的な活動を展開したペトロールズが本年の総決算とも言うべきライヴを行った。「プロブレムナイト」と銘打たれた本公演には、以前からのファンはもちろん、新作で虜となった人たちも含め多くの観客が集結し、その結果、ソールドアウトの大盛況。メンバーがステージに登場すると、大きな拍手と大歓声に迎えられ、期待感に満ちたライヴがスタートした。
まずはニューアルバムのリード曲となっている「カザーナ」。アーバンな雰囲気をまとい、たゆたうように力の抜けたサウンドからダイナミックに変転していき、なんともドラマチックな世界観を響かせる。ブラックフィーリング溢れるナンバー「水蒸気」、まるでジャムっているような自由度の高い演奏を見せつける「インサイダー」など、同じバンドとは思えないほどに曲調の幅が広い。それを可能にしているのは個々の確かな演奏力だ。長岡亮介の色々な音楽を吸収したギタープレイは、果てのない豊富なフレージングを生み出している。三浦淳悟の男気満点の佇まいから放たれる厚いベースラインと、河村俊秀の熱さと繊細さを併せ持ったドラミングで繰り広げられるリズムチェンジは、完全に意表をついてくれるので驚きと興奮を与えてくれる。メンバーみんながくせっ毛だが、それに輪をかけたような曲のひねくれ具合。しかし、そのひねくれが斬新であり、妙に心地良く響いてくるのだ。ライヴが進むほどに、その不思議なサウンドに魅了されていく。
2005年の結成当時のエピソード(三浦と河村が出会ってしばらくの間、ギクシャクしていたこと)や、その当時やっていた曲など、みんなの知らなかったぺトロールズを披露する嬉しいコーナーも。オルタナやグランジからの影響をあからさまに出した若々しさ全開の「貝」や、ギターフレーズの反復でどんどんとサウンドの世界観が膨らんでいく「気化」、ダウナーな雰囲気をぶち壊すかのごとく強烈なフレーズがぶち込まれる「ELF」など、結成当初からこのバンドのマイノリティーを証明する楽曲を制作していたことに驚嘆。バンドの目指していた方向性と、現在に至るまでの進化の過程を垣間見せてくれた。
そしてライヴは怒涛の後半戦に突入。「モラル」、「よなかのすうがく」、「OSCA」といったナンバーを並べ、観客を興奮の坩堝へと誘う。どの曲も狂っているようでありながら、ちゃんと緻密に計算された構成で成り立っており、相反するものが同居する不思議な世界には酔い痴れるばかり。曲の展開も目まぐるしく変化し、強大なグルーヴを形成していくがごとくに繋がっていく。そして名曲「雨」で本編が終了。
「雨」の歌詞に「逢いたい気持はこの雨のように……」なんてあるように、観客も再度逢いたい気持ちがいっぱいで即アンコールの雨を降らす。もちろんその声援に応え、アンコールでもしっかり2曲を披露。非常に中身の濃い、あっという間の2時間だった。
本人たち曰く、この日を表す漢字は「最高」の二文字とのこと。観客とのやりとりもいつも以上に多く、演者、観客共にお互いの喜びが混ざり合った極上の一夜。2013年、ペトロールズという異端のバンドのさらなる活躍を予感させるのに、まったく問題の余地のない素晴らしきライヴであった。まあ、もともと彼らの進むバンド道に問題などないのだが。

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