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Stranger

『Stranger』

星野源

[label: ビクターエンタテインメント/2013]

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毎日を闘い続ける僕らに。

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text by 加藤将太

朝起きて、仕事に向かう。ある人は家族や恋人に「おはよう」と「いってきます」を、ある人は何も言わずに、それぞれの今日という日が幕を開ける。

長い人生の中で、人はどれだけの時間を仕事に費やしているのだろうか。日々、いいことと嫌なことを繰り返しては、気持ちが上がったり下がったり。毎日を馬車馬のように働いて、やっとの思いで家路に着けるのは終電間際。仕事が終わらなきゃ会社で朝を迎えて、時には休日を捧げることだってある。いったい、なんのために働いているのだろう。お金、夢、家族のため。それを分かっていても、すべてを投げ出したくなる。それでも僕らは、また骨身を削って働こうとする。

僕は星野源のものの捉え方が好きだ。それは人の悪いところよりもいいところを見つけようとするような視点に基づいているのかもしれない。例えば、『Stranger』の中に「ワークソング」という曲がある。「働け この世のすべて背負え」「輝け この世の流れ生み出せ」と最大級の賛辞を込めて、すべての労働者を讃える歌だ。軽快なメロディーとリズム、豪華なストリングスとホーンセクション、力強い星野源の歌声。そのすべてが琴線に触れると、自分の仕事が誇らしくなって、いつもの通勤ルートの見慣れた景色もいとおしいものに思えてくる。そうやって藻掻き闘い続ける人たちの心のバランスを、星野源の音楽は取り戻してくれる。歌詞カードのどこにもない「お疲れさまです」が聴こえてきた。

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