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BODY ODD

『BODY ODD』

GEZAN/GHPD

[label: 十三月の甲虫/GHPD/2018]

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ベクトルの近さで共鳴し相乗し合う2組が放つスプリット盤

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text by山田 佳緒里

 2018年、平成最後の夏にドロップされた7inchヴァイナル。今春にアメリカツアーを敢行、10月にスティーブ・アルビニが制作に携わったというアルバム発売がアナウンスされている独自の立ち位置で活動を続けるパンク・バンドGEZANと、HIP HOPグループ “SIMI LAB” のOMSBらが新しい表現の場として立ち上げたレーベル / アーティストチームであるGHPD (OMSB/Hi’Spec/USOWA/YELLOWUHURU)のスプリット盤。『BODY ODD』という同タイトル曲がGEZANサイド、GHPDサイドとしてそれぞれ片面に1曲ずつ収録されている両A面タイトルである。GHPDとしては初のリリース作品でもあるとのこと。

 

 GEZANサイドは加速する焦燥を刹那に体現するような衝動炸裂のハードコアなバンドサウンドに、客演としてCampanella、OMSB、ハマジ(KK manga)、LOSS(ENDON)、シュート(odd eyes)、が参加のマイクリレー。GHPDサイドはメロウな揺らぎと乾きのあるHi’Specのトラックに、USOWA、OMSBによるラップ、そしてGEZANフロントマンのマヒトゥ・ザ・ピーポーがイノセントに唄う。

 

 一見、ロックとHIP HOPという異色のコラボレーションに見えるが、同じイベントへの出演や深夜のファミレスでの邂逅で徐々にその仲を深めていったという両者が、今の彼らの空気感をそのままパッケージングしたような風通しの良い作品になっている(MVを見るとよくわかる。“仲間が集まってワイワイ創ったんだろうな”と想像してしまう、それぞれの曲にメンバーが互いに出演し合っている2本のMVはどちらも映画監督・三宅唱によるもの)。サウンドや表現の手法は違っても、ベクトルの近さで共鳴し相乗し合う2組。音楽やカルチャーにおいて、メジャーもインディーもメインもサブも、様々な境がないようになって久しいが、ジャンルレスとかクロスオーバーなんていう言葉が霞む程に自然体。強烈に逸脱した才気がシームレスに有機的に混じり合い、昇華されている。

 

 ちなみにBODY ODD、そのタイトルをためらいなく直訳したら“奇妙な身体”。顔の変形した女性の裸体が描かれたジャケットも象徴的だ。こちらは画家の五木田智央氏にGHPDのメンバーが自ら筆をとり手紙で作成を依頼し、快諾を得たとのこと。そんなエピソードもすごくいい。
元々は違う者同士。違う細胞から成り立つ違う個体である。私もあなたも。それぞれに奇妙な身体。でも繋がっていく。
 とにかく良い予感がする、そんな一枚。

 

 

 

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