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SHURE LIVE with GLX-D/BLX ワイヤレス – FREE from cables! –

SHURE LIVE with GLX-D/BLX ワイヤレス – FREE from cables! –

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2013年12月20日、東京・LIQUIDROOM Ebisu。「FREE from Cables!」のコンセプトのもと、マイクロホンメーカー:SHUREの新ワイヤレスシステム「GLX-D/BLX」の発売記念ライブとして開催された『SHURE LIVE with GLX-D/BLX ワイヤレス』に、日本のロックシーンを代表するライブバンド3組:MO’SOME TONEBENDER/ZAZEN BOYS/POLYSICSが集結!その強烈なドラム/アンプ/ヴォーカルのすべてをSHUREマイクの幅広いラインナップで迎え撃つのはもちろんのこと、ワイヤードマイクに匹敵するサウンドを実現したワイヤレスシステム「BLX」、そしてSHURE初の2.4GHz帯デジタルワイヤレスシステム「GLX-D」という最新システムが、彼らのステージといかなる化学変化を起こすのか?ーーという期待感が、雨のそぼ降る外の冷気も嘘のような熱気となって、開演前からフロアの温度をじりじりと上げている。開演時刻の19:00を迎え、SHURE製品の紹介映像に続いて登場したトップバッター・POLYSICSに、オーディエンスの高揚感は一気にMAXに!

■POLYSICS
 「TOISU! TOISU! いくぜ『SHURE LIVE』!」のシャウトとともに、1曲目“AT-AT”からピコピコハンマーを左手に、ワイヤレスシステムBLXのSM58を右手にハンドマイク・スタイルのハヤシ(G・Vo・Syn)がフロアをがんがん煽りまくる! リハーサル後のインタビューでも、「いつも煽りに行く時とか、ステージをすごく走り回るので、動線みたいなものを考えながら行かないと、ケーブルが絡んじゃったりして、端まで行けなかったりするんですけど。リハーサルでも、何のストレスもなく、マイクを持ってパフォーマンスできるのはなんて気持ちいいんだろう!って思いましたね。まったく今まで味わったことのない経験をしてますね。なので、今日はいつもより多く動こうと思います(笑)」と意気込みを語っていたハヤシ。いきなりエンジン全開のアゲっぷりからも、ワイヤレスの開放感を全身で謳歌していることが伝わってくる。

 テクノとパンクの接点からあふれんばかりの躍動感を噴き上がらせ、結成から17年目の今もシーンを揺らし踊らせ続けているPOLYSICS。キラー・ナンバー“Pretty Good”“Baby BIAS”連射に応えて、フロアが熱く揺れていく。「今日はね、日頃お世話になりまくってるSHUREのイベントに呼んでもらえて嬉しいです! ありがTOISU!」とハヤシ。「ほら見てこれ! SHUREの最新ワイヤレスシステムを使わしてもらってるんですよ!」と、マイクスタンドからワイヤレスマイクを外してケーブルがないことをアピールするハヤシに、「リード放してもらった犬みたいだよね?」と突っ込むフミ(B・Vo・Syn)。会場がどっと沸く。“Post Post”“MEGA OVER DRIVE”といった1月15日リリースの最新アルバム『ACTION!!!』収録曲も盛り込みつつ、“Fire Bison”ではハヤシが風船をぽんぽん投げつつ、ワイヤレスの利点を活かしてシンセを高々と持ち上げてみせたり、“Let’s ダバダバ”ではヤノ(Dr・Vo)のパワフルなビートと極彩色のサウンドで会場一面のクラップとコール&レスポンスを巻き起こしていたり……と多幸感のカタマリのようなステージを展開してみせたPOLYSICS。「サンキュー、SHURE!」というハヤシのコールとともに意気揚々と舞台を後にした3人に、惜しみない拍手が広がっていった。

■ZAZEN BOYS
 続いてはZAZEN BOYS。カオスの極みのような“Honnoji”から“Asobi”のアンビエント・ファンク的な音像へ流れ込む展開の鮮やかさ。“サイボーグのオバケ”でシンセを弾き倒しながらBETA 58A越しに絶叫する向井秀徳(Vo・G・Syn)に導かれて、刻一刻と冴え渡る吉兼聡(G/GLXD16使用)&吉田一郎(B/BLX14使用)の複雑怪奇なフレーズの嵐……衝撃映像集のようなアンサンブル越しに凄絶なカタルシスと異形のポップ感を描き出す唯一無二の音楽集団=ZAZEN BOYS。その鋭利なサウンドに驚愕の重量感を与えているのは、観る者すべての全身を震撼させる波動のような松下敦(Dr)のキックの生々しい威力だろう。「バウンダリーマイクを中に入れて、かつ別のマイクをーー要は、キックに対して2本マイクを使うわけね」と、本番前のインタビューで向井秀徳はそのキックのサウンドについて説明していた。「キックが革に当たるパチッていうのが、確実に収録されるわけですよ。BETA 91Aのパチッの下の帯域をカットして、もう1本のマイクで低いところを補うっていう。パチッていうのと、ブゥンっていうのが合わさったら、ダスッ!ってなるんです」……そんなサウンドメイキングが、松下の豪快なドラミングにさらなるインパクトを与えている。

 スリリングな7拍子のビートの中、「ずぶっとハマった泥沼!」の向井のコールとともに打ち鳴らされた霹靂のような鮮烈なキメの数々。“COLD BEAT”で暗黒指揮者然として(時にはメンバーにまでフェイントをかましながら)爆発的なサウンドのタイミングを支配してみせる向井の、どこか飄々としながらも異様な存在感を放つ佇まい。ロックというカテゴリーすら軽々と飛び越え、ジャズ/ダブ/ハードロック/ポストロックなどさまざまな断片を感じさせつつそのどれとも異なるZAZENの真価を、正味50分ほどのステージで堂々と鳴り響かせていった。「MATSURI STUDIOからやってまいりました、ZAZEN BOYS。この後はMO’SOME TONEBENDER!」という向井の言葉とともに流れ込んだ最後の曲は“破裂音の朝”。向井&吉兼のWギターが響かせた音のタペストリーが、ひときわ濃密な異空間を生み出してみせた。

■MO’SOME TONEBENDER
そして、この日のトリを飾るのはMO’SOME TONEBENDER! 鉄壁のサポート・ドラマー=水野雅昭とともに百々和宏(Vo・G)が、藤田勇(G・Dr)が、そして般若の面をかぶって悠然と武井靖典(B・Vo)がオン・ステージ、ギャング・オブ・フォーのカバー曲“To Hell With Poverty”でライブはスタート! そのまま流れ込んだ“Young Lust”のアンサンブルの、戦慄必至のダイナミズムとスリル! ハードコアな硬質感とロックンロールの不穏なうねりを同時再生したような4人の音像が、フロアを狂騒の奥底へとぐいぐい引きずり込んでいく。ロックの化身のような凄絶なギター・プレイと歌声を響かせる百々。ワイヤレスシステム「GLXD16」を装備したギターを構え、音のマッド・サイエンティストの如き佇まいで淡々とバンドの響きに狂気を注ぎ込んでいく藤田。そして、トレードマークとなっているSHUREのガイコツマイクこと「55SH SERIES II」を振り回しながら熱唱する武井。「もともとロカビリーとか、ああいう音楽がずっと好きだったので、憧れがあるんですよね、あのデザインには。モーサムで使い始めてだから……10年前から、ずっとあれ1本ですね」という武井は、ベースではワイヤレスシステム「BLX14」を使用。「今回『SHURE LIVE』っていうことでワイヤレスを使わせてもらってるんですけど、抜けがすごくよくなって。プリアンプ的な感じもあって。今まではSansAmpを一個噛ませてたんですけど、要らねえんじゃねえかこれ?って」と語る彼の極太ベース・サウンドが、切れ味鋭いバンド・サウンドのグルーヴを爽快なまでに加速していく。

 挑発的なポップ感に満ちた“マッドネス”など最新アルバム『Baseball Bat Tenderness』からの楽曲も織り込みつつ、ヘヴィな爆走感そのものの“Metaluca”、武井が両手にStick Lightを持って踊り回るダンス・ナンバー“24 hour fighting people”をはじめ、多彩な表情を持つモーサムの楽曲群のあらゆるベクトルの最先端だけを集結させたような、どこまでも熾烈なロック・アクト。“Shining”の百々の高らかな絶唱と、あたり一面真っ白にスパークさせるような轟々たるサウンドスケープを残して……本編終了。アンコールを求めて鳴り止まない手拍子に応えて、4人が再びステージへ! 「サンキューベリーマッチ、恵比寿! アンド、サンキュー、SHURE!」の武井のコールに沸き上がる大歓声。「これからも、このワイヤレスを駆使して、ワンダフルなショウをやりたいと思いますんで!」という言葉とともに轟いたこの日のラストナンバーは、モーサムのライブではキラーナンバーとしてお馴染みのフリクションのカバー“BIG-S”! 頭に電光掲示板つきのヘルメットをかぶった武井が、掲示板に「SHURE LIVEへようこそ」「モーサムトーンベンダー超演奏中」「GLX/BLXワイヤレス使用中」「一つ上のステージ」「ワイヤレスはSHURE」「それではレッツスースースーサイド」と次々に文字をスクロールさせながら、ワイヤレスの長所を体現するように、ベースを構えたまま舞台を降りて、フロアをのし歩いていく。モーサムが研ぎ澄ませ続けるロックンロールのエッジ感が、最新ワイヤレスシステムと響き合って、眩しいくらいの熱狂空間を作り出すーー最高の一夜の、最高のフィナーレだった。 

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