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HEADS UP

『HEADS UP』

WARPAINT

[label: ホステス/2016]

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こんなバンド沢山居たら良いなと思うWarpaintの新作と再来日

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text by 川辺素(ミツメ)

自分が見逃して、見た友達が絶賛していたライブというのは凄く記憶に残るもので、そのうちの一つが2011年フジロックのWarpaint。2014年の来日も自分のライブと重なって見たことがない。

Warpaintは2004年に活動を初めた、実はちょっと長くやっているバンド。アメリカのロサンゼルスで結成された女性4人組。ドラマーが2009年までに数人かわっているが、1stアルバムリリース以降はずっと同じメンバー。今作が3作目なのであまり多くはリリースしていない。

Warpaintのアンサンブルにはアイデアが詰まっているように思い、いつもハッとさせられる。インターネットを通して調べるだけでもJamie XX、ジェームス・ブレイク、カート・ヴァイルなどなど、刺激的な作品を作る人々と交流があるようだ。彼女達のビートが効いていて音数の少ない洗練されたサウンドからは、いわゆるバンドらしいアプローチではないアレンジも多く見られて、少なからず上記のような交流が影響を与えてるのではないかと思ったりする。

前作「Warpaint」ではレディオヘッドのプロデュースで知られるナイジェル・ゴドリッチなどが制作に関わっていたからか、聴感上それまでの作品と比較して飛躍的にくっきりした音像で、整理された印象があった。今作はそれらの人々は関わっていないものの以前のようなローファイな音にはなっていないように思う。むしろ作品全体で大きな変化はそこまでなく、前作からの延長線上にあると言えそうだ。違いを強いて挙げるとしたらリズムマシンが用いられる楽曲が多くなっているように思う。それにあわせてか生のドラムもコンプ感は強く、実際にそこで叩いているような空気感は少なく聞こえるミキシング。生ドラムが音色としてブレイクビーツのような使われ方をすることでリズムマシンとのまざりがよく、一体となっている。どうしても人力だと昨今のトラックメイカーのようにリズムマシンも生ドラムのサンプルも混ざった複雑でクールなリズムを表現するのにハードルが高いと思うが、その点においては完成度が高く、かっこいいなと思う。他のパートもパーカッションのように演奏しバンド全体で一つのリズムを表現するスタイルは今まで通りではありつつも、ビートの細かさに引っ張られて複雑になっているなと思った。それでもあんまり難しく聴こえないのがWarpaintの凄いところ。「New Song」やタイトル曲の「Heads Up」などは今までにないくらいポップで開かれた曲もあるし、また違ったところへ行くのかなとも思えるアルバムだった。

また、こういう生ドラムとリズムマシンが混ざったサウンドをいかにライブでやるのかというのは大きな問題で、自分達のバンドでは試行錯誤している。そんな経験があるので勝手に今作でのWarpaintのドラムは演奏が大変だろうなと思っていたが、ライブ動画をざっと見たところドラムをシンプルにして違うパートで補うなど大分アレンジに違いがありそうだった。それもかっこよく、他の楽曲もどう演奏されるのか期待が膨らんでいる。

こんなバンドが沢山居たら良いなと思うバンドWarpaint、ライブもこれからの作品も楽しみだ。

NEWS!ウォーペイント、待望の初単独ツアーが決定

WARPAINT “JAPAN TOUR 2017”

2017/2/28(火) at LIQUIDROOM
OPEN / START 18:30 / 19:30
¥6,300(税込・ドリンクチャージ別)

TICKET NOW ON SALE
チケットぴあ [315-091]
ローソンチケット [73278]
e+

INFO
SMASH 03(3444)6751

https://www.liquidroom.net/schedule/20170228/31833/

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