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電気グルーヴ

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いやはや、こんなバンド、どこの国にもいないでしょ
――やっぱりカッコいいおじさん満開、25周年on恵比寿リキッドルーム10周年

「こんにちは、電気グルーヴです」
件の機械声で幕が開くとステージには、機材ブースに石野卓球と、もはや説明不要なサポートこと、agraphこと、牛尾憲輔、ブース前にはシルクハット姿のピエール瀧がお揃いの25周年衣装のシャツでステージに現れる。重く迫るキックと、ぐりんぐりんと会場の熱気をねじまげるようなシンセ・リフ、そしてベース。その勢いは、終演までひとつの流れとなって会場をグルグルと回る。

7月14日、恵比寿リキッドルームの10周年の公演のこけら落としとしてスタートした電気グルーヴのワンマン・ライヴ。そしてこれは彼らの25周年のアニヴァーサリー・イヤーのスタートとも言えるライヴでもある。石野卓球はもちろんのこと、そしてピエール瀧、agraph、それぞれのソロとしての縁の深い会場、25周年のアニヴァーサリーということを言えば、新宿歌舞伎町時代のリキッドルームもまた縁の深い会場だ。

ライヴは「Hello! Mr.Monkey Magic Orchestra」からはじまると、怒濤のように「SHAMEFUL」や「モノノケダンス」、「Missing Beatz」などなど、『J-Pop』以降のシングルで力強く突き進んでいく。途中MCをはさみながらも、その勢いは止まることなく続いていく。

25thアニヴァーサリーな歌詞に変わった「25周年のうた」を披露した後、舞台は転調して瀧が件の『アナと雪の女王』の挿入歌「あこがれの夏」を歌い上げると、矢継ぎ早に人生時代の「俺が畳だ!殿様だ!」に突入! 思えば遠くにきたもんだと言わんばかり、まさに25周年よりさらに長い、ピエール瀧の今昔を象徴させる一場面も。

ライヴ本編後半では「スマイルレス スマイル」から「Nothing’s Gonna Change」、そして絶妙に時事ネタを織り交ぜた「モテたくて…」といった、他のライヴではあまり観れないない流れも。

ここ数年ライヴ活動を活発に行っていることを示すように、ヴォーカリストとしてのふたりは、言わずもがな素晴らしいソロ・ヴォーカル/コンビネーションを終始見せ続けた。

本編は、瀧のヴォーカルが野太く恵比寿の地に響き渡る「ジャンボ・タニシ」の壮大なスケールで幕を閉じ、そしてアンコールではもはやライヴではアンセムとも言える「富士山」の爆発的な盛り上がりで終わりを迎えた。

本編中3パートあったMCでは、その後、執拗に続く“ピエール瀧いじり”を中心に怒濤の石野卓球のトークが爆発する。本ライヴが今夏のいくつかのセットとは違うこと、そして電気グルーヴが25周年アニヴァーサリーであることや、そしてツアーの〈塗糞祭〉というタイトルについて力説する。「フランツ(フェルデナンド)待たして、こんな話できないだろ?」という言葉通り、もはやワンマンのライヴにおいては、そして20周年ライヴで見せた”前科“のあるリキッドルームでのライヴにおいてはおなじみの石野卓球の、古くからのファンには御なじみの、新しいファンには仰天のマシンガン・トークが炸裂していた。

彼らのライヴは、そのトークも含めたユーモア・センスもひとつの魅力だが、やはり、なんど見ても、なんだかんだ言って、その音楽性に圧倒されてしまうのだ。ゲットー・ハウス的な“言葉”のバカバカしさや、テクノや初期レイヴ・ミュージック、また現行のダンス・ミュージックの興奮剤としての電子音の楽しさを取り入れ、ある種のJ-POPのカリカチュアのようなポップな世界観を作り上げてしまう、そのライヴ。それは作品よりも、フィジカルに、言ってしまえばある種のダンス・ミュージックへと踏み込んでしまいがちな時にでもその世界観は崩れることはなく、むしろその強度を増し、コチラに迫ってくる。それでいて、同じリキッドルームで、石野卓球含めて数々の国内外のアンダーグラウンドなダンス系アーティストを聴いている”耳”でもおもしろい、抜群の音のエッジがしっかりとある。

その後のフジロックの出演も、さまざまな海外アーティスとが乱立するあのフェスにおいても、すさまじい盛り上がりだったと聞く。
いやはや、こんなバンド、どこの国にもいないでしょ。

追記:
 石野卓球のオファーで、出演が決まったというオープニング・アクトの町あかり。その後のMCで石野卓球が語ったように「あのポンチャック感」と評したように、その打ち込みのトラックはチープながらまぬけ美溢れる世界観、そしてその堂々とした歌声、作りこまれ過ぎない感は独自過ぎてクセになりまくる。あのライヴ以降、自分も含めて、「もぐらたたきのような人」が鼻歌レギュラーとなった人たちの多さを考えると、その魅力は計り知れない。

電気グルーヴ LIQUIDROOM 10th ANNIVERSARY
2014年7月14日 LIQUIDROOM ebisu セットリスト

01. ハロー!ミスターモンキーマジックオーケストラ
02. Shame
03. Shameful
04. モノノケダンス
05. Missing Beatz
06. どんだけ the ジャイアント
07. ア.キ.メ.フ.ラ.イ.
08. The Words
09. 25周年のうた(駅前で先に待っとるばい)
10. あこがれの夏
11. 俺が畳だ!殿様だ!
12. Pang Pang Pang
13. エキゾティカ
14. Oyster(私は牡蠣になりたい)
15. Upside Down
16. スマイルレス スマイル
17. Nothing’s Gonna Change
18. モテたくて…
19. ジャンボタニシ
<アンコール>
20. 富士山

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