在日ファンク
「人を楽しませようっていう責任感が、いつもより少ない(笑)。勿論楽しませたいんですけど、それよりも、今回は自分たちが楽しむぞって言う気持ちの方が強くて」—永田
在日ファンクが恵比寿LIQUIDROOMで新たにスタートさせる自主イヴェント「ば」。
「ば」は、「ファンク/ブラック・ミュージックをストレートに打ち出し、新たな『ば(場)』を作る」をコンセプトに、DJプレイ+在日ファンクのライヴというスタイルで構成される。
その第一回目には、日本のヒップホップ・シーンを黎明期から支え、ラップだけではなく、トラック・メイク、そしてファッションやカルチャーなど、数多くの面で大きな影響を与えたMUROをDJに招聘。
DJとして、日本のみならず世界中でそのプレイは賞賛され、そのレコード・アーカイブの量/質、そして選曲の妙から、「KING OF DIGGIN’」の異名を持つMUROが、DJとして在日ファンクと真っ向勝負を行うこの日。そしてMUROのプレイから在日ファンクのライヴ開始までダイレクトに流れ込み、MUROと在日ファンクがシームレスに繋がるという、まさに在日ファンクとMUROによるファンク/ブラック・ミュージック・カンバセーションは見逃し厳禁!
早速ですが、浜野謙太(Vo)、仰木亮彦(Gt)、永田真毅(Dr)、村上基(Tp)にて座談会を実施!
── 今回のライヴ・イヴェント「ば」を始められたキッカケは?
浜野LIQUIDROOMが『なんでもしていいよ!』っていうんで(笑)。でも、正直ハコとしては大きいし、平日だし、ちょっと尻込みしてたんですよね。そしたら『客席が空くのが心配なら椅子入れてもいいから!なんなら置物とか入れてもいいから!』って(笑)。それぐらい何をしてもいいんなら、自分達の好きなようにやらせて貰おうって
仰木SHIBUYA-AXでやってた『在日ファンク・アワー』はいろんな要素を込めた『ショー』だったと思うんですよね。タイトルも『森田一義アワー』かってぐらいの、エンターテイメントにしたいって気持ちが込められてて
浜野『アワー』は派手に『俺らのイヴェント!』って感じだったけど、『ば』はもうちょっと違って、こういう『場』があって、そこにお客さんが来てくれれば成り立つぐらいの、もう少しフラットな形にしたいなって
永田人を楽しませようっていう責任感が、いつもより少ない(笑)。勿論楽しませたいんですけど、それよりも、今回は自分たちが楽しむぞって言う気持ちの方が強くて
浜野ジェームス・ブラウンが大ホールで行う多人種向けのバリッと決めたショーも好きだけど、『SOUL TRAIN』だったり黒人向けのライヴで見せる、タフでざっくりとしていた、わちゃわちゃしたライヴをやる感覚に近いかなって
仰木『ショー』だと決め込んで行かないとダメじゃないですか。だけど、『ば』はもう少しいろんな事を試す事の出来るイヴェントにできればなって
浜野だから、構成も肩肘張らずに考えてて。でも肩の力が抜けると、色んな事が試せるんだなって実感があるんですよね。だから、リハをやってっても、今までとはちょっと違う手応えがありますね。色んな実験を仕込んでるし、こんなのもう外には見せられないけどね……みたいな(笑)
── もうチケット売ってるじゃないですか(笑)。
浜野実験をこっそり見て貰うというか
永田結果として人が来ちゃった感じで(笑)
── その意味でも「実験場」という感じでもありますね。今回はスタートが20時からと、やや遅い時間からの始まりとなりますね。
浜野平日なんで、みんなが来られる時間だと、これぐらいかなって。一番の理由は、ベースの村上啓太が現役のサラリーマンなんで、前々から19時からのライヴとか時間的に大変だって言ってたんで、それでじゃあ20時から、と(笑)
── まさにサラリーマン/OLに合わせた時間帯ですね。退勤後に余裕をもって遊びに来れるという。
永田フラッと来てフラッと遊べるみたいな感じがいいかなって
浜野居酒屋に呑みに行くよりは、在日ファンクのイヴェントがやってるから、DJとライヴも見て、ついでに呑んで踊って、っていう風になると嬉しいですよね
永田でも、最近居酒屋が流行ってるんでしょ?昨日テレビで見た
仰木え、急に何の話題、それ?(笑)
永田立石とかの居酒屋が注目されてるんだって
浜野1st『在日ファンク』のジャケットとアーティスト写真を撮ったのが、立石の商店街だったよね。だから時代が俺らに追いついてきたっていうか、追いつかれちゃったね(笑)
仰木モタモタしてたら(笑)
浜野当日はお酒を振る舞いたいんですよね、メンバーからお客さんに。そういうお酒ってテキーラかなと思ったんだけど、テキーラ苦手な人もいるじゃないですか。でも普通のお酒だと振る舞い感もないし……
── そうすると樽酒ですかね。
村上でも、樽酒は既にやってしまったんですよね
浜野やっぱり樽酒は新年かなって
永田ビール瓶もって会場を歩いて、みんなに注いで回る?
浜野(仰木を指して)パンツ姿で配る?
永田パンツに千円札挟んで貰ったり(笑)
── ……どんな振る舞い酒になるかは、会場に来た人のみが分かるということで。
仰木振る舞い酒をどうするかの方が、選曲の会議より長くなってるよね(笑)
浜野なんか、酔って欲しいんですよね……友達が欲しいのかもしれない(笑)
── 寂しい!
永田昔、50人ぐらいしか入らないライヴ・ハウスでやってた時とかは、みんな酔っ払って、ライヴ終わった後に女の子と一緒に踊ってたりしたよね
── その思い出をもう一度、と。
浜野酔っ払った輩と踊りたい!
永田在日ファンクのライヴって、終わった後に何も起きないんですよ。出待ちもいないし。みんなすぐ帰っちゃうし
浜野小さいライヴ・ハウスだったら、さっき話したみたいにお客さんと踊ったり出来るし、武道館みたいな所で出来るようになったら、打ち上げに女の子がいっぱい来るかもしれない。だから、今すごい中途半端な状況なんですよ……一番美味しくない!
── 夢ないな~(笑)。
浜野ローディーさんに、『在日ファンクの打ち上げヤバイですよ! 女の子が全然いないじゃないですか?!』とか言われて。
村上『ホントはこんなもんじゃないはずですよ!』とか言われて
永田もう危機感を感じるよね
── チヤホヤされたいんですか?
浜野そういうんじゃないんだけど……
永田嘘だよ、ハマケンされたいでしょ?
浜野……されたい(笑)。でも、僕らとファンの間に変に垣根を作っちゃうよりは、僕らなりの楽しませ方と、僕らなりの楽しみ方で、サービスをしたいんですよね。半ホストぐらいの温度で(笑)
永田お酒って、いい具合に飲んでると人との距離がグッと縮まるじゃないですか。ただ、飲み過ぎると人間性の出しちゃいけない部分が出過ぎたりするんで(笑)、良い感じで縮まればなって
── 今回はDJプレイ+在日ファンクのライヴという形式ですが。
浜野ライヴ・アクトと一緒にやると普通の対バンになっちゃうし、でも、僕らだけで踊らせ続けるのはちょっと重いだろうと。だから、そのバランスを取れるのはDJなのかなって思ったんですよね。かつ、自分たちのライヴも、DJミックスみたいにノン・ストップで、MUROさんのDJからそのまま繋がって、ライヴに流れ込むのは面白いんじゃないかなって。DJっぽいギミックをライヴにも取り込もうと思ってたり
仰木ファンキーなバンドって、やっぱり日本だと数が限られちゃうと思うんですけど、ファンキーなDJだったら、その選択肢は広がるなって。その中でも、やっぱり一回目はMUROさんにお願いしないとなって思ったんですよね
── MUROさんを招聘した理由は?
仰木在日ファンクって、あまりファンクって思われない部分が、強みでもあり、同時に弱みでもあると思うんですよね。だけど今回は、ファンク/ブラック・ミュージックの方向性を押し出した方がいいんじゃないかなって想いがあって
浜野そういった部分を引き出して貰うには、やはりDJはMUROさんだなって。いつもの在日ファンクのライヴよりは、少しディープな空間になると思うんですが、そうなるのはむしろ良いことだな思うんですよね。それによって、僕らも、思う存分濃い部分をもっとライヴに注ぎ込んで、もっと『黒さ』をアピールしたい。それによって、MUROさんから駄目だし貰えるぐらいの関係になりたいなって。あわよくばMUROさんと仲良くなりたい(笑)。
永田おすすめのレコード屋とかも聞きたいよね。僕は昔、MUROさんの“PAN RHYME”に合わせてドラムの練習したりもしましたから
浜野僕はマイクロフォン・ペイジャーにまず衝撃を受けたんですよね。あの突っ走ってる加減、怒ってる加減は、僕らにも通じたり、目標にしてる部分でもあって
── MUROさんとDJの内容などは話しましたか?
浜野まだですね。むしろ、僕らのイヴェントで何をかけてくれるのかスゴく興味があるし、本当に僕らとしても楽しみですね
── 最後に、このインタビューの読者に一言お願いします。
浜野『行こうかな、どうしようかな?』ぐらいの気持ちだったら、絶対来て欲しいですね。絶対に楽しめるはずだから。いつものサービスでは無い形のサービスが出来ると思ってるんで、迷ってる人は来て欲しいな、と。それから『傷っ子』にももちろん来て欲しいですね
── 傷っ子?
浜野田我流との対談で、田ちゃんはファンの事を『ソルジャー』って呼んでたから、自分たちはなにかなと思ったら、『……傷っ子だ!』と(笑)
仰木でも、あんまり言ってないよね?
浜野……改めて言うと恥ずかしくて(笑)
村上でも定着してきてるよ
浜野『傷っ子』使っていきます(笑)
永田『俺は人よりファンク/ブラック・ミュージックに拘ってる』みたいな人に観て欲しいなって思うんですよね。そういう人に、俺らはちょっと敬遠されてたと思うし、僕らも距離があったと思うけど、今回は、黒い部分をぐっと押し出してるので、拘ってる人にこそ見て欲しいし、俺らのファンク色をジャッジして欲しいなって
浜野ファンクも勿論だけど、ジャズの要素も、ソウルの要素も『ブラック・ミュージック』をしっかり形にできるライヴにしたいですね。その部分にも注目して欲しいです
【 在日ファンク presents 「ば」 vol.1 】
Special Guest DJ:MURO
開催日時:2015年2月24日(火曜日)開場/開演 20:00
前売券:3,000円/当日券:3.500円(共に税込・ドリンクチャージ別)
前売券取り扱い:チケットぴあ[249-699]、ローソンチケット[73045]、イープラス、リキッドルーム
※公演詳細はコチラから