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DISCLOSURE / ALUNAGEORGE

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新しい時代の為のステップ、刻まれるハウスのビート。

日本における風営法の問題は未だはっきりとした結論に至っているわけではないがそういった文化事情の問題はどこの国でもあるようで、イギリスでは法律的にクラブでマリファナが吸えなくなったらしい。ダブステップがここまで大きくなった事には少なくともウィードの影響があった。
そしてその変化と共に今UKでは、そして世界でもハウスの時代が再び訪れている。
それは90年代のようにレイブカルチャーが牽引するものではないが、2000年代初頭の2ステップやUKガラージのリヴァイヴァルが起きている事はその証明でもある。ダブステップのパーティで下を向きその深いベースとノイズに身を埋めていたキッズ達はハウスのBPMに合わせてステップを踏んでいるのだろうか、、それを今回カップリングという形で来日をしたDisclosureとAlunaGeorgeは証明してくれた。
リスナーの期待値はとても高いようでチケットはソールドアウト、会場はオシャレに着飾った若い子らや業界の関係者などの姿で埋め尽くされていた。それもそのはず、Disclosureは先日発表したデビューアルバムで全英1位を獲得しているし、Alunageorgeも同じく7月にデビューアルバムであるBody Musicを発表し、まさに大注目の2組なわけだ。
彼らが登場する少し前、ダブステップを中心としたここ数年のムーブメントには思考性があり、内省的なグルーブが存在していた。それはディストピアを纏い、James Blakeはその衣を着て愛を歌っていた。。そこからのBody Music、だ。
何て高らかな宣言だろう、とにかく感じるんだ。

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15分ほどの遅れと共にAlunaGeorgeがバンドメンバーを引き連れてステージに登場した。
会場の大声援にAlunaが丈の長いローブをはためかせ日本語で答える、まるでスーパーモデルのデビューイベントの様に。Just A Touchに始まり、アルバム収録曲を中心としたセットであったが既にヒットナンバーのオンパレードの連続で1曲1曲に観客は鼓舞されていく。

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予想以上に所狭しと踊り弾けるAlunaはとてもチャーミングでキュート、彼女の持ち味であるハイトーンとミドルトーンのボーカルの使い分けはライブにおいても健在で楽曲に様々な表情をつけている事がよく分かる。一方相方のGeorgeは、これがギーク全開のパフォーマンスでとても面白く、シンセサイザーの鍵盤をふわっと叩いたりサンプラーに散りばめた音ネタを操りながら腰をくねらせている姿が印象的だった。2人が揃ってサンプラーとシンセを操る一幕もあり、会場の熱は既に沸点へと近づいていく。彼らが巧いのは楽曲そのものの構成も去る事ながらそのイメージのまとめ方で、エレクトリックミュージックの尖った部分をしっかりとマーチャンダイズされたポップスでフォーマットさせている事だと思う。ラストを飾ったのはYour Drums,Your Loveで超ファッショナブルなPVの世界感をしっかりと体験させてくれた。

しばらくの転換を経てのDisclosureに移るわけだが、AlunaGeorgeのライブ中ずっと気になっていた事があり、それはステージの後方に鎮座している黒幕の塊が2つであった。それはもちろんGuyとHoward兄弟のセットであり、彼らのライブの特徴でもある向かい合いながら演奏をするスタイルを即座にイメージさせるのだからこちらもいつライブが始まってもいいように既に心のスイッチに手を伸ばしておく。

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そして、Disclosure登場、会場は抑えきれない興奮と供に既に熱狂している。
コロコロコロコロコロコロコロコロ、、、、F For U、いきなり全開で来た。
若き兄弟が仕掛けるシルキーで甘いハウスに客席は全会一致でダンスを選び初っ端から踊りまくっている。この瞬間に踊らない理由なんてないはずだ。
彼らのセットはAbleton Liveを中心にシンセサイザーやシーケンサー、エレクトリックドラムなどの電子楽器、時にはベースを自ら弾きながら曲を構築させており、ゲストボーカルを迎えた物を除いては極力自分達で演奏をする事に念頭を置いているようだ。
それは彼らがダンスミュージックのプロデューサーである以前に幼い頃からミュージシャンである事に起因しており、曲間がシーケンスで繋がれているとしても、あくまでもライブセットとしての体験を伝えようとする配慮でもある。
それが故に緩急が乏しく抑揚に欠ける場面もあったが、世界が注目する新星としての実力はしっかりと見せてくれたと思う。

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Settleというアルバムの構造自体がゲストヴォーカルを迎え入れDisclosureとしてのクラブクラシックを作る事と筆者は認識していたため、2枚目以降の作品がとても楽しみになる結果となった。本人達も今後は人数を増やしフルバンドセットでのパフォーマンスを望んでいる発言もあるのでこれからが本当の快進撃になるのではないだろうか?
終盤ではAlunaが飛び入り参加し、観客の期待通りにWhite Noiseを披露。
ステップと熱狂が、甘美なるダンスの魔力が会場を揺り動かしていた。

ライブの終演後、外は気持ちのいい秋風が吹いていた。季節の移り変わりのように彼らもまた新しい時代の音を感じさせてくれるものであった。

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