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人生狂わす、ニクいやつ

なぜ出会ってしまったのだろう?ルーツはここにあり!?
ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?そんな“ニクイ”10枚をご紹介!

マリアンヌ東雲(キノコホテル)

マリアンヌ東雲(キノコホテル)

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なぜ出会ってしまったのだろう? ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?
そんな“ニクイ”やつらをご紹介。
可憐で儚く、それでいてエキセントリックな世界観を創造する女だけの音楽集団、キノコホテルの支配人、マリアンヌ東雲が登場。マニアックな楽曲をセンス確かなアレンジで再構築したカバーミニアルバム『マリアンヌの逆襲』をリリースし、その直後にワンマンライヴ「サロン・ド・キノコ~淫力魔女の生贄・恵比寿編」(5月2日(木)LIQUIDROOM)を控える彼女に、人生を狂わせた珠玉の10枚を訊いてみた。

interview by 中沢純





マリアンヌAFFINITYは完全にジャケット買いなんですけど、聴いてみたらいい感じのジャズロックっぷり。
── いつくらいに手に入れたのですか?
マリアンヌいつでしょうか?20歳くらいのときかしら。レコード屋でなんとなくピンときて、それで買って聴いてみたら、すごく自分の好みでした。私はクラシックあがりのせいもあって、ヘヴィーなロックはちょっと性に合わなくて。でもこれはリンダ・ホイルの語りかけるような歌声とどこか幻想的な演奏だったり、かたやグルーヴィーで踊れる曲もあったりで。すごく気持ちよく聴けるというか。一枚を通しての世界観が好きなの。一時期、目覚まし代わりにこのアルバムをアラームで流して起きる習慣があったほど。朝のひんやりとした雰囲気にマッチする作品だと思います。

マリアンヌこの作品は学生の頃に通学しながらいつも聴いていました。DEVOとかバグルスとかブロンディとか。今でもふと流れて来ると懐かしい気分になるわ。
── リアルタイムじゃないわけだし、まわりに聴いている人っていましたか?
マリアンヌ全然いなかった。音楽に詳しい友人もいなかったし。これをどうして手に取ったのかは覚えていなくて。親兄弟からの影響でもないですし。これもジャケ買いかしら・・・?あの鮮烈な黄色が目に飛び込んできたのかも。この絶妙なユルさというか、いい意味でいい加減な感じが当時は新しく感じました。ヴォーカルの人の声や歌い方がすごく好きです。あの「キャキャキャキャキャ・・・」っていう妙な奇声はオノ・ヨーコさんの影響らしくて、私もステージでたまーに真似するの(笑)

マリアンヌ私はレコード屋であまり視聴はしないんですけど、これは偶然視聴して買った記憶があります。メロディが綺麗だし、ヴォーカルのあどけない、儚げなんだけど強い感じとかが好き。このレコードをリリースした当時、彼女は20代だったと思うんですけど、キュートな少女性と大人の女性の両面を感じます。あと楽曲がとにかくいい。この作品はお友達が家に来るとお酒を飲みながらよく聴いていたわね。
── 同じ女性シンガーとして、どういう部分に惹かれますか?
マリアンヌこれを聴いた頃はバンドなんてやっていなかったし、音楽を生業にするつもりは毛頭なかったので。でも今聴いてみると、切なさとか情緒を感じる。ちょっと明るい曲調でも、どこか憂いをおびている、そういう部分に惹かれますね。別に歌が特別うまいわけでもないんだけど、女性の不安定な感じが出ているような。初めて聴いた当時は、あんまり海外のアーティストのCDやレコードを買って、ちゃんと聴いたことがなくて……その頃は個人的にGSや歌謡曲がアツい時期だったの。女性シンガーは人に奨められて色々聴きましたけど、超絶的に上手い人にはあんまり興味がなくて。音楽に限らず王道を避けて通っていた当時の私をくすぐる何かがあったんでしょうね。圧倒的な何か、とか際立ったオリジナリティは別にないんだけど、気軽にBGMとして邪魔にならないというか(笑)

マリアンヌ一番最初に聴いたCANのアルバムがこの作品。ヴォーカルが日本人だってことすら知りませんでした。「Vitamin C」という曲があるんですけど、正式な発音は「ヴァイタミン」でしょ。でもヴォーカルのダモ鈴木さんは日本人だから「ビタミンシーーー!」って言っているのね。それが印象的で。ジャーマン系を聴いたことがなかった私に年上のお友達が薦めてくれて聴いた一枚です。
── CANは聴けば聴くほど、バンドの歴史を知れば知るほど興味深い存在になっていきますものね。
マリアンヌそうですね、CANはすごい。なんか底知れない、得体の知れない魅力がありますよね。唯一無二のムードがあるし、世界中にファンがいるのもよく分かる。今更私がどうこう語るグループではないわ。でもグルーヴっていうのかしらね、やっぱり。気付くとお酒片手に踊ってるもの(笑)
── いまだによく聴いていますか?
マリアンヌ今はあんまり聴かない。昔、変わり者の面白いお友達からダモ鈴木さん名義のCDを貰ったんだけどどこやったかしら・・・ダモさんって、たまに東高円寺のUFO CLUBに来てライヴをやっているみたいで、気にはなっているんですけど。
── そうなんですか?
マリアンヌなぜかいつもUFO CLUBなの。UFOと言えば、今年の始めにムッシュかまやつさんと共演させて頂いたんですよ、うふふ。
── 結構、大物かつレアな人たちのライヴを観ることができると。
マリアンヌそうみたい。UFO CLUBはたまに何気なく月間スケジュールを見るとさりげなく大物が出ていたりして、気付いた時にはもう終わっている、ってパターンが結構多いの・・・。

マリアンヌモーリス・ベジャールさんという非常に有名なフランスの振付家がいたんですね。バレエ界で神と呼ばれているような人なんですけど、その人のためにピエール・アンリという現代音楽家が作ったのがこの作品。バレエ音楽なんです。前半はジャズロック風でちょっぴりスペイシーな趣き。でも後半に進むに従って、ドアやベッドが軋む音だけのトラックだとか、どんどんアヴァンギャルドになっていく。私はお酒を部屋で飲んでいるときに、このCDを聴いているんだけど、最初はノリノリでステップ踏んだりしていたのが、酔っ払って寝た頃にベッドがギシギシ軋む音が鳴り始めるという(笑)。
── ラップ現象的な(笑)。
マリアンヌ一応、モーリス・ベジャール先生はこの作品の何曲かに振付をつけたらしいんです。その映像を観てみたいなと思っている。これは所謂コラボレーション作品というか、モーリス・ベジャール先生に捧げる作品ですね。結構、DJユースにも需要があるようで、私の知り合いのレコヲタによるとアナログ盤は結構高値がついているんだそうです。

マリアンヌ私は象とかトラとか、強くて大きな動物が大好きなの。これは再発かなにかでCD屋の店頭に並んでいるのを見かけて、「象だっ!」って走り寄ってそのままレジに持っていった。でも聴いてみたらぶっ飛びました。柳田ヒロさんのキーボードを聴いて、それまではバンドの花形と言えばギタリストやヴォーカリストだろうと思っていたのに、これを聴いたらオルガンヤバい、と思いました。後のキノコホテルに間違い無く繋がっています。
── 自分の考えていたバンドイメージを根底から変えてくれたと。
マリアンヌそうですね。これはあくまで個人的見解だけど、バンドの中でキーボードっていうと、例えば男の子達のバンドに、メンバーの彼女が混ざってキーボードを弾いているみたいな、そういうイケていないイメージしかなかったのね。でもオルガンってなんてクールなのかしら、オルガンが主役の曲も作れるじゃない、って。当時の私はまだクラシックがメインでしたので、オルガンを中核に据えたバンドを知らなかったんです。まさに目からウロコ、そんな作品です。

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