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KAZUMA MORINO『PINK SKIN』Collaboration with Ken Ishii

KAZUMA MORINO『PINK SKIN』Collaboration with Ken Ishii

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世界最大規模のデジタルメディア、デジタルコンテンツのカンファレンス『シーグラフ』や、オーストリアのリンツで開催される芸術、先端技術、文化の祭典『アルスエレクトロニカ』など、国内外で数々の受賞を果たしてきた森野和馬氏による、「PINK SKIN」展 ー 動く仮想物体の必然と偶然がもたらす3D映像から平面作品まで vol.2 ×Ken Ishiiが2015年9月3日からKATAで行われる。先立って、荻窪のブックカフェ6次元で行われた「PINK SKIN」展 vol.1とは全く違う、Ken Ishii氏との映像と音との出会いから生まれる「PINK SKIN」展 vol.2の制作過程など、今回の展示についてお二人に話をうかがってきた。

── まず最初に、今回、KATAで展示することになった経緯を教えて下さい。

森野和馬氏(以下­森野)まず「PINK SKIN」vol.1は、今年6月に、6次元(荻窪のブックカフェ)にて発表しました。映像と音は自分で制作し、あえて、3Dや、テクニカルなものと相反する空間での展示を楽しんでいただくように世界観をつくりました。9月の展示では、6次元からまた、広さも見せ方も飛躍する形で展示できたらいいなということで、KATAさんとお話しを進めてきました。こういった音楽に関するつながりの強い場所での展示ですから、アーティストとしてのケンイシイさんと取り組めたら面白そうだ!と直感的に思ったのです。PINK SKINの作品をケンイシイさんの音楽に入れ替えて発表したら、作品の存在もまた良い変化を遂げられそうな予感がありました。

── 製作期間はどれくらいだったのでしょうか。

ケンイシイ氏(以下­イシイ)話自体は以前からあって、森野さんだったらいつでもOKで、数カ月前に森野さんの作品が揃ったので具体的にプロジェクトが動き始めました。

森野Flareのリリースのタイミングでもあったので、音楽が出来上がったところで、その音源全てを聴かせていただいて、どの音楽がどの映像に合うのかを打ち合わせをしていきました。

── 音の方を映像に合わせる感じにしたのですか?

イシイFlareのアルバム自体は、ぼくの中でずっと作っていたのですが、森野さんの9つ作品ができて、イメージが合うものを選びました。もちろん、微妙に調整はしています。

── やりとりしていくうちに映像と音楽は変化などしていくのでしょうか?

森野映像と音楽というのは、あるリズム感を持っていて、別々の場所でそれぞれのタイミングでつくっていても、意外とお互いにハマるということはよくあります。今回も大幅に手を入れることなく、少しの調整だけでまとまりました。ケンイシイさんとは、その感覚が特に近いような気がしています。

イシイそうですね、少し変化させたり、ビートを抜いたりはしていますが、Flareの新しい音源自体がビジュアルに合いやすいと思っています。
それと、森野さんの映像は、ぼくが作品作りするときに思い描いているビジュアルと近しいと感じています。

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── 今、話に出た、Flareのお話になりますが、90年代を最後にまったくリリースがなかったのに、近年立て続けにFlare名義でのリリースが重なっていますが、その理由は何かあるのでしょうか。

イシイKen Ishii名義では、EPやデジタルなどでDJトラックとしてリリースしていて、ある意味型にはめて、DJがプレイしやすい形というのがある。それ以外で、もっと自由に作っている作品というのもあり、そういった作品が溜まってきたので、たまたまFlare名義で二年前に「dot」をだした。その時の気持ちが楽しくて、そういったピュアな、作りたいものを制作して、みんなに聴いてもらおうと。今回もそのタイミングがあったからリリースした。

── ここまでのお話でお互いの信頼関係の上に成立しているプロジェクトに感じましたが、森野さんとケンイシイさんの最初の出会いについて教えて下さい。

イシイ2000年にリリースした、「Flatspin」の「Iceblink」という曲のPVを制作するときに、森野さんに制作していただくことに決まって、その制作過程でウマがあったというか。それから事ある毎に、ビジュアルが欲しいときとか、森野さんにお願いするようになって、イベントやツアーのビジュアルをやってもらう機会が幾つかありました。

森野愛知万博の瀬戸日本館のプロジェクト、それから、東京都現代美術館での企画展での平野さんの小説「DAWN」と映像と音楽のインタラクティブ作品とかですね。

イシイそうですね、いくつもプロジェクトをやってきましたね。

森野「Iceblink」のPVの仕事が終わってすぐに、ケンイシイさんのライブで、VJをさせていただく機会がありました。
これが僕のVJデビューとなったのですが、思いがけず、翌日たまたま聞いていたラジオで、クリス・ペプラーさんがライブでの映像パフォーマンスに関して、とても良い評価をしていただき、ビックリ!
良い形でお仕事ができました。

イシイそのパフォーマンスをみて、香港のダンスミュージックイベントに呼ばれたことがあって、ちょうど香港のダンス・ミュージックシーンの一番いい時期にそのプロジェクトがやれて良かったですね。

森野僕も10代はミュージシャンに憧れた時期もあったので何万人というお客さんの前に出て、ステージに立って、かなりテンションが上りましたね。(笑)
とても楽しかったです!!

イシイビジュアル込みで海外に呼ばれることは中々ないですからね。
それで、今回はじめて、森野さんのイベント、展示でパフォーマンスをやることになって、やっと恩返しが出来る機会となりました。

── オープニングで予定されている今回のお二人のパフォーマンスは、石井さんにとってはかなりレアケースなパフォーマンスですね。

イシイそうですね、脳のいつもと違う箇所を使う雰囲気ですね。普段は考えていても実際のクラブにではやらないことが出来るんじゃないかなと考えてます。

── その、お二人のセッション、どういった形態でパフォーマンスするのでしょうか。

森野今回の展示作品の”PINK SKIN”シリーズ、僕が手掛けたイシイさんのPV、僕の個人作品等に、音楽とリミックスしたリアルタイム映像を絡めたその場でしか味わえない実験的な表現にしようと考えています!

イシイ基本的、細かい取り決めはないですね、こういう場所で森野さんのショーなので、ダンスにとらわれずに、かなり、エクスペリメンタルな方向になると思います。

── 今回の展示の見所はどこでしょうか。

森野今回は、僕が海外で賞をいただいている過去の作品の展示と、ケンイシイさんとコラボレーションした「PINK SKIN」シリーズの作品を3DやVR、3Dプリント、2Dプリントと様々な表現で展示する予定です。
僕の過去の作品では、モノトーンのものや、クールな方向性の作品を手掛けてきたのですが、「PINK SKIN」シリーズは、ピンク色をカラーコンセプトにしたこともあり、僕の作品の中では、少し変わった雰囲気かもしれません。
CGや3Dなど、男っぽい要素が多い分、女性向けの色にしました。

イシイ女性向けな感じはいままでなかったですね 笑

森野ピンクという色は、なかなか面白い色ですね。
あと今回の展示では、特に3D作品に注目して欲しいです。
立体映像を鑑賞するには、メガネをかけたり、特殊なモニターを使用しなければ見れない事もあり、なかなか一般的には普及していませんが、映像を手に取れるような存在感やリアル感は魅力的なコンテンツであり、美術館やギャラリーという特殊な環境には向いていると思います。是非、映画で体験する3Dとは一味違う3Dを体感していただきたいと思っています。
また今回は、ケンイシイさんの音楽が映像に加わることで躍動感が増し、6次元での展示とは違う感覚で、映像を楽しんでもらえると思います。

イシイ3Dは、時間がかかりますよね。

森野そうですね、右目用と左目用の2枚の絵を計算しなければならないので、レンダリングはとても時間がかかります。
特に今回に関しては、自分の「作品」なので、ここで完成という線引がないために様々なことに挑戦していて、制作にも時間がかかってしまいます。

イシイどこで完成と見るかというのが、特に自分の好きな作品に関しては非常に難しいですね。
今回のFlareの新しいアルバムもそうですね。

森野〆切のある仕事に、普段から馴れているので、そのなかでのフラストレーションというのもありますよね。自分の思い描く世界観を実現できるよう、ぎりぎりまでクオリティーを上げていきたいと思っています。

── 今後、テクノロジーの進化の中で、制作、視聴側共に音楽と映像の可能性がどんどん広がっていると思いますが、お二人は今後どんな挑戦をしていく予定でしょうか。

森野いままでのように、クリエーターが1から10までパッケージングでみせるという見せ方もあると思いますが、これからはプログラミングによってある種の「考え」が作品となり、様々なアウトプットメディアに対応して変化していく、生き物の様な作品となり、新たな映像体験や音楽体験ができるのかもしれません。

イシイ基本的に似た考えです。
特に今や、音楽などある程度のことは誰でも簡単にできてしまう。普通に見れるレベルのものは溢れいているなかで、存在価値はなんだろうと。
いかに、場に合わせて偶発性というか、その場にいるからこそ楽しめる。そういうものを生み出せることに価値が有るのではないかと。今回のパフォーマンスでいうと、人々の前に立っていつもと違うものを体験してもらう。いまは、そういったプラスαに価値があるのではないかと考えています。

── 最後に今後の予定をお聞きします。

森野「PINK SKIN」シリーズは、まだ作品を増やす予定なので、更に作品を発展させ、シリーズの完成を目指します。
そして、ピンク色から違う色の世界に足を踏み入れ、新たなシリーズ作品に進みたいと考えています。

イシイツアーと、他のレーベルからの依頼も多く頂いているので、そちらを制作して、Ken Ishii名義のプロジェクトのプロダクションもそろそろ始めようかなと思ってます。

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9/3(木)より開催!
KAZUMA MORINO『PINK SKIN』Collaboration with Ken Ishii

CGアーティスト、森野和馬の作品展を開催致します。世界最大規模のデジタルメディア、デジタルコンテンツのカンファレンス『シーグラフ』や、オーストリアのリンツで開催される芸術、先端技術、文化の祭典『アルスエレクトロニカ』など、国内外で数々の受賞を果たしてきた森野和馬による、国内では貴重な展覧会となります。新作映像作品は、立体視を通して鑑賞することにより、あたかもそこで生きているかのようなピンク色のオブジェ。84インチの巨大REGZA 4Kでの3D映像上映の他に、ストラタシス社による3Dプリンター出力作品の展示、平面作品やARなど、最新の機材環境にて新たな体験型インスタレーションを提案。映像作品には、ケンイシイ別名義Flareニューアルバム『Leaps』のサウンドを加えた、『PINK SKIN』特別バージョンのコラボレーション作品を発表。
また、海外で様々な受賞をしてきた森野の過去の映像作品の上映も予定しています。会期初日には、オープニングイベントとしてケンイシイとのセッションやトークイベントも行います。お誘い合わせ上、ご来場お待ちしております。

詳細はこちらから

news!!

8/12(水)にニューアルバムをリリースされた、ケンイシイ別名義”Flare”のTeaser Movieが到着!
映像は、もちろん森野和馬による作品です!
Flareは、ダンスミュージックのテクノに留まらない実験的な音楽、ジャンルを超えたフリースタイルなエレクトロニック・ミュージックとして展開。PINK SKINで展開される森野和馬さんの映像作品には、こちらのの音源が使用されます。

70 Drums Web Store :https://70drums.stores.jp

    

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