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TAO

『TAO』

yahyel

[label: beat records/2018]

緊迫と解放。その鮮烈なカタルシスが物語るyahyelの現在

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有泉智子(MUSICA)

日本国内では半年ぶりのワンマンであり、韓国・台北・中国と回ったアジアツアーのファイナルでもある921日の東京・渋谷O-EASTでの公演に先駆けてデジタル・リリースされた、今年の3月にリリースされたセカンドアルバム『Human』以来となる新曲。先日公開されたPARCOの秋冬CM(映像にはyahyelのメンバーである映像作家・山田健人も参加)で使用されている楽曲とは別のもので、開放的で祝祭感をも纏ったCM曲とは対照的な、ドープなyahyelの核に触れるような、静から動へ、内省から解放へ、抑制から爆発へと展開する鮮やかなダイナミクスが際立つ楽曲だ。

 

楽曲前半はアンビエントなシーケンスと不穏なリズム、アルペジオをループさせた繊細な上モノを主体として構成された、ややトライバルな聴感を放つトラックに乗って池貝峻のメロウな歌が深く響く。そこから次第にリズムが増強され、ノイジーなシンセやコーラスワークをはじめ縦横にレイヤーを増しながら、サウンド全体が熱を帯びブーストしていくのだけど、そのまま直線的に安易な結末へと向かわないのがyahyelらしいところ。彼らのひとつの側面でもあるSF的な、あるいはサイコスリラー的な、スリリングなストーリー性や醒めた狂気とフィジカルな刺激&快感が鮮烈なカタルシスを生んでいく、力のある1曲だ。

 

もうすぐデビューから2年を経ようとしているyahyelは、その作品においてもライヴにおいても、より自由かつ独自のアイデンティティを切り開く、強靭な音楽観を放ち始めている。春の国内ツアーは、全体の演奏&パフォーマンス力はもちろん、山田健人によるVJも「yahyelという表現の視覚化」として昨年までとは明らかに異なるフェーズへと突入していて、非常に手応えのあるものだった。あれから半年、海外での活動も活発化し、その実感も得た上で、今の彼らがどんなステージを展開するのか。楽しみでならない。

 

 

yahyel – TAO (MV)

 

 

yhayel ワンマンライブ

公演日:2018年9月21日(金)
会場: TSUTAYA O-EAST

OPEN 18:30 / START 19:00
料金: 前売¥3,800(税込・ 別途1ドリンク代) ※未就学児童入場不可

チケット絶賛販売中!

イベント詳細:https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9786

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