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sub verses

『sub verses』

akron/family

[label: Pヴァイン・レコード/2013]

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高鳴るノイズギターのファンファーレ、まさに超大爆発音楽祭、開放感あふれるオルタナティブな1枚

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text by 梅谷 裕貴

akron/familyによる通算6枚目のアルバム、sub versesは彼らにとっても
またロックやサイケといった文脈においてもかなり急進的で野心溢れる1枚となっている。
1曲目のNo Roomでは巨大な獣が3匹冬眠から目覚めるかの如くハーモニーを重ねながら
ブルージーな展開においてばっちりと目が覚めていく姿が映る。
高鳴るノイズギターはもはやファンファーレのように響き、リヴァーブコーラスは泉を見せてくれる。
完璧に音で物語りを、そして語り部である彼ら自身を紹介するのだからたまったもんじゃない。
どうやらまたとんでもない事になりそうじゃないか。。
2曲目のway upのイントロで超上昇気流のような音の渦で雲の上まで吹き飛ばされ
まるで天井散歩のようだ。
しかし、徹底的に乾いた質感がある。カラッとしたアメリカの空、普遍的な男性像。
この上昇的なサウンドや編曲は以前から彼らの特徴としてあったものだが、
今作では更に強調され、不穏な響き(電気的なマントラのような)ですら
甘美なメロディとハーモニーの1部として現れている。
swansのMichael Giraはこのアルバムを
「この50年間のポップ/ロック音楽を挽肉機でミンチにして、電解液とハチミツを加えて
発酵させたような…。」
と語るように、余りに貧欲で愛に溢れた獣達による大爆発音楽典であり、ロストアメリカを裏側からえぐり
暴いたようなアルバムなのだ。
このアルバムを聞いていた時、ふとadam kimmelというファッションデザイナーを思い出した。
彼がファッションにおいて表現していた事柄こそ失われたアメリカを暴く事で、
それはデヴィッドリンチ的な世界やサイケデリックなサーフィンのカルチャーなどのフィルターを
通して表現されていたが、akron/familyもまたインディー、オルタナティブというフィールドにおいて
これ以上ないほどに描ききっている。
近年のボアダムスに見られる超祭り感みたいだなと思っていたら6曲目のタイトルがHoly Boredom
だった!!!
全く様々な音のテクスチャーや文脈、感覚が集まりドロドロに溶けて動いているが
ズブズブにはならず、只ひたすらに前へ向かって前進し、上昇していく。
さて僕らも冬の眠りから覚めてsub versesを聞きながら春を楽しもう。
この開放感は今日本に1番必要な感覚かもしれない。

ちなみに今回のアルバムアートワークはsuun O)))のstephen O’ malleyによるもので
これがまたバキッバキでカッコいいので是非チェックですよ。

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