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INTERVIEW

小袋成彬 × 櫻木大悟(D.A.N.)

小袋成彬 × 櫻木大悟(D.A.N.)

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interview by 奥冨直人(BOY)  Photo by 鳥居洋介

最新アルバム”sonatine”をリリースし、進行形で新たなサウンドアプローチを探求しているD.A.N.。
今年4月、1stアルバム”分離派の夏”でメジャーデビューをはたし、圧倒的な歌唱力と存在感を放つ小袋成彬。今までフェス以外での共演はなかったという両者の2マンライヴが、8/23(木)恵比寿リキッドルームで開催となる。
先日のFUJI ROCK FESTIVAL ’18では、同日のレッドマーキーでハイライトとも言える素晴らしいステージを繰り広げた彼ら。
共演の期待値が高まる中、櫻木大悟(D.A.N. Gt,Vo,Syn)と小袋成彬に話を伺った。

 

–まず、お二人が出会ったきっかけは?

小袋:三年位前のクリスマスに新宿であったサーキットイベントかな。

 

櫻木:その時かもね。

 

小袋:けど、その前にD.A.N.のライヴを代官山LOOPで観た事があるよ。結成してまだ2回目とかのライヴだったと思う。

 

櫻木:その当時、お互いSBTRKTを聴いてて、音楽の話が合いそうだよねって話した覚えが少しある。

 

小袋:あんま覚えてないわー(笑) 。

 

櫻木:あれ(笑)。

 

小袋:僕が一番覚えてるのは、オオクボリュウ君の事務所でDJパーティーがあった時、外で10分位小話した記憶がある。

 

櫻木:えー、あったっけ?

 

-なかなか記憶がかみ合わないですね(笑)。再会は久々ですか?

小袋:前に会ったのはVIVA LA ROCKで、出番がほぼ同じ時間帯だったね。フェス以外での共演は、今回が初めてだよね。

 

櫻木:そうだね。

 

-個人的には、この2組の対バンの組み合わせを知った時に、腑に落ちると言うか、
この世代でお互いの対バンを考えた時に、両者がしっくりハマる感覚がありました。

櫻木:僕らが元々リキッドルームのアニバーサリーの話を頂いた時に、ちょうど小袋君がアルバムリリースしてるタイミングで。これは素晴らしいなと。結構悔しいぐらいの衝撃でした。

 

小袋:まじか!嬉しいなあ。

 

櫻木:だって、自分達には出来ない表現をしているし、すごいそれは尊敬するなと。特に歌のリズム。日本的で独特な間が結構あるけど、その中で歌が根幹にあって表現している印象。

 

-小袋君からのD.A.N.への印象は?

小袋:D.A.N.は、僕が重なるのは初期のダフトパンクとか、要はハウスとかテクノのそもそもの始まりみたいなものを感じる。
ファンクとハウス/テクノのその一番曖昧でギリギリな感じ。俺は絶対作らないけど、最近テクノの良さがわかってきたんだよね。酒に酔って浸ってる時に、色々展開される音楽だと踊れなくて困るじゃん。そういうのを俺が最近になってわかる前に、全然先にD.A.N.がやっちゃってたっていう所も、いいなーと思った。

 

-確かに、両者のアルバム通しての印象は結構真逆かもしれません。互いに海外でのレコーディングを通して、感じた部分はありますか?

小袋:ノリ、アイディア、その場の発想が向こうでのレコーディングで比重が大きくて。
日本だと、準備して、何をやるか決めて、タイムスケジュールを組んでみたいな流れが基本だから、
そこが音楽へのアプローチが全く違う所だと思った。

 

櫻木:アイディアの純度や鮮度が、そのまま録音に反映されているというか。
日本だと工程でピュアな部分が削ぎ落されちゃって、「あれ、これってなんだったんだっけ」みたいな部分が良くないレコーディングに繋がってしまう事もある。

 

 

-その純度や鮮度に対して、テンションも反映される部分ですよね。

櫻木:テンション的にも、今までで最初にインスピレーションとして得たものに対し「こんなんだっけ」と思う事が過去にあったんだけど、今回そういうのがなかったのが良かったよね。

 

小袋:前作のD.A.N.は、作り込まれて精巧で、それが日本っぽかったんだけど、今作はそれが削ぎ落されてる感じがしたな。

 

櫻木:今回は、良い意味で適当に出来て。海外レコーディングでの経験はでかかったと思う。

 

小袋:”分離派の夏”は凄い精巧に作られてて、やってた事は間違ってないんだけど、時間が経って今はもうつまんないと思ってしまって。だから次作るとしたら、なんにも決めないで色んな人と作って、アイディアの鮮度の高いものをぶち込んでいきたい。

 

櫻木:でもさ、1stアルバムってそうなるんじゃない?

 

小袋:わかる。そうだよね。

 

-そういう意味では現状のアジアの音楽シーンって、レコーディングやMV制作の工程が即興性高く鮮度や純度に誠実だなと思っていて。小袋君が最近聴いているアジアのアーティストっていたりしますか?

小袋:アジア、なんだろう..韓国は面白い人沢山いるよね。
マレーシア出身のラッパーのAirliftzって知ってます?めっちゃかっこいいすよ。
https://www.youtube.com/watch?v=xTy5C1AtEXE

 

-櫻木君は?
櫻木:具体的なアーティストは言えないんですけど、この間WWWのスタッフの人達から中国のクラブシーンが面白い話を聞いて興味ありますね。
情報が制限されていたりする中で、とにかく新しい音楽を聴きたい貪欲な人達が集まって、そういう空気が沸々と煮えたぎってるんだって。
アジアのクラブシーンの中で、プラットフォームとして盛り上がってきていると思う。
僕らも9月に中国でライヴがあるんで、行くのが楽しみです。

 

小袋:そういうライヴの誘いってどうやってくるの?

 

櫻木:中国のプロモーターからオファーがきたんだよね。

 

小袋:向こうのバンドと対バン?

 

櫻木:いや、4日間ずっとワンマンなんだよね。そんな歌えるのかみたいな(笑)。移動も全部飛行機みたいで結構ハード。

 

小袋:それじゃクラブ行けないんじゃん(笑)。

 

-オフが作れたらいいですね..中国のクラブシーンをはじめ、お金の掛け方・予算が国内外で様々な違いがありそうかなと思っていて。ミュージックビデオではそれが特に感じるなあと。
あと、韓国のBTSの様に米ビルボード1位を取るみたいな参入の仕方も、現状の日本にはなかなかない事かなと。

小袋:そうそう。もう”天晴れ”って感じ。88risingとかも最高じゃないですか。
だけど、それを指銜えて見てるのももう嫌で。
だったら、全然違う事しないと意味ないし、ミュージックビデオも100万円で30秒の映像を作る方がいいんじゃないかなって。

 

-面白い発想ですね。
そういった制作や予算への観点でも、Tokyo Recordingsからメジャーレーベルでの活動に移り、制作にあたる上での環境はいかがでしょう。

 

小袋:前置きすると、僕のスタッフは日本で最高だと思う。
音楽への理解、行動力、アイディアも素晴らしいと思う。けど、メジャーはメジャーの様式がある。
全国に何十人もスタッフがいて、その人達が食べていける為にはやっぱり規模感が一歩上になるという事で。
その為にタイアップをとるとか、誰かの期待に応えるとか、自分の不本意な所で楽曲を作ったりしている事に気がついた時に、すっごい顔が疲れてたりするんだよね(笑)。
メジャーは向き不向きはあるし、僕自身は向いてる部分も不向きな部分もある。

 

-こうやって聞いていくと、ミュージックビデオしかり、例えばメディアでも制作過程でもフォーマット化しているものが多いという現実がありますね。

 

さて、8/23(木)はリキッドルームで2マンライヴとの事で、会場への思い入れはあったりしますか?D.A.N.は、カウントダウンイベントだったりワンマンライヴだったり、リキッドとはだいぶ親交の深いイメージです。

 

櫻木:以前にリキッドのカフェでバイトしていた事があって、現場のスタッフの人達とも仲良くなったり、ライヴもいっぱい観たりしたし、思い入れはありますね。

 

-小袋君はリキッドでのライヴは初めてですか?

小袋:今の体制は初だけど、客演で出た事は、80kidzの時と水曜日のカンパネラの時の2回ありますね。
ライヴを観にも何回来たかわからないくらい。

 

-2人は今年のフジロックでも同日のレッドマーキーに出演という事だけど、そこで観たいライヴはあります?

小袋:BOB DYLANは観ておきたいかなあ。あと、Vampire Weekendも好きなんだよね。

 

櫻木:Peggy Gouっていう韓国出身なんだけどベルリンに住んでる女性DJがいて、彼女が作るハウスのトラックがめちゃめちゃ良くて、観たいですね。けど、あんまりしっかりチェックしないでフラッとたまたま観たのが意外に良かったりもする。

 

-たしかにフェスの醍醐味でもありますね。FUJI以降の活動や、今後の目標はあったりしますか?

小袋:えー、ない。なんか、希望がない(笑)。

 

-すごいなあ(笑)。以前から目標はないとは言ってましたね。

小袋:目標がなくてもいいんだけど、なんか希望がないのよ。このまま続けてて何が自分にあるかって思うと。わかるこの気持ち?

 

櫻木:うんうん、わかる。

 

小袋:だって、表に出て歌うより海外に住んで向こうに住んでるラッパーにトラック提供したりする方が絶対楽しいもん。って最近思っちゃった。
アジアの海外進出は88risingとかに任せて、僕らがChildish Gambinoを知らないベトナム人と一緒に音楽作るとか面白いんじゃないかって。

 

櫻木:確かに。それは想像豊かだわ。面白い。

 

小袋:ね。ラップの文化とかもまだ届いてるかわからない場所とかでやったりするの。

 

櫻木:なんかエモそうだよね。

 

小袋:そうそう!ピュアだしさ。

 

櫻木:じゃあある種、そういったピュアなものへの渇望があるわけだ。

 

小袋:うん、あるある。

 

櫻木:それがあるゆえに、ちょっと希望が薄れてきているという事だ。

 

小袋:そう。国とかに対してじゃなくて取り巻く環境にね。真面目な性格だから、期待されているのがわかるとなんか..

 

櫻木:わかる!俺もそう。

 

小袋:ね。なんか見えてきちゃうじゃん、そういうの。目標はあったりする?

 

櫻木 :やっぱ海外かなー。

 

小袋:D.A.N.は絶対海外合うと思う。俺とか翻訳しないと意味ないし。

 

櫻木 :いやいや、そんな事ないよ。超ユニークだと思うよ。

 

-褒め合い(笑)。

櫻木:ロンドンで2マンライヴとか出来たらいいかもね。

 

-海外でやりたいっていうのは、やはり海外でのライヴを経て感触があっての事?

櫻木 :そうですね。やってみて、大丈夫そうだなって(笑)。

 

-(笑)。

櫻木:最初にロンドンでライヴした時は飲み屋の中で、ステージの真ん中にめちゃめちゃでかいアーチみたいな柱が立ってて、
僕らの編成だと、柱の小窓から仁也が覗いてみるみたいな変なポジションになってた(笑)。

 

-かわいいですね(笑)。

櫻木:向こうの御客さん、1・2曲目は様子を伺いつつもいいなと思ったら直ぐに反応してくれて。
音楽に解放的だし、純粋だよね。あと、リズムをちゃんと聴いてる感じがする。

 

小袋:うん、わかるわ。でも、フェスとか行くとペットボトル投げたりいきなり目の前で用を足したりマナーの悪い人もいたりして、向こうからすると日本人はおとなしくよく聴いてるなって思われてるかもね。どこに行っても皆それぞれ文句はあるんだと思う。

 

-そう考えると、ライヴでの環境や楽しみ方はまだまだまとまる事はなさそうですね..

 

 

さて最後に、今回の2マンライヴをそれぞれ聞かせてください。

小袋&櫻木:意気込み..あんまないな(笑)。

 

櫻木:いつも通りで。アグレッシブルにいきたいですね。

 

小袋:そうだね、毎回ライヴ毎にアレンジ変えてるから、、今回もいろいろやるわ(笑)。

 

 

フジロックでのライヴを終え、更に躍進する彼らの共演が非常に楽しみな夜。
新たな境地を体感させてくれるであろう、両者のステージを是非目撃頂きたい。

 

 

ライブ情報!!!!!

 

2018.08.23(THU)
LIQUIDROOM 14th ANNIVERSARY
D.A.N. x 小袋成彬

OPEN 18:30
START 19:30
ADV ¥3,800(税込・ドリンクチャージ別)

 

*チケットはリキッドルーム店頭でも若干数取り扱いございます。各所、売り切れ次第終了となります。ご了承ください。

 

 

 

D.A.N. x 小袋成彬

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