FEATURE

LIVE REPORT

ゆらゆら帝国/にせんねんもんだい/DMBQ

ゆらゆら帝国/にせんねんもんだい/DMBQ

twitter facebook

リキッドルームが満を持して送る5周年のアニバーサリーイベント、ありそうでなかったゆらゆら帝国、DMBQ、にせんねんもんだいという夢のような競演。正に狂演である。開場してすぐに満員となったフロアは、静かな熱気に満たされていた。

まずはにせんねんもんだい。1曲目は『FAN』。フレーズをループさせ、じりじりと責めるようなギターの音量は徐々に上がり、ベース、ドラムが絡む頃にテンションが一気に絶頂へと達した3人から解き放たれた音は会場を揺さ振るには十分過ぎた。中毒性を含んだミニマル的要素のある楽曲でオーディエンスをトランス状態へと誘う。
掻き鳴らされるギターとベース、壊れたように叩きつけられるドラム。爆発の連続であったそれはさながら破壊の後の再生への手順とでも言えるだろうか。圧倒的な演奏の中に浮かび上がった意図的な混沌は台風の目のように求心力を持ち、オーディエンスはただただ息を呑んでステージを見つめるといった人が多かったように思う。3人の華奢で可愛いらしい容姿とステージングのギャップには本当に驚かされた。

続いてはDMBQ。雷鳴の如く打ち鳴らされたギターを合図に会場が暗転し、メンバーの4人がステージに姿を現したかと思うと、会場はすぐに轟音に包まれた。へヴィサイケ、ハードロックといったジャンルを取り込みつつも、圧倒的なオリジナリティーによって昇華されたDMBQの音楽は狂気と妖しさに満ち満ちていて、あっという間に気持ちを持っていかれてしまう。相変わらずの激しいパフォーマンスも健在で、Gt.松居はギターのボディーを口で咥えて弾きまくり、Ba.渡邊はアンプの上からジャンプするという正に狂騒。Vo.&Gt.増子のハイキックが決まったかと思うとラスト、彼はマイクを仕込んだガスマスクを被って客席へ飛び込み、オーディエンスの手で出来た飛び石の上を闊歩してしまった。更にはドラムセットを客席に持ち込み、Dr.和田も増子同様客席へ。そしてそのままオーディエンスによって支えられたドラムに座り、空中でドラミング・・!一体、誰がそんな展開を想像出来ようか。その後はシンバルを燃やすという、最後の最後まで度肝を抜かれる圧巻のステージであった。

この日のラストを飾ったのはゆらゆら帝国。一曲目はなんといきなりこの日初披露の新曲。最新アルバム『空洞です』の流れを汲んだかのような、緩めのミディアムナンバー。そして続いても新曲で、こちらは殺傷能力の高い癖のあるメロディーが耳に残る。三曲目も新曲かと思いきや、実はアレンジをがらりと変えた『心は半分』。ライブで演奏するのは久しぶりということもあって会場のテンションは一気に上がり、それに呼応するようにステージをぐねぐねと動き回る Vo.&Gt.坂本。Ba.亀川とDr.柴田による鉄壁のグルーヴ感は流石である。更に『男は不安定』のハイテンションな演奏でオーディエンスの熱気も上がりっぱなし。『やさしい動物』の後、またもや嬉しい新曲を披露。こちらはファルセットが美しい切ない一曲に仕上がっていた。そして『ミーのカー』、『無い!』と畳み掛けるかのような激しい演奏で会場を沸かせてのラストとなった。
新曲を含めあまり披露しない曲が多く、定番曲が少なめの、ある意味ではチャレンジングなセットリストであったと言える今回のライブだが、新曲も気持ち良く馴染んでいたのが印象的。やはり彼等の鳴らす音楽には特殊な吸引力が宿っているのである。

それぞれが簡単な挨拶だけでMC無し、アンコール無しという潔いステージ。しかしそのサウンドが、唄が、会場全体から発せられたエネルギーと歓声が、全ての答えとなってしまう、完璧な夜であった。

RECENT LIVE REPORT

LIVE REPORT TOP

RECENT LIVE REPORT

LIVE REPORT TOP