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YO LA TENGO

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JAPAN TOUR 2014ラストを飾ったコンセプチャルなライブ。坂本慎太郎もふらり参加!

善と悪、光と闇、男と女、白と黒…反対かつ相対するふたつのものは両方を知ってこそおもしろかったりするけれど。
先日リキッドルームのステージでヨ・ラ・テンゴが起用したテーマはまさにそれ。彼らはこれまでも海の映像に合わせて演奏したり、観客と対話を交わして思いつく曲を次々に演奏するなど、そのコンセプトを知るだけで興味をそそるライブを展開してきた。そして今回はQUIETとLOUDの二部構成による一夜限りのライブが行われた。息を止めて聴き入ってしまうくらい静かな曲も、ギターをギャンギャン掻き鳴らす激しい演奏も、どちらもバランスよく混在している普段のステージに代わり、敢えて静騒に分けることでヨ・ラ・テンゴの二極をたっぷり堪能できるのだ!

まずはQUIETの部。最新アルバム『FADE』から「OHM」のQUIETバージョンでスタート。といっても、私は1曲目を聴き逃してしまった…とても悔しい。その後も「TWO TRAIN」「THE BALLAD OF RED BUCKETS」とアコースティックセットによる優しく爽やかな曲が次々に演奏される。会場内は一歩も動けないくらい人がぎゅーぎゅーで、その全員が息をのんで静けさを楽しんでいる。アイラの呟くような低い声、ジョージアの消えそうな優しい声、そしてジェームスの伸びやかな美声がみんなの心を包む。わたしはここが代々木公園の芝生の上だったらいいのにと思ったりした。ビール片手にゴロゴロしながら初夏の風にあたって聞くYO LA TENGOは最高だろうな。そんな思いを馳せてるうちにQUIETの部は「BLACK FLOWER」を最後に幕を閉じた。

休憩を挟んでLOUDの部。会場もそのつもりなのかメンバー登場と同時にさっきより大きな歓声があがる。前半でギターアンプ前にあった椅子はなく、アイラとジョージアが早速ひずんだギターをかきむしる。曲ごとに楽器を交代しながら3人はノンストップで暴れるように演奏していた。こうしてラウドな曲ばかりを続けて聴いていたら、その音の洪水の中にときどき静寂を感じたりもした。QUIETの時と変わらない3人の歌声のせいかもしれない。轟音の中から聞こえるキラキラした切ないフレーズの連続で泣きそうになる。終盤はさらに盛り上がりをみせ、六本木ではやらなかった名曲「SUGERCUBE」から「OHM」のLOUDバージョンを経て、ジョージアのドラムがスタタンタンタンバシャーン!とキました!「BULE LINE SWINGER」!とてもドラマティックなエンディングで本公演は終了した。

これだけではない。1回目のアンコールではスペシャルゲスト・坂本慎太郎がギターで登場!ニューアルバム『ナマで踊ろう』リリース目前、実に4年半ぶり(!)という彼の出演は開演の2時間前に決まったとか。そんな貴重な機会をさっと決めてふらり出てきた坂本氏がセッションしたのはニール・ヤング「TIME FADES AWAY」の爆音カバー。そのギタープレイはヨ・ラ・テンゴの世界にとてもとけ込んでいて、客席から見えるその存在は心がきれいな人間にしか見えない妖精か妖怪か幻のように思えたりもして。とても美しく楽しい風景だった。

2回目のアンコールには再び3人で登場。最後の最後に演ったのはダニエル・ジョンストン「SPEEDING MORTERCYCLE」のカバー。アイラによるイントロの弾き語りで興奮の声がわー!っと会場に広がる。とてもほっこりした気持ちで終演を迎えました。前半9、後半11、アンコールが3+1の全24トラック/たっぷり3時間。リキッドルームだけの特別な夜をありがとうヨ・ラ・テンゴ!

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