THE BEACHES
インタヴュー:河村祐介
── いちばん思い入れのある作品ってやっぱりファーストですか?
ヒサシそれぞれに思い入れあるけど、ファーストとサードかな。ファーストは「この感じは他にねぇだろ」って、本当に盛り上がりがあったから。サードは、アルバムとしてのトーンがいちばん統一されているアルバムなんだけど、意外になにも考えないでスタジオに入って作ったアルバムでもあったんですよ。サードのときは、やり方というよりも、いま本当に好きなことだけをやろうと。
── その状態でやればビーチズの音になると確信があったと。
ヒサシそうですね、それでビーチズが入ってるから。3枚のアルバムは、本当にばっちりかなと思ってて。いまライヴの流れとしては3枚目の曲から、1枚目の曲にむかっていくようなライヴなんですよ。世界観はそんなにかわってないんだけど、ただ3枚目がダークなアルバムなんで、そこからファーストの明るい世界観のほうにかわっていく感じで。今年に入ってからのライヴも本当に良くて「ああ、こういうことやれるんだな」ってのがあって。
── そんな絶好調のライヴができているときに、活動休止とはちょっともったない気もするのですが。
ヒサシそうですね。僕らは3枚目をリリースしてからの1年間はとにかくライヴでやっていこうというのがあって、それをしっかりやれたという感じがあったんで、ちょうどいいタイミングかなと。たしかに昔から、「早い!」って言われるんだけど、次に行こうとするタイミングが。でも、どうしてもそれは止められないというか。
── ビーチズに限らず、そういう盛り上がりのスパンみたいなものって短いほうですか?
ヒサシ新しいものだけを追い求めてるというか、自分のなかで新鮮かそうじゃないかっていうのだけなんだけど。つねにそれはあるものだから、いまはなにもなくなってしまったということでもなくて。むしろ、よりその興味の範囲は広がって来ているという感じなんですよ。
── 広すぎてビーチズの存在と合致しない感じですか?
ヒサシそうかも。でもやりようによってはビーチズでもやれるとも思うんだけど、なんだかそれがうまく自分のなかでテンションとして持って行けなかったことがあるんだけど。
── この休止宣言と関係なく、個人的にいま好きなものってどういったものですか?
ヒサシ「とくにこのへん」というのはないんだけど。サードをリリースしてから、50年代とか60年代のオールディーズばっかり聴いてて。そのへんはつねにいろいろ探しては聴いてて。あとは前に聴いてたのをほじくり返して聴いてみたり。あとはもっとフォークなやつ。バンドとは違う部分で。日本のフォークじゃなくて、特にアメリカとか。もともと好きだったんだけど、いままたすごく良いなと思ってて。
── 逆に、ここでバンドが止まってしまう怖さというのはありませんか?
ヒサシ今回のことに関しては怖さとかそういうのは全然なかったんですけど。怖さで言ったら、セカンドとかファーストを出したときにしんどかった時期があって、もしそのタイミングで休止とかしてしまってたほうが怖かったというか……悔しさは残ったと思う。まだ先のイメージが見えてて、そういうのがあったのに休止とかになってたら。だから、そういうイメージが無いので、いまならそうでもないというか……いまやれることは3枚でやれたと思ってるところがあるので。あとバンドを止めると、もっとフラットに聴ける音楽もあるだろうし。そうじゃないと、逆に埋もれてしまう音楽もあると思ってて。なにせDJもやってるから「これは使える」とか「使えない」とかの耳で聴いちゃうときってあるんですよ。ビーチズも合わせると、そういう聴き方になりがちなところもあって。さっきも言いましたけど3枚目のレコーディングが終わった後はオールディーズばっかり聴いてるんですけど。それって単純に曲が良いと思えるし、それ以外はなにも考えたくないみたいな。
── バンドが消える可能性という怖さよりも、ビーチズというバンドがグダグダになる可能性のほうが心配というか、そっちの取り返しがつかないほうが嫌だというか。
ヒサシ続けても、そうやって取り返しがつかなくなるのもわかってたし。みんなもちょっと気を抜くと、バンドのテンションも落ちちゃうから。
── さて9月17日のライヴですが、どうでしょうか? いまこの取材をやっているタイミングでは、リキッドのライヴと数カ所残っているようですが。
ヒサシバンドはさっきも言ったけど、良い状態ですね。活動休止みたいなことは、本当は言いたくなかったんですけど(笑)。本当はシレっとね。
── 「この前のライヴから、そういえば音沙汰ないよね」という感じで、最終的に活動休止宣言するバンドとかもいますよね。
ヒサシいまのタイミングで聴いて欲しいというか、もしこのタイミングではじめて来てくれる人がいるならば観といて欲しい状態ではあるので、無理矢理発表したんですよ(笑)。
── 邪推としては、ライヴ休止というと「バンドの状態が悪いのでは」と思ってしまうんですが、むしろライヴ・バンドとしての状態はすこぶる良いと。
ヒサシそうですね。ジェリーリーのときは、黙って辞めちゃったから、いろんなところからすげー言われて(笑)。だからといってあのときちゃんと辞めることを発表すれば良かったとは思ってはなくて。なんかあのときは「ビーチズでもっとおもしろいことやるんだから、言わなくても良いじゃん」という感じだったんだけど。今回に関しては、言おうかなと。
── 今回はライヴの後、2階のリキッドロフトでもアフター・パーティがあるんですよね。
ヒサシそうですね。そっちは知り合いのDJ呼んで、向こうから出たいって言ってくれた人もいたりして。
── では最後にラスト・ライヴに関して。
ヒサシ本当に俺らは良い演奏さえできれば良いなと思ってて。それとやっぱりその場の空気が大事だと思ってて。ガチャガチャした空気を作れたら良いと思ってるんですけど。ガチャガチャしたっていうのは説明するのは難しいんだけど、本当になんでもありな空気感というか。そういうガチャガチャした楽しさっていうのが、ビーチズでやって伝えたい、俺らが好きな楽しさでもあったので。本当になんでも鳴ってくるような、そういう楽しさがある現場。例えば一晩のパーティで「ここからこんな曲行けた」と思えるのが最大の楽しみでもあるんですけど、そこが最大の難しさでもあったりする。だから、がんばってそういう良い空気を作れればと思ってて。でも、その会場の空気の波に乗っちゃえば、バンドなんて関係なくなるんですよね。そうなったら、お客さんが勝手に作ってくれちゃってるというか。どっちが乗せられてるのかわからなくなるっていうときは、本当に楽しいから。
活動休止前の最後のライヴ!
THE BEACHES『波に乗りたい〜魚ごっこ編〜』
OPEN / START19:00 / 20:00
詳細はこちら。
こちらはその後、LIQUIDLOFTで開かれるアフター・パーティ
PUNK★THE★DISCO & FREAK AFFAIR presents『DISCO SANDINISTA!』
OPEN / START 23:30
LINE UPDJ:村 圭史(FREAK AFFAIR)、ヒサシ the KID(THE BEACHES)
Guest DJ:片平 実(Getting Better)、タイラダイスケ(FREE THROW)、西村道男(Nur./e)、田中 亮太(mogran`BAR/CLUB SNOOZER)、DJ EENN(EERECTIONN) and more
VJ:eetee
TICKET *THE BEACHES『波に乗りたい〜魚ごっこ編〜』 の半券をご持参の方は1,000円引きの1,500円(ドリンク代別)でご入場出来ます!
詳細はこちら。
THE BEACHES
ヒサシ the KID(Vo・G)、dij(Dr)、r.u.ko(key)、TOMOTOMO club(B)。
2006年に結成。06年5月のファースト・アルバム『THE BEACHES』を発表し、ディスコ、ニューウェイヴ、レゲエ、パンクなど、さまざまなジャンルを飲み込んだサウンドは多くのメディアから注目を浴び、音楽誌「SNOOZER」の年間ベスト・アルバムにもランクインした。07年にセカンド・アルバムを発売し、08年にFUJI ROCKはじめ多くの野外フェティバルに出演。09年8月にサード・アルバム『ハイヒール』をリリース。





