FEATURE

REVIEW

Spirit of Eden

『Spirit of Eden』

TALK TALK

[label: CAPITAL/1988]

Amazon

現在のシーンにも大きな影響が垣間見えるエレポップ・バンド

twitter facebook

文:久保憲司

 ティアーズ・フォー・フィアーズのことについて書いたら、トーク・トークのことについて書かないとダメでしょう。ティアーズ・フォー・フィアーズの現代のアーティストへの影響というのは僕の妄想かもしれませんが、トーク・トークは間違いなく与えています。
 トーク・トークに影響されたといっているバンドはポーティスヘッド、レディオヘッド、DJシャドウ、ウィザーなどなど、シガー・ロスはライヴの前にトーク・トークを流していたそうです。
 ピッチフォークも『ザ・カラー・オブ・スプリング』は80年代のベスト・アルバム83位、『スピリット・オブ・エデン』は80年代のベスト・アルバム34位、『ラフィング・ストック』はなんと90年代のベスト・アルバム11位です。「どんだけ評価高いねん」て感じです。
 この評価の高さ、新しいメローなサイケという感じなんでしょうか。海外ではポスト・ロックのルーツ的評価が高いですけど、僕的にはボン・イヴェールが『スピリット・オブ・エデン』の“アイ・ビリーヴ・イン・ユー”をカヴァーしたように、いまのこのアメリカのメローな感じの原点なんじゃないかと思ってます。
 ティアーズ・フォー・フィアーズが現代で騒がれていないのは、大人になりきれなかったことですかね。1枚目から売れてしまったから、そのまま突き進んだということなんだと思いますが、トーク・トークはいい感じでメローになっていったのが、よかったのかなと。いま聴くとするとやはり『スピリット・オブ・エデン』を聴いて、いいメロ、いいプロダクションだなと感動して、『ラフィング・ストック』を聴いて、いまのサイケって、これなのかと思うのがいいかもしれません。いまのサイケって、言っても20年くらい前なんですけど、でも、このへんの感じが一番最新のサイケなのかなと僕は思っています。
 まっ、みなさん、トーク・トーク聴いて、いまの外国の若者たちがどんな感じで癒されていたのか、確認するのもおもしろいかもです。外人の人たちはきゃりーぱみゅぱみゅには癒されないということですよ。こういう音楽を聴いて、自分を癒し、新しい音楽を作っていっているのです。

RECENT REVIEW

REVIEW TOP

RECENT REVIEW

REVIEW TOP