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ROTH BART BARON

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現在アルバム『ATOM』を引っさげてのツアーを展開しているROTH BART BARON。その『ATOM』ツアーが、2月20日土曜日のリキッドルームでファイナルを迎える。カナダ・モントリオールでレコーディングされた本作は、当初より現地のミュージシャンとのコミュニケーションの中で生まれていったアルバムだ。そしてそれをライヴで演奏し、その場で生まれるオーディエンスとの関係性を重ねあわせていくことで、『ATOM』はさらに豊かな音楽体験へと生まれ変わっている。2月20日、リキッドルームで彼らはどんな風景を見せてくれるのか。中心人物の三船雅也(Vo / G)に話を訊いた。

── 11月から『ATOM』のツアーが始まりましたが、どんなツアーになっていますか?

三船そうですね。全18公演なんですけど、今回初めての街も多くて。そういう場所に行って、お客さんの顔を見つつライヴをしていると、また次回もここにくるなという直感みたいのが生まれるんですよね。そういう街がたくさんできるというのは、すごくありがたい。自分たちが予想した以上に人に知ってもらえてきてもらえるし、自分の曲を知って一緒に歌ってくれるとか、そういった経験が前回の『ロットバルトバロンの氷河期』のツアーより増えてきて。すごく充実していますね。

── 三船さんは、旅することとかバンドでツアーすることは好きですか?

三船おもしろいのは、普段音楽を作っているときは全然旅をしないわけです。レコーディングをするときはスタジオが外国だったりするから行きますけど、基本孤独な作業なので、スイッチが全然違うんですよね。1日のパターンがすごくシンプルになるというか。朝起きて、移動して、ライヴやってというのを繰り返すというのは、いつもの自分のチャンネル――いつもの自分がどっちかはわからないですけど、それとは違うからすごく楽しいですよね。もともと、どちらかというと家で音楽を作ってばかりいたから、旅に憧れているタイプだったんです。でも今こう現実にできるようになってくると、もっと貪欲になってくる。オフの時間が長ければもっと街を徘徊できるのにと思っていますけど(笑)。

── 特に印象に残っている土地はあります?

三船全部印象的ですけどね。街並みとか、ひとつひとつのキャラクターがどうしても違うし。あと、どこに行っても、音楽をにまつわることをやりたいけど大都市じゃないからできませんとか、そうやって諦めている人が全然いない。そういう人たちに励まされることが圧倒的に多いし、もらうものがものすごく多いので、どの街に行っても印象に残ります。これはバンドをやっていなかったら出会えなかった人たちだから。ちょっと変な言い方ですけど――自分の街でがんばりたい、上京しようと全然思わず、その街で何かをやろうとしている人たちがすごい印象的で。そういう人が全国にいるんですよね。すごくエネルギーがあるなと思いました。

── 『ATOM』というレコードは、いろいろな意味で『ロットバルトバロンの氷河期』とは性格の違うアルバムであるし、異なる雰囲気とムードを持った作品になったと思うんですけど、そういうアルバムを携えてツアーに行くということで、これまでと違う感覚はありますか?

三船まだ渦中にいる感じですかね。『~氷河期』の曲は演奏者として親しんできた時間が長いから、そこに『ATOM』という新しい曲達が入って来ても、新人社員みたいな感じで(笑)。まだどう話していいかわからなかったり。それをお客さんの前で演奏してるというのは、実は慣れた街でもはじめましてみたいな感じがあって新鮮ですよね。今回はリリースするまで『ATOM』の曲をライヴでやってなかったから、我慢してためていた曲たちを一気に弾ける楽しさもあるし、演奏している気分が明らかに変わっていますね。だから、この先『ATOM』の曲たちを積み重ねて――この先もツアー残っているけど、それを踏まえてどう変化していくかというのは僕らもすごく楽しみですね。

── 『ATOM』というアルバムは、カナダで録音して作った、現地のミュージシャンと関わりながら作ったレコードですけど、それを日本で、このメンバーで鳴らすということで、なにか曲の新しい顔というか、知らなかった一面とか発見だったりとか、そういうのが日々あるんじゃないですか?

三船そうですね。僕らのサポートメンバーも『~氷河期』ツアーから一緒に回っているバンドだから、僕が作ってきたバンドのコードの譜面に対して忠実に音楽をなぞるというよりは、「こういうのどう?」という提案をすごくしてくれたりとか。音源を完全再現しようというバンドじゃないから、その中で彼らとのコミュニケーションやセッションを重ねて翻訳をしていくというか。バンドみんなで作り上げていくという感じができているから。こういうのはどうだろうって常に考えて作るという感覚は前回よりも多いですね。自分の持っている楽器にとどまらず、みんながどう歯車として音楽を作っていくのかという。

── アルバム自体も豊かな色彩感のある音が鳴っていて。これどうやってライヴに落とし込むんだろうなと思うところもあるんだけど、そこは柔軟に形を変えながら生まれ直していく感じですか。

三船そうですね。でも、根底に持っているものはあまり変わっていない気がしていて。それをどう自分たちのフィルターを介してチェンジさせて表現するのかということになっていくのかなと思いますけどね。お客さんの空気とか会場の場所とか、入っている男女の比率とか、そういうもので全然変わってくる。すごくおもしろいですよね。ライヴって名前をつけた人はなかなか言い得て妙だなと思います。

── 『ATOM』というアルバムが出てから3ヶ月くらい経とうとしているところですけど。

三船まだ3ヶ月くらいなんですね。

── そう。まだ3ヶ月ともいえるし、もう3ヶ月ともいえるんですが、今の時点から『ATOM』を捉え直すとしたら?

三船そうですね……いろいろな人が言ってくれるように、いろいろな感想を言ってくれるようになったことによって見えてくるものもあります。たとえば、“big HOPe”というミュージックビデオを作って出していますけど、すごくブリティッシュロック、UKロックな感じがするっていう感想が多くて。でも、僕そんなこと1mmも考えないで作っていたんです。でもそういう言われてなるほどなと思うこととか、それって楽曲の本質ではなかったりする――意外と本質かもしれないんですけど(笑)、そういういろいろな人の感想があると、自分って偏ってたなとか思ったりします。あと、ツアーをすることで……街で出会った人たちが『ATOM』を歌っていることを自分の街が舞台の音楽として聴いていたとすると、その人たちが見えるビジョンとかは僕のものとは明らかに違うから。東京で生きている僕たちとツアーで回る街の人たちの感覚ってちょっと違うじゃないですか。毎日食べているものとか空気とかもちろん景色も違う。だからその片鱗に少しずつ触れて、そういうのを感じられるのは、すごくおもしろいですね。そういうことが『ATOM』というアルバムの曲を演奏する自分のヴィジョンとか心を少し豊かにするというか。視野が自分の中でも広がったような気がしていますね。それによって歌う気持ちも少し変わってくるような。わからないで歌っていたことが少しわかるようになったという感じですかね。

── どんなことでも人と会話をしていると、理解したり腑に落ちたりすることってあるじゃないですか。多分この『ATOM』というアルバムも同じようにコミュニケーションによってひもとかれていくんだと思うんですね。制作の過程からコミュニケーションによって生まれたアルバムが、またライヴという場で、お客さんとのコミュニケーションを介して見えてくるというか、そういう感覚なのかもしれないですね。

三船そうですね。

── ツアーファイナルはリキッドルームになるわけですけど。キャパシティとしてもROTH BART BARON史上一番大きいライヴであるし、ツアーを経ての変化なり成長なり進化なりもでる場になるんじゃないかなと思うんですけど。

三船僕らが住んでいるところの近くでもあるし、リキッドルームでは知らず知らず公演を観てきたんですよね。グリズリー・ベアが来日したときもリキッドルームで観たし。いまのバンドメンバーみんなでグリズリー・ベアを観にいって、その後打ち上げをして、ああだこうだ感想を言ったりしたのをすごく思い出しました。『~氷河期』が出る前だったんですけど、それはすごく懐かしいなと思って。ジム・オルークのライヴとかもあそこで観たりしたな。だから、この間僕が世話になったカナダの友達が日本に遊びにきていたんですけど、恵比寿でご飯を食べて、リキッドルームがあって、「ここはいろいろなミュージシャンが来日するすごいハコなんだぞ」って言ったら喜んでいて。恵比寿のランドマークになっていて、そういう説明をしやすい。そこに出られるというのは光栄にも思うし、出ちゃっていいんでしょうかというのもあるし(笑)。でも、ツアーを経て演奏はすごく変わったものになっているのは間違いないです。いろいろなものが見えてきているし、いろいろ企んでいることもあるし、そういうことがうまくいくといいなと思っています。

── 「いろいろ企んでいる」?

三船いろいろ企んでます(笑)。照明の人に今回は入ってもらって、一緒にライヴを盛り上げていこうかなと思っていて。みんな観たことないタイプの照明があって、どうなるんだろうと楽しみなんですけど。すごいエネルギーのある人だから、バンドも負けないように。そこもある種ガチンコバトルなんですよ。そこでケンカが起こるんです。上手くいったらハマるし。

── いままでのROTH BART BARONのライヴとは違う雰囲気が出るかもしれないですね。

三船楽しみです。『ATOM』を出したことによって――僕はそのレコーディングのために2015年を費やしてきたから、やっと年が始まった感があって。リキッドルームでツアーは終わるけど、個人的にはまだまだこれから始まる感があるんです。やりたいアイディアとかに落ち着いて取り組めるようになってくるから、その実現のために2016年が費やされるかと思うんですけど。『ATOM』をこの先どう広げていくのか、その最初のとっかかりになるのかなと思います。

公演情報
ROTH BART BARON
ATOM TOUR FINAL LIQUIDROOM ONE MAN SHOW
日程:2016年2月20日(土)
会場:東京 恵比寿 LIQUIDROOM
OPEN/START:17:30 / 18:00
*来場者にはATOMドキュメンタリービデオをプレゼント

チケット販売中
料金:3,500円 ドリンク代別
チケットぴあ ローソンチケット [73841] e+ 楽天チケット、岩盤

お問合せ:HOT STUFF PROMOTION/Doobie 03-5720-9999 http://doobie-web.com/

https://www.liquidroom.net/schedule/20160220/27302/

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