FEATURE

REVIEW

Our Latest Number

『Our Latest Number』

toe

[label: SPACE SHOWER MUSIC/2018]

Amazon

凛とした佇まいが美しい

twitter facebook

text by山田 佳緒里

 日本を代表するポストロック・バンドとして国内外で高い評価と絶大な支持を得るtoeのミニ・アルバム『Our Latest Number』。2015年にリリースしたアルバム『HEAR YOU』から3年ぶりとなる今作は、ミディアム・ナンバーなインスト2曲と、スロー・テンポの歌もの2曲の全4曲を収録。全体のムードとして漂うどこか乾いた切ない空気感が、丁度今時期の高く澄み切った空を想起させる一枚。

 

 凛とした佇まいがとにかく美しい。toeのライヴ表現にはかなりエモーショナルな一面があり、それが最大の魅力のひとつでもあると思うが、音源ではそういったところがすっと影を潜める。わかりやすいエフェクトや歪み、強弱よりも、クリーンな音色のアルペジオの重なりや癖になるようなフレーズの反復、そして追及されたタイム感、ポリリズム、ヒップホップ~ポスト・ロック等広くジャンルを跨いだエッセンスという、楽曲構成の妙で軽快にミックス・展開していく。選び抜かれた曲ごとの完璧なフォルム。今作も注意深く耳を傾ければ聴く度に発見のあるような技巧と経験値の詰まった作品郡でありながら、さらりとも聴けてしまう心地良い耳障りで纏まっている。流石の一言である。

 

 特筆したいのはやはり今回のタイトル曲とも言える“レイテストナンバー”だろうか。メイン・ヴォーカルであるGt.山嵜氏の無骨さと儚さが同居したような深い囁きと、想像力を沸き立たせるハードボイルド感のある歌詞。バンド「んoon (ふーん)」のJCがコーラスでフィーチャリングし、揺らめきたつ女性の声が、憂いを帯びたメロディーに彩りを添えている。

 現在バンドは絶賛アメリカツアー中とのことだが、日本でのライブも是非近いうちに拝見したいと願わずにいられない。彼らのレイテスト(最新の)ナンバーを聴きながらその機会を待ちたいと思う。

 

 

RECENT REVIEW

REVIEW TOP

RECENT REVIEW

REVIEW TOP